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21世紀のココロ動くデザイン

2020年4月より
武蔵野美術大学 大学院 造形構想研究科 造形構想専攻クリエイティブリーダシップコースに通っています。

私の学科では「クリエイティブリーダーシップ持論」という授業があり、
毎週クリエイティブとビジネスを活用して実際に活躍されているゲスト講師をお招きし、お話を伺います。

あくまで講義のレポートではありますが、デザイン思考などを学び、実践している方々との繋がりや、情報の共有が少しでもできれば嬉しいなと思います。

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第14回【講義日】2020年8月17日(月)

ユニバーサルデザイン総合研究所代表の赤池 学(あかいけ まなぶ)先生です。科学ジャーナリストでもあり、未来デザインを標榜する赤池先生。何度も「世界一受けたい授業」にも出演され、日本感性工学会学会賞やグッドデザイン賞も受賞されている凄いお方です。

赤池 学:1958年東京都生まれ。1981年筑波大学生物学類卒業。
社会システムデザインを行うシンクタンクを経営し、ソーシャルイノベーションを促す、環境・福祉対応の商品・施設・地域開発を手がける。「生命地域主義」「千年持続学」「自然に学ぶものづくり」を提唱し、地域の資源、技術、人材を活用した数多くのものづくりプロジェクトにも参画。科学技術ジャーナリストとして、製造業技術、科学哲学分野を中心とした執筆、評論、講演活動にも取り組み、2011年より(社)環境共創イニシアチブの代表理事、(公財)科学技術広報財団理事も務める。文部科学省生物規範工学企画委員、キッズデザイン協議会キッズデザイン賞審査委員長、第3回 生物多様性 日本アワード 審査委員。生物多様性に関連する研究開発を支援。
2002年 日本感性工学会学会賞、2003年 社会文化功労賞。グッドデザイン賞金賞、JAPAN SHOP SYSTEM AWARD最優秀賞、KU/KAN賞2011など、産業デザインの分野で数多くの顕彰を受けている。
近著に、『昆虫力』(小学館)、『自然に学ぶものづくり』(東洋経済新報社)、『ニッポンテクノロジー』(丸善)など。
引用:生物多様性オンラインマガジン The MIDORI PRESS


「21世紀品質」開発の循環

21世紀はモノの便利さや機能性だけではなく、五感や愛着に基づく品質、つまりはココロ動かされるモノが価値の一つの要素となりました。今までは下図の黄色の部分のみで回っていたものが、ココロ動かされるモノの価値が加わり循環価値に変化が起きているとと述べられていました。

21世紀ものづくり循環図


「私たちがデザインしようとしているのは、名詞ではなく動詞なのだ」赤池さんがスティーブ・ジョブズの言葉を引用しご説明くださいました。
近頃「モノ消費」ではなく「コト消費」にシフトしてきているとよく耳にしますが、コト消費の背景にはこのような循環があったということがよく理解できました。
モノ消費は、そのモノの雰囲気に自分が合わせていくような感覚がありますが、コト消費になると体験という行為が挟まる事で、自分の感情が溶け込み尊い価値を見出せるのかなと感じました。


SENCE WARE

赤池さんは、視覚的にお米を炊いている実感を優しい表情でつたえるキューブ型の炊飯器や、セラピーや癒しとして認められている、触ると反応してくれるアザラシの人形のパロなど様々なものづくりの実例をご紹介くださりました。
その中でも非常に印象的であったダイヤログ・イン・ザ・ダーク・タオルとの共同開発の今治タオルをご紹介します。こちらは今治タオルが視覚障害者の方と共同開発したものです。
「視覚障害者の方は弱者ではない。感性のアスリートなんです。」という赤池さんの言葉に感動してしまいました。一つの感覚が遮断されている分、視覚障害者のかたの触覚は非常に優れているそうです。
その方々達が生み出すタオルなんて、聞くだけで惚れてしまいます。是非触れてみたい。そして大切な人たちにプレゼントしたくなる。これこそココロ動かされるものづくりだと実感しました。実際、海外からも注文が殺到しており、生産が追いつかないまで売れているそうです。
ただ良いものではなく、その背景にあるストーリと、使用した際の喜び。これこそが今後より評価されていくのでしょう。

ダイアログ・インザ・ダークさんの表現が非常に美しかったので引用させていただきます。

内なる美 ととのう暗闇
まるで足の裏に目があるように、豊かな葉を感じる。
全身を耳にして、清らかな水のせせらぎを聞く。
触れるものすべてが心地よい情報となり、
体の内に眠る五感がいきいきと巡りはじめる。
引用:ダイアログ・インザ・ダーク


まとめ

今回が本年度最後のCL特論だったわけですが、学べば学ぶほどデザインの奥深さ、難しさを殆思い知ります。
赤池さんのお言葉をお借りするならば、「物に楽しさをプラスするのがデザインの真骨頂」
表層的な美しさだけではなく、本質を理解し、その解決案を思考し、エッセンスを加えetc、、、「デザイン」という言葉の中にいくつ意味が含まれているのだろうかと実感しています。
ただ、言えることは、デザインの力は凄まじい。そして皆の新しい満足を創造することができる。だからこそやりがいがある。と感じています。20世紀から21世紀になり、ものづくりの循環が変わってきています。より世の中にココロ動くデザインが溢れるてゆくのだと想像するとワクワクしてしまいました。
私も大学院で学ぶ中で、デザインの真骨頂を理解しながらこれからの学びに取り組みたいと思いました。



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