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オートクチュールデザイナー、あさの千幸氏。日本でも数少ないオートクチュールデザイナーの1人である。20歳のとき単身パリへ。6年間、オートクチュールを学び、日本に帰国後、2009年に自身のブランド「asano chiyuki」を立ちあげる。日本の伝統文化・技術を積極的にオートクチュールにとりいれる注目のデザイナー。美容の時代と言われているが。ファッションも自分をより美しく仕上げる美容の一部の時代になった。

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地下鉄の表参道駅から地上にあがると、容赦なくキリキリと陽射しが肌にくいこむ。8月の初旬。
僕は、青山に向かっていた。ドアを開けると、オートクチュールデザイナー、あさの千幸氏がやさしい穏やかな笑顔で迎えてくれた。

「私が洋服に興味をもったのが、1980年代に流行った
ボディコンファッションでした。カラダにフィットした洋服が大好きで、学校の先生に、
制服がボディコンだったらいいのに。と、真面目に提案したぐらいでした。洋服のデザインを本格的に
勉強をするために、渡仏したとき、カラダをどれだけ美しくみせるかというオートクチュールの
ミリ単位の世界に魅了されました。技術的な面でも憧れていたというのもありますし、
見た目もオートクチュールがいいなと、どんどん深みにハマっていきました。線ひとつ違っただけで
太って見えたり、痩せて見えたりするので、そういうところがすごく好きでしたね。フランスの修行時代は、
研修生という制度があって、当たり前のようにお給料はもらえません。でも生活していかなくてはならないので、
日本からお仕事をいただいて、そのギャラをフランスに送ってもらっていました。」

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あさの氏は、フランス・パリの厳しい厳しい修行時代を乗り越えて、オートクチュールデザイナーというポジションを自分のものにしたのだ。

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「日本に帰ってきたときに、京都でタクシーに乗ったのですが。たまたまその運転手の方が友禅染を
やっていらした人で。そのことにすごくショックを受け、フランスはアーティストを守るのに、
なぜ日本では守らないんだろうという国との差を感じました。そういう技術をもった人たちと
いろいろコラボができればいいな、と、思ったのが、ブランドasano chiyukiの原点でしたね。
職人さんの人たちってすごく大事で。例えば、asano chiyukiを芸能人の岩城滉一さんや故内田裕也さんが
着てくださいましたよ、と、教えてあげると、作っている人のモチベーションがあがります。」

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男性のスーツもデザインされているんですね。
「たまたまニューヨークコレクションに出たということでご紹介していただいたのが、ファイブワン・ファクトリーという
大阪にあるスーツのファクトリーなんですけど。そこで、スーツも作ってみたら、とアドバイスを受けたのがきっかけなんです。」

オートクチュールデザインとは、あさの千幸氏にとって一言でいうとなんでしょうか。

「それはエネルギーですね。私的には、エネルギーがいい職人さんの手が洋服作りに加わり、
人々がそのエネルギーのよいものをまとって、よりエネルギーの高い人になる。
その循環を創っているのがオートクチュールデザインだと思っています。」

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そのポジティブなエネルギーを生み出すチカラに、あさの千幸氏の研ぎ澄まされたシャープな美の感覚を感じる。

「私のデザインや技術を好きと言ってくださる方が、既製服を作ってほしいとおっしゃってくれまして。
いま既製服のブランドを立ち上げる準備をしています。来春にはリリースする予定です。
そのブランドはニットに特化しています。ニットについては1年ぐらい研究をしました。
ニットというのは、あまりオーダーで受けられないので、既製服を作る意味があるかと。
今までのアパレルの考え方を変えるような革新的なコンセプトになりますので、ぜひ楽しみにしていてください。」

あさの千幸氏が既製服のブランドを立ち上げるという。ファンとしては、たいへんなビッグニュースだ。

「いまの私の夢は、既製服ブランドの収益の一部で、多くの子どもたちに、クリエーションで
希望を与えてあげることですね。夢がふくらみます。」

洋服は、お洒落なアイテムから、
今まで以上によりいっそう美しくみせる、
という美容の一部になった。

これからファッションは、どこへ向かおうとしているのか。
ファッションの道は、どこへつながっていくのか。

あさの千幸氏に出会って、
ファッションのその先に
眩い光が見えたような気がした。


あさの千幸氏の
新しくリリースするブランド情報は
こちら。

https://knitoday.jp




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