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画材を知ろう(随時更新)

noteサークル『お絵かき部』では、アーティストや画材のお話、描き方のコツなんかを発信し、作品制作においてのご相談なんかを掲示板にてやりとり出来るようにしている、というのが入部されている方への大きなポイントとなっていて、月額¥100〜500円で利用していただいています。
(詳しくはこちら→サークル『お絵かき部』)

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しかしながら、「サークルに入るのはちょっと」とか「要点だけまとめたモノを読みたい」という方もいらっしゃるので、そんな方向けにサークル内(研究生向け)でお話している「画材のお話」に内容をプラスして、シンプルにまとめたものを有料にてお届けすることにしました。
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では、本題に入りたいと思います。
「画材」についてお話しする前に、まずはこちら

絵が上達する方法はなんだと思いますか?

それは、ズバリ「マネして描くこと」です。
ただ、それには順序というのがありまして、いきなり難しいものをチョイスしてしまっては「私には描けない」という、間違ったすりこみになり得る可能性大なので、何から描いたら良いのかをお話ししたいと思います。 

まずは、モチーフについて。
絶対に避けてもらいたいのは、「人物」から入ることです。
人物はモチーフの中で一番難しいので、ここから入ると大抵挫折します。
鳥は羽毛、動物は毛で覆われていますが、人間は皮膚、爪、毛という異なった素材に「洋服」という別物が加わるので、動物よりも人間は多種多様な素材が混ざっていることがわかります。
そして、姿形だけでなく、動きも複雑です。

例えば、人間の関節の数は全部で260個以上。関節は約6割手足に集中していて、そこだけで140個くらいあります。(ちなみに、手足の関節の数は、猫=約120個、ヤギ=約60個) 複雑な動きをする動物ほど関節が多い、ということですね。
関節が多ければ微妙な角度で曲がる部分が増えるので、それを描くとなると決して単純ではない、というのがわかると思います。 

とすれば、何から練習するのが良いのでしょう? 
それは、以下の順になります。

①器、果物、花などの静物
②昆虫や魚などの生物 
③鳥、両生類
④哺乳類
⑤人間
風景(建物など)については、③辺りで入れていく感じでしょうか。
ちなみに、ワタシが専門学校に通っている時 「静物画が描けるようになるのが3年、動物が5年、人物は10年かかる」と教わりました。

それはさておき、上の順番で描く練習をしていくと、観察力が養われ形を取れるようになり、同時に画力も向上していきます。

数をこなすなら鉛筆で、使いたい画材がある人はそれを用いて練習してみてください。
モチーフは、立体物を置いて描くんじゃなく、画像を活用しましょう。

3D→2Dは難しいので、2D→2Dで描き進めてください。 ここが一番のポイントかもしれません。
画材については、「一番優れているのはコレ」というのはありません。 
それぞれ特性が違い、どういうものを描くかによって難易度も変わるからです。
印象派のような淡くぼんやりした画風と、写実的な超リアル画では、表現方法が全く違いますからね。
更に「油絵は何度も描き直せる反面、臭いが強く乾きが遅い」とか、「カラーインクは発色は良いのに色の劣化が早い」とか、画材によってメリットデメリットがあります。
自身の生活環境や仕事内容によって画材のチョイスが変わったりしますから、何を使ってどんな表現をするのかを決めていくと、上達への近道にもなります。 

では、画材について見ていきましょう。

〈鉛筆〉

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老若男女問わず使われていて、誰もが知っている超有名な筆記用具が「鉛筆」です。 

小学生でも知っている鉛筆ですが、鉛筆に書いてある「B」とか「HB」とは何のことか、知っていますか? 

