人間が女性、男性に別れる前の精神世界を描くアー ティスト、タカノ綾氏。
「3歳のころ、画家になりたいと強く想いました。」
そう語る、日本でも、世界でも、高い評価を受けるアーティスト、タカノ綾氏。
村上隆氏が率いるアーティスト集団・カイカイキキに所属しながら、ニューヨークやパリなどの世界各地で個展を開催している。
「幼少のころから、絵が好きで、画家になることしか考えていなかった。影響を受けたのは、印象派とかシュールレアリスムの作品です。ゴーギャンの、『我々はどこから来たのか。我々は何者か。我々はどこへ行くのか。』という絵のタイトルがすごく好きで、そのことばかり考えていました。」
タカノ綾さんは、その言葉によって生まれる創作意欲が作品制作の基本にずっとなっている。
その姿勢は、タカノさんがもう一つ自問自答を続ける「なぜ、この世が存在しているのか。」というシンプルな問いにも通じる。
「日本では、多くの女性の方が私の作品を好きと言ってくれますが。海外では40~50代の男性が私の作品を好きと言ってくれます。」
タカノ氏は、鑑賞する人を気持ちよくさせる、そういう至福の世界を創造しながら、作品を創っていると真剣に語る。
「私の描く人物は、人間が女性、男性に別れる前の精神世界の象徴なのです。絵や音楽や言葉は、究極的になると、人のいのちをとったり、生かすこともできると思っている。アートって、本当は、ヤバい存在だといつも想っている。でも絵を描かなくては、いられない。そういう境地に入ると、前までは、次々と絵が浮かんで止まらなかった。ふとした瞬間とか、思いきり集中したりすると、絵がどんどん実写で浮かんできた。いまでは、そのスイッチをONにしたり、OFFにしたりできるようになりました。」
タカノ綾『賛歌(一部分)』2014
キャンバスに油絵の具 805 x 3912 mm
©︎2014 Aya Takano/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
タカノ綾氏の個展以外の活動の主流としては、いまは一昨年から毎年行っている、タイのHIV孤児院の孤児へさまざまなものを寄付するための作品制作だという。
僕は想う。アーティストの作品は、アーティストの「生きろ」という「いのちのカタチ」のメッセージなのだ。
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