転職活動の記録(シニアエンジニア→銀行員)
せっかく記録していたにもかかわらず全部消えたので文字起こしする。
転職したのは2024年4月なのだが、実は転職を決意したのはずいぶん前。
職務経歴の一部
職務要約
保険システム領域における、Java・Oracle・Linuxなどによるオープン系開発と技術支援の経験が強み。ネットワーク・ハードウェア・ミドルウェア周辺が得意で、技術面でメンバーをサポートする役割によって多数のプロジェクトに貢献。一方で、大規模プロジェクトのシステム開発全工程についてPMOとして携わった経験もある。ビジネス英語可。
直近の職務経歴(2023年4月~2024年3月)
保険システムのアジャイル開発。システム要件定義と設計を自分で書いて、Javaによる実装も自分でやる。テストでは障害対応ばかり任されることが多く、実は打鍵の経験がほとんどない。リリース計画も作成するが、実際に作業を行うのはインド人技術者なので、英語で指示を出す必要がある。
特記事項
体調を崩して休んでいた時期があり、その期間は空白となっている。
転職を決意した瞬間(2023年5月)
期初に目標設定と社長面談があり、以下を目標として設定した。
AWS人材の育成
技術支援としてCI/CDの導入提案手法の確立
しかし、これらの目標は社長面談の場で全否定される。それは昇給の余地がないという意味でもある。人格を否定するような言動まであり、思わず「辞めてやる!」と叫んだくらいである。
次の日から出社拒否してもよかったくらいだが、現場ではインフラ移行案件のプログラム修正を着任後の2週間で一気に完了させ、さらにCI/CD導入の前提としてバージョン管理システムの導入も軌道に乗り始めていたため、この状況での離任は正直なところ忍びなかった。気が狂うギリギリまでなんとか耐えようと考えた期限が2024年3月、現場をちょうど1年間で撤退するスケジュールであった。
武器が届く(2023年7月)
情報処理技術者試験(ITサービスマネージャ)の合格証と、TOEIC 775点の認定証が届く。一方で簿記2級は落ちた。
情報処理技術者試験(ITサービスマネージャ)
TOEIC 775点
ここへ、2022年に取った以下のものも加える。
情報処理技術者試験(ネットワークスペシャリスト)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
高度情報が2つ、金融知識の裏付け、さらに英語力の証明。武器としては十分すぎるくらいであった。転職を考えていたところへ武器が届いた以上、善は急げである。
ビズリーチに登録(2023年7月)
目標は銀行・生命保険・証券の事業会社
14年間生命保険をやっていたので、今後も金融業界でやってきたいという思いがあった。できれば英語も活かしたい。
一方でコンサルにはまったく興味なし。コンサルからのスカウトは山のように来るのに。コンサルにはいい思い出がない。
某都市銀行のカジュアル面談
しばらくして、某都市銀行からカジュアル面談の誘いが来る。システム開発全工程の経験と英語ができることがポイントが高かったらしい。思い切って想定年収を聞いたところ、だいたい1,000~1,200万円の間くらいじゃないかとの回答。800万円ももらえたら十分と考えていたが、ここで軌道修正をする。
目標は銀行、年収は1,000万円。
なお、この某都市銀行はなんとか最終面接まで行ったものの不採用となってしまった。
内定1社目: 都市銀行IT子会社の選考(2023年9~10月)
前述の某都市銀行の子会社である。
カジュアル面談
本部長と人事が登場。オープンポジションであったが、提案のあった領域はチャネル系システム。チャネル系やったことないけどできるかな、とか、内製化でJavaの読み書きができる人材が貴重、とか、ざっくばらんに会話。
選考に進みたいことを伝え、当日中に履歴書と職務経歴書を送付。
一次面接
部長と人事が登場。こちらの職務経歴をざーっと話した後、期待する役割について部長から説明を受ける。また、システム開発全工程の知見があることと、Javaの読み書きができるという点で高い評価を受ける。銀行システム未経験ではあるが、職務経歴の大半が保険システムで一貫していたこともよかったようだ。仮に職務経歴が一貫していなかったとしても、それはそれで「さまざまな業種の経験がある」として評価されたような気はする。
翌日、最終面接の案内が届く。早い。形式的な案内に加え、「面接官の評価が大変高かった」と一筆添えられていた。
