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もしゲームの中に閉じ込められたら 11

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この法則を調べている間にも、オレには試練が次々とやってきていた。

会社では仕事が面白く、夢中で働いていた。自分の隠れていた才能が発揮されていた。その上、良い上司に恵まれ、新しい仕事もどんどん任せてもらい、突き抜けた結果も出していたのだが・・・・ある時その上司が異動になった。

代わりに着任した上司「石川」は・・・最悪だった。

突き抜けた結果を出し、上からも可愛がられていたオレのことを面白く思わないようで、放置というなの陰湿なパワハラを受けていた。

オレに対して、情報、新しい仕事、等を一切与えず、他の人間に対しての過剰なまでの関与。それまでのオレの担当だった仕事も、一緒にやっていた他のメンバーにしか情報を共有せず。つまり、オレを潰しにかかっているということらしい。それも他の人間には知られないように・・・。

それからは仕事に対して情熱がなくなるどころか、投げやりな気持ちしかなかった。しかし、なぜかその上司と「きちんと向き合わないといけない」という謎の気持ちがあり、向き合うたびにオレは傷つき、今まで出会ったことのない人間の狡猾さをみせつけられるのであった。

オレは、毎日泣いた。ただ、楽しく仕事をしていただけなのに、なぜこうなったんだ。オレはこの仕事が好きだった。短い期間にも関わらず、突き抜けた結果を出し、後輩を育成し、他の誰よりも正面から向き合ってきた。なのになぜこうなったんだ。。。。

手放したくない。このキャリア、この職場の仲間を絶対に手放したくない。

いつしか執着していた。

しかし、それが出来ないことも心の奥底でわかっていた。

組織の中では、オレは無力だ。

石川がいる限りオレには単調な誰にでもできる仕事しか回ってこない。

この時は、オレはおそらく鬱になっていたと思う。

どうしていいか分からない。毎日涙が出てくる。

この時のオレは、ゲームの中に入っていることをすっかり忘れていた。

ゲームの中で、くだらない人間と同じ土俵で向き合い、疲弊し、悲しみ、被害者意識と無力感に襲われ、嘆き悲しんでいた。

かろうじて正気を保てたのは、「法則について」自ら調べ始め、その法則を使いこなそうと、真剣に向き合っていたからだった。

自分の力を取り戻したかったのだ。

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©️2020/1 hiro


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