中島さん見出し

日清カップヌードルやサントリー伊右衛門など、多くの名作CMを制作してきた、中島信也氏。

中島信也さん キャッチ

梅雨入り間近の6月初旬。大手CM制作会社、東北新社で僕は、CMディレクターの中島信也さんにお会いしていた。

中島さんは、1993年、日清カップヌードルのCM「hungry?」によって、カンヌ国際CMフェスティバルで日本人ディレクター初のグランプリ受賞を成し遂げた方だ。

またサントリー「燃焼系アミノ式」、タケダ「アリナミンV」など、数々の話題作を制作。日本のCM界に新しい風を吹かせてきた。

中島さん①

僕は、中島さんのCMの中で、資生堂の「新しい私になって」が一番好きだ。

女性がフラれるという悲しいシーンの中で、スキンケアによって、ポジティブな心へエモーショナルに変えていく映像と歌が印象的だ。

「このCMは、オリエンで、スキンケアで肌を整えて、こころも整えると聞いたので。フラれた女性がスキンケアをすることでこころが少しずつ温かくなっていく、流れをこころがけました。こころのCMが創れるんだと驚きましたね。」

「演技派CMが創れるというきっかけになったのは、サントリー伊右衛門のCMです。企画の方から、夫婦愛、妻の気持ちを描きたいと言われて、そのとき冬のソナタが流行っていまして。アートディレクターの大貫卓也さんが、演出家は観たほうがいい、と言ってくれて。観て、すごく衝撃を受けました。役者さんは人の気持ちを表現できるのだと、改めて気づいて。伊右衛門で妻の気持ちを描こうと、新しい世界に挑戦しようと。CMディレクターになって、演出というものに本格的に入っていくのかなと、思っていたのですが。」

中島さん②

しかし中島さんは、最近、また、15秒のザ・コマーシャルみたいなものが、すごく好きなんだと気づいてしまった、と言う。王道のコマーシャル芸が好きだ、と。

「15秒CMは他の映像にはない独特の芸があるのではないか。15秒のCM道というものがあるのではないか。ディレクター歴36年目で、15秒大好きと感じています。15秒でどれだけおもしろいCMを創るか。そのCM道を極めるのが僕のこれからの生き方だと思う。」

中島さん③

CMディレクター、36年目にして、CMの原点、15秒CMの魅力に再び目覚めた中島信也さん。

その身体からは、15秒への道、15秒への夢、15秒への愛が、少年の微熱のように溢れはじめていた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?