鉛筆の芯(墨芯)の成分は、黒鉛と粘土で、その割合によって硬さ(柔らかさ)と濃さが決まります。
「H」はハード(硬い)、「B」はブラック(黒)という意味。
鉛筆は『 HB、B、2B、3B、4B、5B、6B…』と、数字が大きくなる(黒鉛が多くなる)ほど色が濃くなり、芯は柔らかくなります。
 「F」というものもありまして、この「F」はファーム(しっかりとしたという意味)で、BとHの中間の濃さと硬さになります。

鉛筆は、最も薄くて硬い「9H」から、最も濃くて柔らかい「6B」まで、全部で17種類あります。これは日本産業規格(JIS)によって定められていて、鉛筆の濃さや硬さはすべてJIS規格に準拠して製造されています。(世界では10H〜10Bまで、22種類くらいあります)
 簡単に説明しましょう。 

芯の濃さと硬さ
9H〜7H:ものすごく硬い芯で、紙の他にも金属や石材などに文字を書く際に用いられます。
6H、5H:芯が硬く細い文字が書きやすいので、精密な製図設計用などで使われます。
4H、3H:上記同様精密な製図設計用の他、硬い芯を好む人が用いることもあります。
2H、H:一般製図設計用として使われることが多く、細かい字や薄い筆跡を好む人にも用いられます。
F、HB:最もよく使われています。
B:芯が柔らかいので筆圧の強い子供に適しています。
2B、3B:芯が濃く柔らかいので手にかかる負担が少なく、長時間筆記向きです。 4B、5B:デッサンなど絵を描く際に用いられます。
6B:同じくデッサンによく用いられ、こすってぼかし効果を入れる等に使われます。 
今ではシャーペンが主流ですから、鉛筆を使うことはあまりないかもしれませんが、絵を描く時(アイデアスケッチや下書きなど)には、ぜひ鉛筆を使ってみてください。
 
メーカーによっても書き心地が違いますので、それはお好みで。

〈紙〉

何に絵を描くか?といえば、たいていの方は「紙」でしょう。
その紙の〈サイズ〉について、まずはお話しします。
身近なところで使われている紙のサイズの主流は「A4」や「B5」などで、「A4」はコピー用紙、「B5」はノート等で使われるので、「A」とか「B」というのは聞いたことがあるかと思います。

これは「A・B規格」といって、AB共にJIS規格(日本産業規格)で正確なサイズが定められています。 ※日本産業規格(JIS規格)とは、日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のことです。 
ちなみに、A判は国際標準規格でもありますが、B判は日本の規格で、江戸時代の公用紙(美濃紙)の寸法を基に作られたものです。 
この規格の他にも、キャンバスなどでは「号」(F・人物、P・風景、M・海景、S・正方形の4種類)、封筒などは「角」といった、様々な名称の規格サイズが流通しています。

紙の〈厚さ〉は、「90キロ」「110キロ」「135キロ」など「キロ」で表示されます。 この「キロ」というのは重さ(㎏)のことで、「原紙1000枚分の重さが何㎏になるか」で紙の厚さを表しています。 
同じ種類の紙なら、「重いほど厚い」となるわけですね。
紙の〈種類〉は実に様々です。色、荒さ、厚みなどが違い、画材用紙でいうとケント紙、パステル紙、和紙、水彩紙、木炭紙などがあります。
では、画材用紙についてご紹介しましょう。 

ケント紙」は、硬く、表面が平らで滑らか、油性のペンで描いてもにじむことは少ないでしょう。 
パステル紙」は、鉛筆やパステル、木炭でのデッサンを描く方にオススメです。表面に凹凸があり、適度な強度もあります。
和紙」は、繊維が長いため折り曲げに強く、長い時間を経過しても変色が少ない上、湿潤強度が強いため濡れても丈夫です。
水彩紙」には紙肌という凹凸があります。 細目(スムース)は、繊細な表現が可能で、色の伸びも良いのが特徴です。 中目(ノット)は、紙の目としては中間の使いやすさがあり、初心者は中目から試してみると良いでしょう。 荒目(ラフ)は、凹凸が強く、絵の具がのりやすいのでグラデーションなどの表現に最適です。
 繊細な絵を描きたい方には「細目」を、ぼかしやにじみを効果的に描きたい方は「中目」を、かすれ表現などでダイナミックな絵を描きたい方には「荒目」をオススメしますが、水彩紙は高価なので、本格的に絵を描く前(練習段階)ならば、手軽な画用紙を利用するのが良いと思います。
木炭紙」は、木炭を使ってデッサンする紙ですが、紙の目が鋭角で木炭のつく量がとても多いのが特徴です。表面が強く、ねりゴム等を使って強く拭き取ってもけば立ちません。日本では、各美術大学入試の実技デッサン用として使われています。
マーメイド紙」は、水彩画やアクリル画に向いている、毛羽立ちのない強い紙です。
ワトソン紙」は日本の最高級画用紙といわれ、水彩画やアクリル画はもちろん、パステル画やデッサンにも用いられます。

