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オープンイノベーション減税の概要と地域経済における意義

※個人的な見解を多々含みます。

1.オープンイノベーション減税の概要

令和2年度の税制改正で標記税制が発表されました(以下概要は、経済産業省HPより抜粋しました)。
より詳細が知りたい方はGxPartners 寺井さんのnoteをご覧ください。
概要だけお伝えすると下記のとおり、ベンチャーへの1億円以上(中小企業からの場合は1,000万円以上)の出資について、出資者側の25%の所得控除を認める制度です。
昨今のスタートアップ機運の盛り上がりと、大企業によるCVC等、ベンチャー・スタートアップとのアライアンスという流れを踏まえ、税制により加速させることで新たな産業創出を目指した制度であると認識しています。

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2.出資はB/Sにしか反映されない

最近はベンチャー・スタートアップだけでなく、地域の中小企業の経営者の皆さまとお話させて頂くことが多くなりました。
面白いのが、ベンチャー・スタートアップの経営者とお話する場合は「売上のトップラインをどう上げるか」「資金をどう確保するか」といった課題が大きいので、マーケティングやファイナンスの話題が多い印象でした。
一方で、ある程度、成長し、成熟段階になると、「生産性の向上(人材の活用やITによる効率化)」「株価対策(利益圧縮による節税)」等に関心が高いという印象を受けました。
言葉では知っていたものの、成長段階でそれぞれが持つ課題や視点は違うのだと新鮮な認識を得ることができました。

かねてより、大企業だけでなく、成長した中小企業もベンチャーへの投資に目を向けて欲しいと思っていた私は、「ベンチャーへの投資が株価対策にならならないか」と考えました。
しかし、企業が他企業に出資した際の会計仕訳を確認したところ、B/Sにしか反映されない、ということに気づきました。
即ち、会社としての資産は増えますが、成熟段階の中小企業の関心が高い株価対策には効果ない、ということになります。

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これが上記のとおり、オープンイノベーション減税の導入により、ベンチャーへの出資がP/Lにも反映されるようになりました。

3.地域経済における意義(期待を込めて)

今までは会計上すれ違っていた双方のニーズも、上記のように重なる部分が多くなったと認識しています。
本制度が、大企業とベンチャー・スタートアップとの連携促進だけではなく、成熟段階にある地域中小企業と、新たなチャレンジを続けるベンチャー・スタートアップの懸け橋にもなるのではと、個人的に期待を寄せています。
最近は特に経済のエコシステムを語る中で、ベンチャー・スタートアップ/中小企業を対立構造に置くことに非常に違和感を感じるようになりました。それぞれの立場の経営者に直接触れてみると、また違った熱が感じられます。対立構造ではなく、共通項の中から、新たな経済の活性化の道筋が見えるのではと、勝手に期待しております。

最後に…

今回はコラム的な内容なので、個人的な主観がとても入っています。
批判・反論ありうべしと認識していますが、そんなこと考えているやつもいるんだというくらいで、優しい目で見て頂けると嬉しいです。

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