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コピーライター、こやま淳子氏。物心ついたときから、マンガが大好きで。マンガから、人間について多くのことを学び。そして人生すべてが自分のコピーの糧になることも感じながら、常に前を向いているコピーライター。プラン・ジャパンのコピー、「13歳で結婚。14歳で出産。恋は、まだ知らない。」この、こやま氏の作品は、出稿当時、たいへん話題になった

こやまさん①

こやま淳子氏のキャッチコピーで、プラン・ジャパンのコピーとともに、僕が好きなのは、手塚治虫氏の短編マンガのキャンペーンで使われた作品だ。

そのコピー、「自分が死ねば みんなのためになる、と言われたら、どうしますか?」は、僕のこころの奥深い部分まで刺さった。

こやまさん②

「マニアックなコピーが目に止まったんですね。広告している手塚治虫氏の短編集のタイトルはミュトスと言って。手塚氏の作品でもかなりマニアックなマンガです。読んでみるとわかりますが。奥深い人間が描かれていて、非常に哲学的なマンガなのです。」

こやま氏は、東京マンガレビュアーズ(旧・マンガ新聞)にも原稿を書いていらっしゃるぐらいのマンガ好き。コピーにも影響はありますか。

「そうですね。私のコピーはいろんな影響を受けていますが、マンガからも何等かの影響は受けていると思います。私にとってマンガから学んだことは、すごく多くて。ただの善悪ではなく、人間心理みたいなものやどろどろした人間の感情とかも学びました。

ガラスの仮面というマンガがあるのですが。ストーリーは、演技を仕事とする演劇少女がステップアップしていくところが見どころなんですが。演技は、技術とか、カタチだけなぞって創ればいいというものでなくて。感情がないといい演技にはならない。

『はじめにこころがあって、言葉と動きがある』というセリフがまさにコピーに通じているんですね。はじめに商品をどうしたら好きになれるかを、本質的に理解できないと。

いくら技術があっても、人のマネをしてもうまくいかない。やはりこころが入ったコピーを書かなくてはいけない。技術がついてくるほど、こころが大事だと感じています。」

こやまさん③

プラン・ジャパンのコピー、こやま氏の代表作は、どんなプロセスで生まれたのでしょうか。


「このお仕事は2012年にお話がきまして。途上国には、女の子が早く結婚させられるという問題がありまして。ちょうど震災直後のときで、いま日本がたいへんなのに、なぜ遠い国の女の子のチカラにならなくてはいけないんだと、振り向いてもらえない、と、クライアントさんからお聞きして。

遠い国の女の子のお話ではなく、自分たちと同じ女の子。恋もするし、普通に生きている女の子のお話しなんだ、ということを感じさせるために、恋という言葉を使ってみよう、と、クライアントさんと話し合って決めて。

後は、事実の衝撃をちゃんと伝えたほうがいいと思い、「13歳で結婚。14歳で出産。」という言葉を素直に書きました。フックになっている、恋はまだ知らない。というキーフレーズはスッと出てきました。」

こやま氏のキャッチコピーの数々は、やわらかな女性の本質が光っていると思う。

こやまさん④

こやまさん⑤

「最近よかったと言っていただける仕事は、介護・福祉の専門学校、EDOSENの、『介護や保育を愛のせいにしてはいけないと思った』と『この国に、いちばん必要な仕事が、いちばん足りていない。』というコピーです。

介護の世界は、愛情があれば施設とかにあずけなくてもいいじゃないか。あなたには愛情がないのか。と追いつめられている方が多いと聞いて、そのため介護の世界が広がっていかないという側面があり、それを切口にして考えたコピーです。介護経験のある方から、このコピーを読んで、泣きました、と言われたりします。」

こやま氏は、これからはモノを売るコピーライターより、社会派のコピーライターになっていきたいと、チカラある眼差しで語ってくれた。

こやま氏の想いを聞いて、僕のこころが動いた。

『消費するだけが人生じゃない。』

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