認知科学に基づくコーチング

はじめに

みなさんは日頃、仕事でこんなことを成し遂げたい、こんな人生を送りたいなど、様々なゴールを描いていると思います。もしかしたらゴールについてあまり真剣に考えたことがないという方もいるかもしれません。
または、「自分に向いているのはなんだろう?」とモヤモヤとしている方もいるでしょう。かつての私もずっと自分探しの旅にいる状況でした。

現在、私は、認知科学に基づく脳と心・マインドのカラクリを使い、より自分らしくパワフルに生きるためのコーチングについて勉強しています。

勉強の中で『人間の脳は、ゴールを設定すると、無意識に達成への道を示してくれるというとてもクリエイティブな機能がある』ということを知りました。え!勝手に!?って驚愕しました。そして、ゴールは人の評価ではなく自分で設定して良いということも知りました。

今回は、その脳と心のカラクリについて、6つのキーになる言葉と共にできるだけわかりやすく説明していきたいと思います。

それではよろしくお願いします。

エフィカシー

みなさんはエフィカシーという言葉を聞いたことはあるでしょうか?

エフィカシーとは日本語では自己効力感といいますが、ここで使うエフィカシーとは「未来の自己のゴールに対する達成能力の自己評価」です。

人は、自分自身がゴールを達成できるかどうかを無意識に自己評価しています。
みなさんには周りが無理だと言っても「できる!」と思った謎の自信を経験したことはないでしょうか?それが自分でゴールに対し「やれる気がする!」と高く自己評価した、エフィカシーが高い状態といえます。

このゴールを達成する能力を高く自己評価することが、未来のゴール達成には一番重要なこととなります。
ゴールを達成できると自分で信じてなければ達成は難しいというのは、よくわかる話なのではないでしょうか。

エフィカシーについてはまた後で出てきます。「ゴール達成のためにはエフィカシーを高く持つことが重要」と覚えていただければと思います。

コンフォートゾーン

皆さんの多くは、今年はダイエットをしよう!英語を話せるようになろう!と思って数日頑張っても、いつの間にか元の自分に戻ってしまっていた、そのような経験があるのではないでしょうか。

人間には、外的要因がどうであれ体温や心臓の鼓動など無意識に生命を維持する恒常性維持機能が備わっていますが、この機能は人間の心の部分にも及ぶと言われています。

慣れ親しんだ考え方、価値観など一定の安定した状態を維持しようとするのです。
コーチングでは、この安定した一定の範囲のことをコンフォートゾーンといいます。
元の自分に戻ってしまうのは、コンフォートゾーンを維持し続けようとコンフォートゾーンに戻る機能のためです。

人間はこのコンフォートゾーンを維持し自分の快適な状況に存在し続けようとします。そしてこのコンフォートゾーンにいる状況が人間のパフォーマンスが一番発揮できる状況と言われています。スポーツでアウェイだと負けやすいというのは、慣れ親しんだホームというコンフォートゾーンから出てしまい本来のパフォーマンスが発揮できない状況であるからと言えるでしょう。

このコンフォートゾーンはゾーンというだけに一定の幅がありますが、1つしか持てないという特徴があります。
生命維持において体温が極端に変温することがないよう維持されているのと同様に、本を読むたびに影響を受け人格が変わるといったようなことはありません。映画を見て主人公の人格になりきるといったこともあるかと思いますが、数日たてばいつもの自分に戻っていることでしょう。

そしてこのコンフォートゾーンは、今皆さんが抱いているゴールにおいて重要と高く評価した価値観でできてきます。今いる会社で貢献すると言ったゴールがあれば、今の会社のメンバーを大事にし、会社の価値基準を大事にすることが重要な価値観、コンフォートゾーンと言えるでしょう。

ですが、もしゴールを変えたとしたらどうでしょう?例えば、子供が生まれ家族との時間をより大事にしようと思った場合。今の会社が残業が多ければ、今の会社の価値基準は重要でなくなります。
つまりコンフォートゾーンではなくなるのです。

