🥚は『ラーバ』で５さいになった（きがする）

🥚の悪い癖だが、はしゃぎすぎると写真を撮るのを忘れる。
記録を残せと散々いわれているのに、忘れる。
この前も撮らずに食べて、手つかずの後輩の皿と交換して写真を撮った（撮り終わってからちゃんと返した）

🥚は、５月生まれである。
以前のような、ブイブイ🦃で居られなくなってから、たぶん５年目だと思う。
ただ、今年の誕生日、🥚はきちんと歳を重ねられている実感がなかった。
嫌でもカウントアップしていく、数値的なそれは、だいぶ前に🥚にとって意味をなさなくなった。
（だから、🥚に年相応な振る舞いを常に求めるんじゃない。必要なときは🕊にもなるさ。たぶん）

🥚は、明らかに昨年の同時期よりも、いきるとはどういうことかがわからなくなっていた。
生活をするとか、仕事に行くとか、そういうことに元々意味は求めていない。だけど、「ああ、これは時間の浪費だ」と感じた。無駄遣い。🥚は、成長を止めるどころか、過去に🥚を置いてきてしまい、迷子だった。🥚は、どこに帰ったらいいかわからなかったし、そもそもどこにいるのかもわからなかった。
たぶん、🥚以外の家族もそうなんだと思う。混乱の中、🥚の誕生日を迎え、母の誕生日を迎えた。
ハチジュウまで生きると言っていた母は、歳を取らなかった。

ここで涙がこぼれる。
🥚は、寂しいのだ。
会えなくても、どこかで生きていてくれれば🥚はそれでいいと思っている。
🥚は決して母と仲がよかった訳では無い。
だから、彼女の『死』が悲しいとおもわない。
ただ、寂しいだけなのだ。

そんな🥚は、もともと気分屋で（いまはこういうのを気分障害という）、気乗りしないと出かけられなかったが、🥚の年齢がリセットされてからは、「いかなきゃならない」のに行けないこともあった。ちなみに🥚は今でも『電話をする』という行為が嫌いなので、遅刻も欠席もしたくない。
家族は、こんな🥚を抱えながら、非日常を過ごしていた。だから、🥚もそのままの🥚でいる努力をした。正直、🥚が「生涯学習論」のスクーリングに行けたのは勢いである。というか、行きが詰まりそうだった家庭からも職場からも逃げ出したかったのだ。それに気がついたのが最終日でよかった。おっかねえひとを認知したのが、最終日の帰る段階でよかった。じゃなかったら、🥚はスクーリングにいけてないかもしれない。🥚は、予定ではスクーリング中は都内にいるはずだったが、ずっと『帰る』っていい続けて父を困らせていた。結果毎日帰ったし。よんさいだから仕方がない。

そんで、ちょっと🥚は生涯学習論で🥚が棄てていたものを拾い始めた。やっぱりその間も怖かったけど、🥚は🥚のペースでやろうって言い聞かせながら、🥚をあたためている。🐣だったはずが、お外にでて🥚になっちゃったけど、🥚なりにコロコロ転がることにした。そうすると、家族は安心するし、職場も安心する。でも🥚は、自分じゃない🐓がつつかれているのもダメなので、よくコロコロした。コロコロ。
まだ、５さいにはなれそうもなかった。

🥚は、試験がある科目は２個しかない。
なのに、７月の試験に課題１すら合格を貰っていない。🥚は、そこの心配もしたけど、次のスクーリングの教科書が面白くて、そっちばかりにならないように気をつけながら教科書を読んだ。結果、両方進まなかった。そんなもんだ。

で、🥚はミュゼオロジーの授業で運命的な出会いを果たす。

まず、教科書が面白かった理由に、教科書の最初を書いていた新見先生が、🥚が最高に温泉卵になるべく地中深くに埋まっていたときに、『たまたま』行った『故郷の』美術館に関わっていたからだ。
新見先生の最初のやつ、じつは🥚は知っている。
というか、こういう積み重ねでアレが出来たのか！という、🥚の人生（鶏生？）において、知り合いが書いた書物以外でうけたことのないアレが芽生えた。ニホンゴムズカシイ。

ホンモノの新見先生は想像以上にアグレッシブだった。

🥚は、ちょっとビビった。
ほかのひとは、『書物の通りの方ね』と言っていたが、🥚には故郷の美術館のイメージもある。
ホンモノの新見先生の講義を聞いた方は、ぜひ一度新見先生を感じに大分の美術館に来て欲しい。
それから、新見先生のインスタを見て欲しい。
新見先生の、『アグレッシブ』だけでは収まらない、複雑さ繊細さ細やかさ大胆さなどなど、たくさん感じてから先生というひとを評価して欲しい。

🥚は、まさに🥚が求めていたひとがそこにいるではないかとときめいた。杉浦幸子先生である。
杉浦先生は、🥚がやりたいことを実現しようとしている人だ。🥚は🥚以外にそんなことを考えてるひとがいるなんて考えたことがなかったから（これは🥚が🥚自身のことをユニークといっているのではなく、友人がほぼ居なかったせいで🥚に仲間がいるとかいないとか考えること自体をしてこなかっただけである）、🥚は杉浦先生の存在を知ることが出来ただけで、大学に入っただけの価値を得てしまった。
この時点で、🥚は卒業にさらに執着しなくなった。
もともと🥚は、ほかにするひとがいるなら🥚の席はいらないから他探すね、っていう生き方をしていたのだが、今回ばかりは🥚は背中をどかんと押してもらったと思う。🥚は嬉しかったし、ちょっぴりやる気も出た。

