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ラジオディレクター もとりーさんによる「夜にしがみついて、朝で溶かして」ライナーノーツ


自分が感じたことをつらつらと。

1 料理

「愛と平和で煮しめて味覚を馬鹿にする」って出だしで、すでにもうニヨニヨしてしまう。今作も出だしから心掴まれる歌詞が満載で困ったもんです。
あと、なんでもポケットにつっこむ癖があるのでセンタクをミスると最悪の事態。
歌詞カードを読むのがとても楽しい。言葉あそび、すごいなぁ。音も楽しい。
そして悲しくてもお腹はすく。わかる。とてもわかる。


2 ポリコ

ポリティカル・コレクトネス、難しいです。自分は「気にしい」という部類の人間なので、ワーワーと喋っておいて、あとでアレは大丈夫だったのか、、と疑心暗鬼によくなります。それに嫌気もさすし、気にしないではいられない仕事でもある。
あーもう面倒くさいな、って考える事をやめようってなるけれど、結局言葉を発する生き物なので、永遠に言葉には縛られる。ぽり子の事を気にしすぎて言いたいことの3分の1のアレな感情も伝えられないし、言いたいこともいえないこんな世の中はポイ◯ンですよね。


3 二人の間

グルーヴが非常にたまらん。こういう曲、大好物です。
畳み掛けるような勢いもいいのだけれど、こういうテンポが気持ちいい。
「ま」の分かる関係って本当にありがたい。そうそうそんな人はいないけれど。
そしてダイアンのおふたり、大好きです。あのおふたりにとても似合う曲。
「そのままで」って言葉がずっと脳内でループしています。


4 四季

肩肘張らずに聴ける曲。
なんでこんなにクリープハイプの音楽が好きなのだろうかと思いながら聴いていた。
季節としての春夏秋冬の思い出、というよりは、自分の人生の中の春夏秋冬にクリープハイプの音楽が不可欠だなと思った次第です。曲の展開に胸が熱くなる。
それにしても1年ってなんでこんなにあっという「ま」なのか。好きだなぁ。


5 愛す

私にとって大好きで、大切な1曲。
自分自身が関西人だからなのか(違う人もいるだろうけど)「アホ」って言葉は私にとって愛情深いものである。なので、「愛す」もしかり。ニヨニヨが止まらない。
しかし、「ブス」って音が与えるパンチはすごいなぁと思った楽曲でもある。
私はラジオを通してオンエアさせてもらっているのだけれど、伝わらない人には伝わらないんだな〜という事も実際に体感した。自分は無力だなと思う反面、表面しか受け入れられない人には、もうどうしようもないのだ。
じゃぁ表面だけでも整えたらいいのではないか、というお言葉も確かにごもっとも。
でも、やっぱり、この曲のタイトルは「ブス」であり「愛す」でしかありえないとおもうし、聴けば聴くほどに愛おしい。
私が盲目的に好きだから理解できてしまうのか、理解しているから好きなのか。
好きな人が好きだったらそれだけでいいと思う。
とか言いながら、「気にしい」なのでそうもいかない自分もいる。嗚呼ややこしや。
いつかこの愛おしさが伝わったらいいなと切に思う。
あと、某びっくり◯ンキーのメニューに「みるく愛すカフェ」というドリンクメニューがあるので、ぜひ注文してみてほしい。
(読みはブスではなくアイスですので注文時はご注意を)


6 しょうもな

「愛す」って言った(実際は言ってないけど)あとには「馬鹿」ときた。
しょうもな、うっさいな〜、で流せる人間になりたい人生です。
あんたに、お前に、てめーに、って良いお言葉ではないけれど、
お前「だけに」用があるとのこと。ここがフフってなるポイントです。
世間様にもっと届いて欲しいなぁ。だって本当にいいバンドなんだもんなぁ。
それにしてもなんでこんなにも心臓がギュってなる音なのか。好きだなぁこの曲も。
昔はどうしようもなく腹が立った時に「身も蓋もない水槽」などを聴いて大泣きしていた時代もありましたが、年齢も重ねてまるくなりましたので、これからの時代は「しょうもな」と苦楽を共にしていこうかと思っています。しらんけど。


7 一生に一度愛してるよ

私がクリープハイプと出会ってから10年以上経っているので、そりゃぁまるくもなる。自分もまるくなった。色んな意味で(辛)
揉みくちゃになって生きてきたので、すれた事もあったし、ボッコボコにへこんだ事もありまくりで、逆にまだ尖ってるって人の方がすごいと思います。
昔の歌詞を散りばめたりしちゃって、またもや我々をニヨニヨさせてくる。
(「103です」もちゃんとご本人の声だし最高)
いつも「うるさいな〜」とか言いながらも、こうやって喜ばせてくるんだから、いやはやまったく困ったおじさんたちですね。


8 ニガツノナミダ

所謂CMソング。自分が考えた歌詞じゃない部分もあるというのが驚き。
企業のテーマが「しばられるな」だったのに対して、「しばられるな」に「しばられてる」という文言にニヤリ。
そして、最後の4行の歌詞にうなずき過ぎて首がもげてしまいそうです。
自分がいいと思って突き進んでいるけれど、結局のところ第三者の評価を気にしている自分もいて本当に嫌になる。がんじがらめ。でもまぁ「ここはここ」なのか。
あと性癖の話ではなく、私は「しばり」のある方がアイデアが湧いてくるタイプなので、このライナーノーツ、めちゃくちゃ難しいです。
自分の感じた事を文字にするのってめちゃくちゃ恥ずかしい。
私こんなキャラじゃないのに。
そして締め切りに追われているのに寝てしまう癖は直したい所です。
各所すみません。

