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クリエイティブディレクター/CMプラナー、井村光明氏。井村氏の初のご著書「面白いって何なんすか!?問題」がネットでジワジワと話題になっている。このご著書では、単語にフォーカスしていて。そのコピーが面白いのは、他のコピーの単語と似ていないからだとアプローチしている。また、2018年、UHA味覚糖「さけるグミ」のCMで、TCC賞グランプリ、ACC賞グランプリ、海外ではカンヌライオンズフィルム部門シルバーを受賞。井村氏の独自のCMの世界観が国内外で評価された。


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大手広告会社、博報堂の会議室で、井村光明氏にお会いした。
井村氏は、穏やかな笑顔で会議室に入ってきた。

「井村氏のご著書『面白いって何なんすか!?問題』、読ませていただきました。面白いとは似ていないこと、という考え方は衝撃的でした。」

「広告賞の審査に出たときですが。作品を並べて見たときに、自分が確実に判断できる基準ってなんだろうと考えたんです。
確実に、となると、「似ていない」ってことかなぁと。
僕は実家が広島なんですが。高校生のときに広島の本通りを歩いていたら、自分と同じ格好をしている人が来たんですよ。
上着はもちろんジーンズもスニーカーも同じで、エーッとなってすれ違ったのですが。
普通は似ているものって、みんな選ばないじゃないですか、でも大人になるとどんどん選ぶんですよね。広告やCMもそうで。ミーティングでも、他の事例を見ながら、この事例はこうだからこういう構造にしようという打合せがよくありましたね。
タレントさんを起用するときも、このタレントさんはこんなに人気で、こんなにウケがいいですよ、と露出の多さで説得しようとするんですが、でもそれじゃ、他のCMと同じになるじゃんと感じたり。
だから最低限のレベルで、似ていないようにしようと思ったんです。」


ただ感覚で面白いではなく。
なぜ面白いかという説明ができることも、クリエイターとして必須なのだ。


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「単語も、マヨネーズのCMで、speed!という言葉が使われたとき。
もし僕が、辞書の中からマヨネーズのCMに使うといい単語を選びなさいと言われたとしても、speed!という言葉は選べなかったと思ったんですね。
だから、違う単語を見つけることが、とても重要なんだなあと。それも他の広告やCMとは似ていない単語を見つける。
広告学校とかで生徒さんの書くコピーを見ると、同じような単語を使う傾向があるんですね。極端に言いますと、「今日はいい天気だった」、と伝えたい時に、「いい天気だな今日は」と倒置にしたり、「晴れています」とすぐ傍にある単語に置き換えるだけで満足しちゃうようなところがある。
まずは似ていない単語を使っているかどうかを見るのが、簡単に判断できる基準だと思うんです。天気がいいとか書かなくったって、例えば「もみじが鮮やかだった」と書けば、気持ちのいい一日だったことは伝わりますよね。みんなが「いい天気」という青を連想させる言葉ばかり使っている中で、そのコピーだけもみじという言葉を使っていて、オリジナルにみえる。
こういう感じというか。いいコピーって、どっかしら単語が違うものを使っているのが多いんです。」


コピーを考えるときに、自分で他と違う単語を発見する。
それが、コピーを選ぶときの基準になる。

「何かものを創るとき、僕ら凡人は似てくるものであると、認識しておいた方がいいなあと思いますね。自分が書いたものは、どこかで見たものに影響されていると。」

これは、クリエイターとして、肝に銘じておかなければならないことだ。

「井村氏にとって広告動画とは、なんでしょう。」

「それは、告知ですね。いまは難しい時代になっていて。マーケティングとか、いろんな考えも必要になってきていますけど。
ちゃんとこういう商品があるんだということを、出稿量が少なくても、効率よく告知することが必要だと思うんですよ。
だからいくら立派な理論があって、このターゲットはこうだから、こうすると売れやすくなるんですよ、という説得をしても、見たよという気分がしないとどうしようもないなあと、思っています。」

さまざまな広告理論があるが、商品を見ないと始まらないのである。
商品を見て、消費者は動きだす。

「これからは、どのような立ち位置でお仕事をしていきたいですか。」

「広告じゃない、自分の感性の幅を広げるようなオハナシもいまいただいているので。もし可能性があるなら、前へすすめていきたいですね。」


文章も、キャッチコピーも、すべて単語のつながりでできている、と、井村光明氏は強調する。

単語にこだわる。

文章やキャッチコピー以上に、単語にこだわる、それがモノ創りの新しい入口になる。
それがコピーの復権にもつながるのではないか、と、
僕のこころが動いた。


クリエイティブディレクター/CMプラナー、井村光明氏が手掛けたCMの数々。


UHA味覚糖/なが~いさけるグミ(2018年のCM)

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ニッチ商品からメジャー商品にしてほしい、というクライアントの希望があり。説明は省いて、商品名だけを言って印象づけるCM展開にした。
TCC賞グランプリ、ACC賞グランプリ、
カンヌライオンズフィルム部門シルバー受賞。


                UHA味覚糖/なが~いさけるグミ(2019年のCM)

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おもしろそうな商品と思って、買うグミだから。おもしろそうな屋台、というシチュエーションでグミの魅力を強くアピール。


     花王/ディープクリーン シュッシュデント

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泡を吹きつけて、水で流す、画期的な入れ歯洗浄剤。商品の存在感を示すために、CMにあまり出演しない女優の浅丘ルリ子さんを起用。とても目立つCMになった。


日本コカ・コーラ/先生シリーズ

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写真提供:日本コカ·コーラ株式会社

CM制作当時、調査の結果、ファンタは子どもたちに嫌なことがあったときや、ストレスをかかえた子どもたちが飲む炭酸だとわかった。そこでストレスがかかってしまう、子どもたちの象徴としていろんなユニークな先生を使ったCMを制作。


永谷園/Jリーグカレー

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当時の最新技術、モーフィングのCGを使って制作されたCM。子どもが、サッカー選手(CM制作時)だったラモス氏にどんどん変化していく様子が、とてもユニークなCM。


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一作品一会。僕の作品との出会いが忘れられない出会いになりますように。
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コピーライター/インタビュアー/吟遊詩人/キャッチコピーは、生きろというメッセ―ジも持っている。食の広告ではこれを食べて、衣服の広告ではこれを着て、採用の広告ではここで働いて、生きろと。今日も僕は「みんな、生きろ」とキャッチコピーを創り続ける。
コメント (18)
小笠原さん☺️

こんばんは〜✨

お気遣いのお言葉を
ありがとうございます。

今週も1週間お疲れ様でした✨

はい👍
お互いに、連休はゆっくりゆったりで😊

どうぞ穏やかで素敵な休日になりますように✨
「面白いとは似ていないこと」
確かにいい言葉ですね。
♡を頂いて有り難うございます。宜しければ、どうぞ又覗いてみてやって下さいませ。こちらにも又、立ち寄らせて頂きますね。
もりおゆうさん、ありがとうこざいます。小笠原聖佳です。面白いことは、似ていないこと。僕も、最初、読んだときは衝撃的でした。でも、それを指針にクリエイティブな創作をしていこう、と、思うと少し楽しみになりました。もりおゆうさんも、オリジナルなイラストを描かれますね。面白いです。もりおゆうさんも、ご自分の世界をこれからも追及していってくださいね。これからも、よろしく、お願い申し上げます。
この「面白いとは似ていないこと」という言葉は、アマチュアの方よりも本当に業界に住んでいる人の胸をこそ打つ言葉のように思います。いい記事を読ませて頂きました。有り難うございます。
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