最終面接
カジュアル面談で会った本部長が一人で登場。もはや話すこともなく、入社予定時期を確認した程度で、「ぜひ入社してね。待っているから」のようなことを言われて終了。15分くらいで終わってしまった。
翌日、内定通知とオファー面談の案内が届く。やはり早い。
オファー面談
一次面接で出てきた部長と人事が登場。ポジションは99%希望通り。年収は1,000万円にはわずかに届かなかったものの、当初聞いていたレンジ(~800万円)を大幅に超える金額が提示される。
用意していたカードのうち「英語」が余ってしまったが、個人的には業務内容・条件とも満足で、2社目は記念受験とするつもりだった。
内定2社目: 別の都市銀行の選考(2023年10~11月上旬)
一次面接
カジュアル面談なし。副部長と次長が登場。面接というよりはお互いをよく知るためにたくさん話をしようという位置づけらしい。
現業で英語を使う機会があることを聞かれ、ほんの数分前に外資系企業の面接を受けたばかりで、英語の面接があったという話をしたらこれが大ウケ。さらに、職務経歴書に書かれた「実装」とは具体的に何の作業をするのかを聞かれ、自分でJavaプログラムを書いていると答えたら副部長が大爆笑。曰く、芸が多彩すぎると。
翌日、二次面接の案内が届く。他業種の選考と比べると銀行は特に早い。あとで考えてみると、これカジュアル面談だったんじゃなかろうか。
二次面接
直前に1社目から内定が出たため、これ以外の選考はすべて辞退。「ダメならライバル企業に行くが本当にいいのだな?」という心構えで臨む。
部長と人事が登場。部長からは履歴書に載っていない部分をあれやこれや聞かれる。学歴を見ると銀行もITも関係なさそうだが、これは一体どういうことなのかと。志望理由は「金融といえば銀行だと思うし、その中でも日本一大きいので必然的に選択肢に挙がった」という、バカ正直ではあるがなかなかひどい回答である。入社予定日がだいぶ先であることも聞かれたが、こちらもバカ正直に「既に他社で内定が出ているので転職活動はこれで最後。3月までは今のプロジェクトをどうしてもやり切りたい」と回答。
部長の表情が読み取りにくく五分五分かなという印象であった。不採用であれば転職活動は終了であったが、翌日、最終面接と適性検査の案内が届く。
最終面接
二次面接とは別の人事が一人で登場。フジテレビのスポーツキャスター風のお兄さんという印象。あとで調べてみたら同い年だった。
人事が出すお題は相変わらずよくわからない。今回は「失敗プロジェクトの経験」。我ながらうまく逃げたなと思うが、他社主管のプロジェクトで品質不良により製造工程をやり直す羽目になり、自社で巻き取って立て直した話をした。この話には、結合テストで要件定義と設計の不整合が見つかり、調べたところ、要件定義通りに作ると個人情報が漏洩する可能性があることが判明し、ユーザーと協議して要件定義を修正させたという成功体験が含まれている。
希望年収は答えにくい質問ではあるが、既に1社内定が出ていて、しかもそれがライバル企業の子会社ということで交渉はしやすかった。志望順位は「決めかねているが、既にその1社から内定が出ていて、他はすべて辞退したのでどちらかを選ぶことになる」と回答。
職務経歴書に空白期間があったのはやはり気になったらしく、体調を崩して休んでいた期間があることや、今も2か月に1回程度病院に通っていることを正直に伝える。ちなみに、別の会社でこれを正直に言ったら、そちらは平然と内定を取り消してきた。
二次面接とは打って変わって「これはもしかして勝ったんじゃないか?」という印象を受ける。翌日、こちらも内定通知が届く。
オファー面談
一次面接の次長と、最終面接の人事が登場。二次面接の温度感を鑑みるに、採用の決め手となった点がイマイチわからず、それについては質問せざるを得なかったが、おおむね1社目と同じ回答であった。また、長く働きたいという理由で、出向も含めたキャリアパスについても質問。年収は「こんなもんか」という印象ではあったが、それでも1,000万円は超えた。
そして、この次長が今の上司である。
あとで知った話だが、一次面接後に副部長が「面白い奴が来るぞ!」と触れ回っていたらしく、二次面接でどうも部長の様子がおかしかったのはこれが原因だったらしい。
面談・選考を受けたその他の企業
地方銀行