このようにゴールを今とは全く違うものに設定すると重要と高く評価されることが変わりコンフォートゾーンが変わります。人間はコンフォートゾーンを2つ持てないので、ゴールを達成するために重要な価値観がコンフォートゾーンとなるのです。

でも、ダイエットと同じように、困難な目標を設定した場合、元のコンフォートゾーンに戻ってしまうのでは…という心配の声が聞こえてきます。
それは、ゴールにある自分を自分らしいと思えず、エフィカシーが低い状況であることが原因と考えられます。
今年は痩せるぞ!と年始に心に誓った時のことを思い出しましょう。ダイエット辛そうだな、、食欲に負けそう、、誓いを立てたものの心の底では、結局太ったままの自分があったのではないでしょうか。
ゴールにある自分を想像しそのように振る舞うこと、そしてそれをやり遂げるというエフィカシーの高さを持つことが重要です。

新しいゴールを設定し、高くエフィカシーが持て、ゴールにいる自分をコンフォートゾーンと出来た時、脳はゴール達成のための道しるべを無意識に導きだします。
達成のための方法はわからなくていいのです。

スコトーマとRAS

このゴールにおいて重要なことが見えるようになる機能を、RAS(Reticular Activating System:ラス)といいます。
人間が集中して重要な物事を処理するための機能です。

目に見えているもの、五感で感じるもの全てを脳が処理したらパンクしてしまいます。今この文章を読んでいる皆さんの回りには、携帯や紙やペンがあったりするかもしれませんが、存在しないかのように意識していないと思います。なぜなら今皆さんの重要度が「この文章を読んでマインドのからくりを知りたい!」ということにあるからです。携帯に思いを馳せ、LINEがきているかも、今日の天気は?など考えたら、途端に集中できなくなるでしょう。
このように重要なことのみに集中させる、重要なことのみを目の前に見せるということを無意識に脳は行っているのです。
そしてこの重要性はゴールによって決まりまます。

逆にそれ以外のことは先程の紙やペンのように存在していても見えなくなっています。これを心理的盲点・スコトーマといいます。
英会話を習おうと思ったら英会話学校やその広告が今まで気づがなったのに目につくのと同じことです。それは以前から存在していたのに、それまでは重要でなかったので見えていませんでした。

つまり自身のゴール、コンフォートゾーンが変わらない限り、見えるものや目に見えないものは大きく現状と変わらないということとなります。

ですので、現状のコンフォートゾーンで思い付かないゴールを設定することが大事となります。
その事で、今までストーマとなっていたことが見え、脳はゴール達成に向け今まで見えなかった世界を見せてくれるようになるのです。

ゴール設定

これまでゴールという言葉を目標設定のような意味で使ってきましたが、スコトーマを外しより脳をエネルギッシュにクリエイティブに働かせるためには、ゴールにおいて以下のことが重要となります。

・ゴールを現状の外に置くこと
・ゴールの内容が自身のwant toであること
・人生のあらゆる側面にゴールをおくこと

まず、「ゴールを現状の外に置くこと」ですが、現状とは、現状のまま行けば十分に起こりうると予測される未来のことです。現状の外にゴール置くということは、現状のまま行けば十分に起こりうると予測される外にある未来にゴールを設定することをいいます。

現状のまま行くと言うことは、現在のコンフォートゾーンにいる中で達成し得るゴールなので、多少視点が変わったとしても、コンフォートゾーンが広がった程度で、現状のままのコンフォートゾーンを維持し続けるでしょう。
一番大事なのは、現状の延長線上にないゴールを設定することで、コンフォートゾーンをずらし、スコトーマを外しRASを機能される。今まで見えなかったことが見えゴール達成に向けよりクリエイティブに生きることです。

ゴールは達成することも大事ですが、それよりも達成の仕方が分からないくらいのゴールを設定し、ゴール達成への道標を脳の機能に任せ、よりクリエイティブに脳をフル活用することが重要なのです。

