コピーライター、石本香緒理氏。コピーの最新作は、大手脱毛サロン・キレイモの「キレイは、強い。」キレイに対する新しい価値観を創りたいと思いました。キレイって強いんだ、チカラなんだという切り口で制作しました。
パッと光を放ったような眩しい笑顔で、大手広告会社博報堂の会議室に現れた、コピーライターの石本氏。
さっそくキャッチコピーの最新作を拝見させてもらう。「キレイは、強い。」というインパクトのあるコピーが目に飛び込んでくる。
「キレイモというブランド名にキレイという言葉が入っているので。その言葉を使いたいと思いました。キレイって=美しさ、みたいな感じなんですけど。キレイの別の価値をちょっと出したいと思いまして。キレイは強いんだ、という新しい価値観をもたせました。自分が今日、ちょっとイケてるな、と、思うだけで、会議でちゃんと発言できたりとか。キレイは、前にすすむチカラを持っている、ただ女性らしいねということだけではない、ということを認識させたかった。」
いま美容業界は本当に熱い。女性の美しさへの想いも強い。真の美しさを本当に手に入れるために、女性たちが立ち上がったのだ。
「コピーが存在することで、ちょっと世の中がよくなるようなことができたらいいですね。そのコピーを見て、ひとりでもいいから、背中を押せたらいいなと思っています。いい子のようなコピーばかりは、生み出したくないな、と、考えていまして。好きでもいいし、嫌いでもいいし、こころに感情を起こす、主張のあるコピーだったらいいなと感じています。」
言葉を選び、やさしい眼差しで話す、石本香緒理氏。
今日は、広告業界でも注目された、石本氏の代表作『がん検診』のポスターも拝見させていただいた。
『「見つかった」と「早く見つかった」は大きく違う。』
「このキャッチコピーを創ったのは20代のときで、なんか自分ごとのようでなくて、遠い問題だと思っていたんですけど。先輩のお母さまが、乳がんで。乳がん発覚時のことや治療についてヒアリングさせていただいて、そこから見つけた言葉なんです。ちょっとした違いが、全然違うんだみたいなことを、コピーを創るときは大事にしたいと常々思っていて。このコピーがその代表作です。広告が世の中に出たあとに、乳がん罹患者の方々から確かにそうですね、と、お言葉をいただきました。」
このコピーは、インタビューから発見したものなのだ。
コピーは発見だ、というコピーライターの方も多くいるが。これは、まさにそのよい実例なのだ。
「ビジュアルが万年筆の手書き文字なのは、言葉がしっかり主役になった方がいいね、ということになって。アートディレクターが、手書きの文字でいいじゃないか、と言ってくれて。この文字、私が書いたんです。」
僕が、コピーライター、石本氏の存在を知ったのも、このキャッチコピーとの出会いだった。
ドキリとするような切り口。手書き文字だけのシンプルなデザイン。はじめて見たときは、相当なインパクトを感じた。
言葉のインパクトは、人の目をそこに止めるチカラがあるのだ。
言葉には何かのチカラが宿っている。
目には見えないけど、確かに宿っている。
たった2~3文字でも、
言葉は、人を幸せにするミラクルがある。
撮影:桑原克典(株式会社 東京フォト工芸)
※こちらは2月中旬に取材した内容となっております。
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