業務内容はほぼマッチするのだが、条件が折り合わないことが多い。1社目から提示された条件を伝えると、あからさまに面接官の表情が曇る。やはり都市銀行と比べると見劣りしてしまう。面接官と地元トークで盛り上がるのは面白かった。
保険会社
業務内容は当然マッチするのだが、求めるレベルが高いわりに条件が微妙。どこも「銀行ほどの条件は出せない」と口をそろえる。狙うなら外資系。アクチュアリーがあったら違ったかもしれない。
不動産IT子会社
大学で都市計画法を履修していたことが幸い。業務内容も条件もよかったのだが、1社目の内定が出たところで辞退してしまった。
証券会社
住む世界が違う。書類選考は普通に通るのだが、いざ面接となると箸にも棒にも掛からない。業務内容・条件とも会社によってまちまち。
前職で揉める(2023年11月)
上位ベンダーの担当にバレる
最初にバレたのは自社ではなく客である。あちらが「転職を考えている」とか言い出すものだから、こちらも話さないわけにはいかず。プライベートの話題ということで、お互いに他言無用とした。
自社の営業にバレる
給与制度の見直しについて意見を求められ、思わず「興味がない」と答えたところであっさりバレる。このとき既に2社から内定が出ていて、どちらにするか決めかねている段階であった。
目下の悩みは2024年1~3月の四半期契約である。切り出し方を誤ると12月で契約終了となってしまう可能性すらあった。
上位ベンダーの部長にうまく伝わらない
「今の所属会社を辞めた後も契約を継続してほしい」という謎のオーダー。担当も「何を言っているのかよくわからない」と首をかしげる。どうやら別のITベンダーへ転職すると思われていたらしい。銀行本体への転職であることを告げたところあっさり快諾。2024年3月までの契約も更新してくれた。
自社の社長にうまく伝わらない
やはり別のITベンダーへ転職すると思われていたらしく、銀行本体と言っているのに全然伝わらなくて苦労する。あとで知ったことだが、銀行本体への転職は前代未聞らしい。一方で、5月から転職を考えていたという話は流石に伏せた。言っても無駄だとわかっていることは言っても無駄なのである。
新しい職場の近所へ引っ越す(2024年1月)
冬の賞与を全部使って引っ越し完了。前から住んでみたかったにもかかわらず、家賃相場が地味に高くて手が出なかった地域。新しい職場まで20分。準備万端である。
前職でまた揉める(2024年2月)
上位ベンダーがやっとユーザーへ報告
交代要員の調達に相当苦労したようで、今頃になってユーザーへ報告。
社員になることの提案もあったが辞退。ビズリーチに求人票があったので気にはなっていたが、「年収:応相談」と書かれていたのが怖くて手が出なかった。未練がないかと言われれば未練はある。そして、やはり二次請から銀行本体への転身は前代未聞だったらしく、一躍有名人に。
前職の最終帰社日にまた揉める(2024年3月)
若手のみなさん
「4月の勉強会に来てほしい」と頼まれる。3月で退職ということが全然伝わっていなかったらしい。そういえば行き先も伝えていなかった気がする。別のITベンダーへの転職だと思われていた可能性が高い。
そして、彼らは歓送迎会などやってくれない。薄情なものである。
若くないみなさん
現場撤退の報告はしてあったものの、退職が理由であることが伝わっていなかったらしい。やはり別のITベンダーへ転職すると思われていたらしく、銀行本体と言っているのに全然伝わらなくて苦労する。西日暮里支店の支店長になったら会いに来てくれるとのことだが、西日暮里にはATMコーナーがあるのみである。
若手のみなさんが歓送迎会をしてくれないので、若くないみなさんと食事に行ってこの日は終了。
先代社長に電話で報告
先代社長は既に退任して久しいが、長年世話になったこともあり報告。そして、なんでこの人が一番喜んでいるのかよくわからない。
後日談だが、この直後、嬉しさのあまりいろいろな人に電話を掛けて回っていたらしい。しかし残念なことに、この出来事の2か月後に先代社長は急死してしまう。
終わりよければすべてよし(2024年3月29日)
有給休暇の消化はせず、月末最終営業日まで居座って終了。一日中挨拶回りをして、それが終わったら今度は盛大な歓送迎会。土日2日間の休みが終われば、いよいよ新しい職場である。
入社後もシニアエンジニアの物語は続く
「CI/CDのワーキンググループを立ち上げたのですが興味ありませんか?」
「興味も何もこれ昨年やってた。自分で作れる。元シニアエンジニアなんで」