そしてゴール設定はこれまで積み上げてきた過去の成功から考えるのではなく、自分で決めてしまって良いと言うこともお伝えします。
なぜなら、過去のやり方で戦ってしまうと、現状のコンフォートゾーンに留まることになるからです。
脳はゴールを設定するとその整合性を無意識に取りに行きます。何か失敗してしまった時にいろいろな言い訳を思い付くのと同じことです。これは人間の脳に備わった機能であり、人間には、その才能があるのです。
何もないところにゴールを置くのが怖いと思うかもしれません。ゴールを設定し、スコトーマが外れた時、自分が達成したいゴールに関することに詳しい友人が身近にいたといったようなことは良くあります。未来のゴール達成に必要なリソースは見えていなかっただけなのです。

次に、「ゴールの内容が自身のwant toであること」です。自分の本当にやりたいこと、やってしまうことでゴールを設定すると言う意味です。want toの逆はhave toとなりますが、人にやらされてやることではなく自分の本当にやりたいことで設定することが重要になります。

最後に、「人生のあらゆる側面にゴールをおくこと」と言うことですが、仕事だけではなく、自身の生活のあらゆる側面でゴールを複数設定することが大事となります。
バランスホイールというフォーマットを用いて設定しますが、仕事以外に、趣味、家族、人間関係、健康、ファイナンスなど7つの領域を加えバランスよく設定していきます。

例えばもし、仕事だけでゴール設定をしたとしましょう。
その場合、脳は設定したゴールに向かうわけですから、仕事のみに集中して時間を使った結果、健康を害したり、家族や友人との関係性を損なってしまう恐れがあります。
ですので、人生の中で重要となるカテゴリ全てでゴールを置くことが大事なのです。

ゴールを複数持つと集中力が分散すると考えがちですが、脳は整合性を取るように動きます。そして人生のあらゆる側面のゴールを持つことで臨場感を高く持つことができ、また、全てのカテゴリを通典する真のゴールが閃きやすいということも言われています。

セルフトーク

ゴールを設定しコンフォートゾーンをずらしたとしても、今まで慣れ親しんだコンフォートゾーンに戻る力は強力です。
その時に注目したいのが自身のセルフトークです。

人間は日に何万回と意識的・無意識的に自身に話しかけていると言われています。これをセルフトークといいますが、セルフトークにはご自身の価値観が表現されています。

もし、ネガティブなセルフトークが現れた時は、新しいゴールに身を置いた時の自分のセルフトークに書き換えましょう。

例えばあなたがスポーツ選手で、オリンピックで金メダルをとることをゴールとしたとします。なのにオリンピック前の大事な試合で負けてしまいました。
その時にどんな言葉を自分にかけるでしょうか。
これまでも大事な時にミスをして来た自分だとしたら「やっぱり自分はプレッシャーに弱いんだ」とこぼしてしまいがちです。
ですが、このセリフをオリンピックで金メダルをとる自分のセリフに書き換えるのです。「ミスをし負けるなんで自分らしくない。自分はいつでも冷静に最大の力を発揮し勝つことができる」といった具合です。

このように無意識な自身のセルフトークを観察し、ゴールにある自分のセリフに書き換えていきましょう。
このことが元のコンフォートゾーンに戻る力に対抗し、新しいコンフォートゾーンを維持させ、脳が無意識にクリエイティブに動く状況を作るのです。

最後に

このように脳と心・マインドのカラクリを使って、まだ見ぬゴールに向かってクリエイティブな人生を送る。常にチャレンジする。そのような人生を送りたい皆さんの伴奏者となるのがコーチです。

現状の外のゴール設定、そこにエフィカシー高く向かうことを自ら行うことは難しいことです。

本コーチングは、皆さんの現状の外のゴール設定、そしてエフィカシー高くゴールに向かうお手伝いをいたします。

現在はVUCA時代と呼ばれ、変化が激しく少し先の未来であっても予測不可能な時代と言われています。
大きな会社であっても永遠に存続する保証はありません。同じ状況で安定し続けることは難しいのです。
そのような状況にあって、ゴールを現状の外におき、スコトーマを外し、様々な視点や広い視野を持つ、脳の重要性をハックしクリエイティブに生きるということは、これからの必須スキルと言ってもおかしくないかもしれません。

是非一緒に、脳の才能を存分に発揮し、パワフルでクリエイティブな人生を歩んでいきましょう!

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