紙色も紙質もメーカーによって異なるので、「
実際使ってみないとわからない」というのが正直なところですが、どんな紙があるかがわかれば、大体の目星はつくんじゃないかと思うので、まずは「何で描くか?」を決めてから、「何に描くか?」を考えてみてください。 
紙色については、同じ「ホワイト」という表記でも、メーカーによって白さの質や度合いが異なります。ややベージュがかっていたりするものもあるので、着彩する場合は用紙の色を実際に見比べてから購入されることをオススメします。
余裕があれば、いろんな種類を試してみましょう 。
(国内代表メーカー:マルマン、ミューズ、オリオン)

様々な用紙の裏に厚紙を貼り合わせた、便利な「イラストボード」もあります。
それについては、こちらの記事をどうぞ→『オススメする万能なイラストボード

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〈マーカー〉

「マーカー」というより「ペン」といった方が馴染みがあるかもしれません。

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マーカーには、油性水性があり、更に水に溶ける染料と水に溶ける顔料とに分かれます。 近年はコピックマーカー(Too.)などのアルコール性のものが人気ですね。
 アルコール性はコピートナーを溶かさないのが特徴で、元々プロ向けに作られたものですが、今となっては塗り絵やイラストの色塗りなんかに利用されて、プロ以外にも身近なアイテムとなっているようです。
では、このマーカーについて説明しましょう。

油性の染料は「マジック」と呼ばれるもので、ゼブラのマッキーや寺西化学のマジックインキなどがそれになります。
「マジック」は、寺西化学の〈マジックインキ(1953年発売)〉がポピュラーになったことから、油性ペン自体の呼称として使われるようになりました。いずれにしても、油性はニオイがキツイというのが特徴ですね。 
油性の顔料は「ペイントマーカー」と称されて、ぺんてる・パイロット・三菱から発売されています。

水性の染料は「サインペン」や「カラーペン」と呼ばれています。
水性の顔料は一番種類が多い分類で、蛍光ペン・筆ペンもこの種類になります。 (「サインペン」は、1963年発売のぺんてるの水性ペン〈サインペン〉が呼称の由来といわれています。)

水性の顔料については、更に『顔料タイプ』と『顔料、樹脂タイプ』に分かれます。
顔料タイプ』は、耐水性・耐光性で紙専用、ドローイングペンはこれに入ります。 (ドローイングペンはサインペンの一種で、ペン先がプラスチック製になっています。水性染料サインペンのペン先はフェルト製です。)
顔料、樹脂タイプ』は、プラスチックやガラスなんかにも書けるもので、三菱のポスカやプロッキーがこれになります。
子供用に、サインペン・カラーペンの名称で販売されているものは水性染料なので、裏移りしたり洋服についたりして、ちょいと厄介ですね。
服に付着すると油性ペンの方が落ちにくいイメージがありますけど、水性ペンは一度乾いてしまうと素材に定着してしまうので落とすのが大変なんですよ。 一度定着してしまったインクは再び水で濡らしてもにじんでしまい、余計に広がってしまうので。
水性ペンが洋服についてしまった時は、「還元系漂白剤(ハイドロハイターなど)」を使えば落とすことが出来ますよ(油性ペンは油分自体を溶かしてしまえば落とせます)。
  水性マーカーは、今では100円ショップでも売られているので(質はともかく)手軽に手に入れることが出来るようになりました。 
本格的なイラストを描くには不向きですが、ちょっとしたイラストの色付けには良いかもしれません。

