あれから二年 #6
夫は、率先して家事を手伝ってくれる。
私が仕事で疲れてるときは、夫が肉を焼いてチャーハンを作ってくれたりもするし、夕飯の後片付けもしてくれる。
日曜日に義父がデイサービスでいない日は、お部屋の掃除をしてくれる。
でも、自分が受け止めきれないことや容量がいっぱいのときは見て見ぬふりをするので、結果、期日が迫っているものは私が片付けたり処理をすることが多い。
義父の様子がおかしいこと、もしかしたら認知症の可能性があること、私に小言が多いこと。
夫にはその都度話していた。
だけど、
ほっとけばいい。無視してていいよ。今、一緒にいて普通なんだから、問題ないでしょ。
そう言われていた。
我が家が停電から復旧した翌日の夜ご飯のとき。
夫が、
職場の後輩でまだ家が停電している人がいるんだけど、お母さんが高齢で洗濯も大変そうなんだって。家も暑くてつらいんだって。
うちにおいで、って言ってもいいかな?洗濯とかしていったらいいよって言ってもいい?
と聞いてきたので、
もちろんいいよ。みんなで助け合っていかないとね。
とお返事した直後、義父が
「洗濯はコインランドリーがあるだろう。涼むのだって、そこで充分できるだろう」
投げ捨てるように言った。
あ~、また。ここを自分の家と思っているんだ。
夫は、
親父はこの家にいて、暑くて夜も眠れなくて死にそうだっただろう。それが、まだまだ見通し立たないで、つらい暮らしをしている人たちがいっぱいいるんだぞ。それはわからないよな。
私も、
この暑さで熱中症で亡くなった方もいます。みんな被災して大変な思いをしてる人がいっぱいいるから、助け合っていかないと。自分がよければそれでいいって考えは、良くないです。と言った。
義父は、黙ったまま静かにご飯を食べていた。
・・・
生活用品や食料の買い出しは、夫と二人で日曜日に行っている。
義父のほしいものはだいたい同じなので、まとめて買って渡している。
被災後、物流が不安定だったこともあり、義父の好きな菓子パンが買えなかったことがあり。
それを義父に伝えると
おかしい!売り切れて買えないなんて、そんなことあるはずないだろう!
怒りはじめた。
夫が
しょうがないだろう。物流が安定していないの。今は我慢してくれ。
そうしてしぶしぶ納得し、代わりに買ってきた食パンを渡した。
そこで私はなんとなく思った。
もしかして義父は・・・
自分のことしか考えられなくて、目の前のことしか頭にないんじゃないか?
その先のことが見えてないんだろうか??
だから、被災後のいろんな手続きに行くときも
あんたはいいよな。いろんなところに好きな時に出かけられてよぉ。
って言ったのかな。
このまま放置してたら家がどうなるか。わかっていないんじゃない??
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