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私の物語⑧

あれは忘れない、3月のことだった。
聞き覚えのない高校から、突然の着信があった。

「私、○○高校 定時制の副校長ですが・・・さやさんの携帯電話でお間違いないでしょうか?」
「はい、私です。」
「定時制だよ!分かる!?」
「!?・・・はい、わかります・・・(なんなんだ)」

こんなやり取りをして、後日、この高校へ面接に行くことになった。
校長と副校長と軽く面接を行った後、
「さやさん、4月からよろしくお願いします。その前にまた3月下旬、一緒に着任される先生方と説明会を行うので、また来てください。」
「・・・はい!よろしくお願いいたします。」

親には定時制ということで心配されたが、
無事、公立高校で働けるという喜びの方が大きかったので、一安心した。

そして、3月下旬。
私を入れて5人が4月から新しく着任するということで会議室に集まり、
副校長からこの学校の現状やルールなどを教えてもらった。

4月になり、定時制の職員全員と顔合わせをした。
定時制ということで、先生方は20人ほど。若い方が多い印象だった。
社会科は私を入れて3人。どちらも男性だが、このお二人にはかなりお世話になる。
私と同じ「講師」にあたる人は、一つ上のアニキだった。
教科は違うが、いつも一緒にゴミ捨てに行ったり、荷物持ちしたり。
一年講師経験を積んでいる方なので、学校のことを教えてくれた。

肝心の授業は・・・めちゃくちゃ緊張した。
定時制なので、生徒の人数こそ少ないが、この子たちを1年間責任を持って見ていかなければならない。教えられるかな。大丈夫かな。どうしよう。
こんな心配をしていたが、そのたび、同じ社会科の先生方が支えてくれた。
徐々に生徒とも打ち解けて、学校で働くことが楽しくなってきた。

本当に私は人に恵まれているなぁ・・・と思う。

そりゃ生徒全員が良い子!・・・というわけではないし、
生意気だなコイツ!と思ってしまう生徒もいたが、
職場が最高。右も左もわからない1年目の私に丁寧に教えてくれる人たちがいる。
でも講師という立場だから、この学校に1年間しか居られない。
寂しいけど、この1年間を大切にしていこうと思った。