〈色鉛筆〉

ポピュラーな彩色画材といえば「色鉛筆」でしょうか。

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国内メーカーでは、三菱鉛筆やトンボ鉛筆が定番といったところですが、最近では海外製品も手に入るようになりましたね。
色鉛筆は(同じブランドでも)いろんな種類があるので、どれを選んで良いのか迷う方も多いと思います。
 
色鉛筆には、「油性」と「水彩」の2種類がありますが、質感や色合いが異なるのでどんな作品を描くかで選び方も変わってきます。 

油性色鉛筆の原料は「顔料+ろう(ワックス)」なので、水をはじきます。重ね塗りや絵の具と合わせて使っても色鉛筆の色を楽しむことができ、発色もよく扱いやすいというのが特徴です。
水彩色鉛筆は、水を使うと簡単にぼかしやグラデーションを表現できます。水彩画のようなタッチで描くことができるので、水性色鉛筆とも呼ばれています。(水を使わない場合は、油性色鉛筆のように描けます。芯は硬めです。) 

芯の硬さは、JIS規格で「硬質・中硬質・軟質」に分類されています。
硬めの芯は、線を描いたり細かい部分を塗るのに適しています。均一な濃さで描けるので、重ね塗りに向いていますね。
柔らかい芯は、発色とのびがよいので、広い範囲に色を塗る際に使うのが良いでしょう。
規格はあるものの、メーカーによって発色や芯の硬さは異なります。
比較的芯が硬く折れにくいのはトンボ鉛筆で、筆圧の強い子供に用いられることが多いと思います。三菱鉛筆も芯は硬めです。発色が良くバリエーションが多いので、子供から大人まで幅広い層から人気があります。
そして、 誰もが使ったことがあるといっても過言ではない色鉛筆は、サクラクレパスの「クーピーペンシル」でしょうか。 

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色鉛筆全体が芯で、折れにくく消しやすい使い勝手の良さから、近頃は小学校等で指定文具にされているようですね。 クレヨンと色鉛筆の中間のような描き味は、プラスチック色鉛筆ならでは。原料に、顔料、ワックスの他に、ポリエチレン樹脂が入っていて、それにより消しやすくなっています。
油性色鉛筆は、紙の表面の細かい凹凸にしっかり成分が入り込むので消しゴムでは消えませんが、ポリエチレン樹脂は凸凹に入り込みにくいので消しゴムで落としやすい、っていうわけですね。 

じゃぁオススメは?というと、先に記したように「どんな作品を描くか」によって違うので一概には言えませんが、ワタシの好みでオススメするとするなら、油性色鉛筆ならダントツで「「ファーバーカステル ポリクロモス』です。
芯が折れにくく、滑らかな描き心地で発色が良い、全体的に落ち着いた深い色味が特徴です。ドイツ製で価格はやや高めですが、色数が120と豊富で色彩表現の幅が広がりますよ。重ね塗りをすると、色が重なりながら混ざる感じで下に塗った色はにじまず、キレイに仕上がります。
他にもいろんなメーカーがあるのでチェックしてみてはいかがでしょう。
カランダッシュ(スイス)、ステッドラー(ドイツ)、ホルベイン(日本)、スタビロ(ドイツ)、ターレンス(オランダ)ダーウェント(イギリス)、サンフォード(米国)など。
身近にある色鉛筆で、ぜひ試し塗りをしてみてください。
何種類かあれば、描き比べるてみると面白いと思います。
ワタシは、色鉛筆はひと目で色味が分かるように、色見本を作って保存しています。
参考までに。

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〈つけペン・インク〉

つけペン
つけペンは、ペンの先端にインクをつけながら筆記や描画に用いるペンです。
つけペンのほとんどは「ペン先」と「ペン軸」とに分かれていて、用途に応じてそれぞれを選択し組み合わせて使用します。

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