9 ナイトオンザプラネット

駆け抜けた「ニガツノナミダ」のあとの「ナイトオンザプラネット」。いいなぁ。
いわゆるチルってやつですかね。チルだね〜とか絶対に言わないけど。
高音パートがほとんどないのが印象的。
高音の声=クリープハイプ、なんて言われる事が多いけれど、こういう曲がまたクリープハイプの名曲シリーズの1つですよね。(なんやねんそのシリーズ)
アルバム・タイトルにもなっている「夜にしがみついて、朝で溶かして」という歌詞もクリープハイプらしさ全開でとてもお気に入り。
「しがみつく」事と「溶かして」いる事、について考えた。
そういえば数年前に、しがみついていたものを取り上げられて、どん底に落ちた時期があったな、と。当時はしがみついていたという認識すらもなかった。この悲しみはずっと消えないと思っていたのに、普通に生活はできているし、新しい環境にもなれている。楽しみもしている。忘れてしまったのかと思ったけれど、でもやっぱりそれなりに苦い。

夜にしがみついて 朝で溶かして
何かを引きずって それも忘れて
だけどまだ苦くて すごく苦くて
結局こうやって何か待ってる

夜の次は朝が来るし、朝が来たらまた夜が来る。
しがみついては溶かして、の繰り返しが人生なのかなぁ。


10 しらす

いや、「しらす」て、ってのが最初の感想です。
待ってましたアルバムにおけるカオナシ君楽曲。
音はいつも以上にシンプルだけれど、どこか不穏な空気を含む音の流れにゾワゾワ。
童謡を聴いていたと思ったら最終的には冒険物語のさぁ!いざゆかん!的な。そう、アニメのエンディング曲で終わる、みたいな。
このちんどん的な音が日本人だからかは分からないけれど自分にはしっくりきた。
おいしくてもそうじゃなくても、今日もごはんを食べる事で「生きている」を実感。
そういえば素魚の踊り食いをいつか食べたい、と思っていた事を思い出しました。


11 なんか出てきちゃってる

10曲目から11曲目の流れ、なんじゃこりゃ(褒め言葉)。
終始マスクの下で口元が緩んでいた。
偶然ゆるんだネジのスキマから出てくるのはなんだろう。
「偶然ネ〜ジが〜」って気づいたら口ずさんでいる自分もいる。
本当におもしろい事するなぁ。へんてこで好き。


12 キケンナアソビ

ネジが緩んじゃったあとは、キケンナアソビ。
既出曲とアルバム曲との流れがこれまた絶妙。
偶然じゃなくわざと緩めていたんじゃないのかオイ、と言いたい。
「愛す」のカップリングとしてリリースされていたこの曲。
そういえばあのジャケット写真、お気に入りです。
青空とビルのコントラストがなんだか現実的というか、人間らしさというか。
そういう「匂い」がします。
最近はマスク生活が日常となっていて、今まで以上に「匂い」を感じられる事がなくなっている。つまり、より密じゃないとそれが分からない、感じられない。
あと火遊びは色々と危ないので、気をつけるよろし。


13 モノマネ

共感と違和感を考える事になった1曲。
小さい頃なんかは特に、◯◯ちゃんがやってるから私もやりたい。私もこれが欲しい。憧れのあの人になりたいから私もこうする。なんて事がよくある。
つまり、同じものを持ったり同じ事をする、という「共感」に安心する自分がいる。
また、恋人ができると、その人と一体化したように、共感する事で幸せな気持ちになる。それが一生続く人はすごいと素直に思う。でもこの「共感」の部分に重きを置いている人は同じ様に感じられなくなった時に、この歌詞の中のカップルのようにお別れになるのだろうか。嗚呼〜〜〜〜むず。
歌詞を読んでいると、「『世間一般』とはなんだろう」とまで考えるようになった。
世の中の普通とは。「普通」って何だ。普通の人と結婚して、普通の生活をして、普通に生きていきたい。世間一般といわれる生き方の「モノマネ」をしたがっているくせに、結婚もせず、所謂普通とはいえない特殊な環境で仕事をしている私。
ん〜まいったぜ。とりあえず今日も生きています。

14 幽霊失格

全然動かしていなかった個人twitterを急に動かして、
幽霊だったくせになんだよまったく幽霊失格だぜ、って思った思い出。
「成仏して消えるくらいなら いつまでも恨んでて」ってフレーズが好きですね。
これは「しがみつく幸せ」、なのかなぁ。
ラストブチっときれる潔いカットアウトに毎回「ハッ」となるのが慣れない。
あったかくもあり、泣きたくなる気持ちの曲。


15 こんなに悲しいのに腹が鳴る

アルバム収録曲15曲ですか? ボリュームすごっ、って思っていたのもつかの間。もう終わっちゃうのって気持ち。イントロから泣く。ええアルバムや…としみじみ。
どんなに腹が立っても悲しくても腹は鳴る。生きてるんだなぁ自分。
そういえば夕暮れ、最近見てないな。自分の影すらも最近は見た記憶がない。
ただなんとなく生きる事も悪くないと思うけれど、
「あたりまえ」をもっと大切に生きたいなと思いました。
ごはんもちゃんと食べよう。あと健康はとっても大切。

そしてまた「愛と平和で煮しめる」1曲目の「料理」へと舞い戻ります。

「夜にしがみついて、朝で溶かして」大好きなアルバムです。

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