あともう一人。
🥚がさんざんいっている、「ホントは前回のスクーリングでトモダチが出来なかったから、今回はトモダチつくるぞ」と意気込んで持っていったものの、最終日まで使われなかったケント紙とマッキーを使わせた人である。
どこがいい、とかではないのである。存在そのものが興味深い。どうしたらいいかわからんかったけれど、どうにかして伝えたかった。🥚がここにいます、と。
もうなにを書いたらいいのかわからなかったけれど、パートの松下さんが「縁は繋ぎたいほうが努力するんだよ」のひとことを胸に、出て行こうとする先生を追いかけた。いま思うと超絶目立つし恥ずかしい。
なんか、あたりさわりのない反応を返してくれた先生ありがとう。
よく考えれば、Twitterでつながっているひとも増えたし、同じグループの方と今回はLINEを交換していたので、ケント紙の出番はなくてもよかったのである。
それでも🥚は、ケント紙に青い線を引きたかったし、お手紙を渡したかったのだ。

そこから、🥚は孵化しはじめる。
だってさんさいだったら、『じゃあいらっしゃいよ』の一言で展覧会に行かなかったし、オープンキャンパスが最後じゃん一緒に行ってこよ〜なんて思っても行けなかったと思う。実際、朝までモニョモニョしてたし、予定の時間より家を出るのは遅くなった。
当然のように受付では入学案内は貰えなかったし（見た目で判断いくない）、学校紹介が「教員」ではなく「職員」であることにそこで気付いてがっかりするし（🥚の勤務先は、学校見学会は「オトナの文化祭」っていって張り切るひとが管理職だったから、衝撃的だった）、美術館も展示会場も10時からだった。
🥚は、ふらふらと構内を歩き、そして迷った。
地図を見ても目的地に到着しない。明らかに準備中のところばかりで、学食くらい開けてほしかった。まあ普通は学食が最後だよねって思ったけど。

何気ない作品を微笑ましく思いながら鑑賞し、さてこの建物のどこだろうと、スマホでイベント一覧を見る。５階と６階。展覧会の会場は６階。階段で行こうと思ったところにちょうどよくエレベーターが開く。乗ってみる。イイ感じのエレベーターだった。
５階につく。１階と似たような雰囲気だけれど、どこか大人しいそれが迎えてくれる。
相談会の会場らしきその部屋にあった企画書は、まさにスクーリングで学んでいることで、同じ学科なんだなと思った。

それから、杉浦先生にお会いし（まさかアレだけで覚えていてくださるとは思わず。でも自分も印象的な受験生は覚えてるわ）、学生とお話し、誘われるがままにしおりをつくり（超センスのいい学生ふたりに面倒を見てもらったありがとう）、そのあと勧められたのが『ラーバ』である。

この時間だから、外まで行けると思いますよ！と紹介されたものの、なんかの乗り物であるというところだけ理解して奥に進む。
『場』が、とても心地よい木の香りを運んできた。
ちまちま入る。ここのフロアの学生は、おしなべて優しい。見た目は多種多様だが、とてもあたたかいひとたちがそこにいた。
背をはかる。🥚ちいさい。好きな色で線を引き、名前を書く。いろいろ経緯を聞いた。いまの🥚なら、こういう仕掛けをしたほうがいいっていうのは知っているけど、学生たちはこれからそれを自分で見つけるのだ。そのために、担当教員はその点には触れなかったのだろう。ここの学生が街をつくったら、どんな街が出来るか楽しみになった。つくるかは知らんけど。
で、いつまでも『汲む』を続けていても（🥚は続けててもよかったけど）肝心の展覧会にはたどり着けない。🥚は後ろ髪を引かれつつ、階段を昇る。

そこに、『ラーバの民』がいた。
しろい。
これが『ラーバ』
「乗りませんか」「いや、押したい」「押したい？！」
快く押させてくれたラーバの民よ、ありがとう。
かつてのわたしだったら、絶対にその後乗らなかったけど、なんでか乗ってみようかなって思った。乗った。世界が低かった。楽しかった。

ラーバの民は、個性的だった。
でも、みんな、わたしがかつて愛した『学生』だった。
悩みがなさそうでも、それぞれが自分なりに考え、葛藤し、もにゅもにゅもするし、クールだったりもするけど、わたしのだいすきなにんげんがそこにいた。
たくさんあそんだ。🥚は、そういうにんげんとお話することがだいすきだ。それが、また出来るようになるとは思わなかった。
『ラーバ』はわたしに『ラーバの民』を運んできてくれたのだ。凄い乗り物だ。『ラーバ』は、どこでも走れる。『ラーバ』は、希望と未来を乗せている。
彼らが『ラーバはどこで使えるか』の直接的な答えではないけれど、いまの時期なら、だれでも乗せて歩道を走れる。『ラーバ』も優しい。

家に帰って、姉に言われた。
「🥚、元気になっちゃったね。やっぱ若者の生気吸って生きてんだね」

そう、🥚は🦃だったとき、ずっと高校生と遊びながら、高校生の生気を吸って生きていたのだ。
だからお腹もすかなかった。
教員が老け込まない理由の一つに、学生の生気を吸って生きているというのがあるとおもう。

🥚は今日も元気だ。課題もチョト進んでる。
年齢はともかく、🥚レベルは上がった気がする。
『ラーバ』と『ラーバの民』よ、ありがとう。