見出し画像

ウマ娘:ラピッドビルダー(仮)の育成シナリオを妄想してみた

はじめに

 ウマ娘RttT、滅法面白かった。
 第4話で話題になったのは、なんといってもラピッドビルダーさん――といっても、アプリに実装されているモブウマ娘ではなく、同名だが全然違うデザインの、モデルになったレースにおいてラスカルスズカ号に比定されるポジションにいた眼鏡ウマ娘のこと――だ。

 ラスカルスズカ号は、G1で掲示板にも食い込みながら、時代の巡り合わせも悪く(ご存知の通り、RttTのあとは覇王様の時代が幕を開けるので)、重賞の壁を突破できなかった馬だった。
 兄の悲劇もあって期待を集めたし、またこの手の健闘を続ける馬というのは得てして熱心なファンを集めるものでもあり、そういうわけで人気のある馬だったわけである。
 なので、まあ、ウマ娘化しないかなあということを考える人もいるし、もしそうなったら育成シナリオこんな感じかなあなんて妄想をする人もいるわけです。ここに。

育成目標とイベント

 シナリオは二本のプロットが並列で走る。ひとつは「スズカさんの幻影」であり、もうひとつは「多士済々な同世代の仲間」になる。前者はスズカさんの復帰と直接対決で決着し、後者は覇王の覚醒と蹂躙劇に対する抵抗へと展開する。

ジュニア級

 1年目は史実では98年に比定される年であり、スズカさんが躍進する年だ。期待と重圧に対してトレーナーは「キミはキミだ」という言葉をかけられる人間である、のだと思う。多分。

  • 3月前半:金鯱賞:スズカさんがフクちゃんほかを大差でぶっちぎる。当時は5月だが、快進撃の幕開けは2月のバレンタインSおよび3月の中山記念からなので3月に覚醒するのはいいと思う。

  • ★6月後半:メイクデビュー出走:こっちが函館で走ってる頃、スズカさんは阪神で宝塚勝ってる。万事順調。

  • 10月後半:天皇賞(秋):スズカさん故障する。ふたたび走れるか分からない、ぐらいの怪我のイメージ。その分の期待がかかるようになる展開。ここでプレッシャーに対する反応でキャラが立つし、その励ましでトレーナーが格好つける場面でもある。

クラシック級

 2年目はクラシック戦線を走る仲間、とくにトプロ委員長との対比を描く。この世代は牡馬王道路線については不足がないので、RttTの舞台裏、あるいは三人の育成シナリオのB面的な話になるんじゃなかろうかという妄想。

  • いらん期待が集まってるので焦ったりするので、夏までに体作りしていこう、焦ることはない、というアドバイスをするシーンは多分挟まる。

  • 4月前半:皐月賞:隠しイベント。出走するとオペラオーと戦う奴。クラシック制したウマ娘がいる世代の子で育成目標に無い場合、大体専用イベントあるよね。

  • 5月後半:ダービー:隠しイベント。出走するとアヤベさんと戦う。皐月賞もダービーも、勝者にスポット当てつつ、トプロ委員長の描写を多分濃くするといいんだよね。なかなか勝てなくて、ファンから滅法愛されて、という点で似てるから。逆に言えば、性格的には逆になるのかな。つまり、他人の愛に素直に応えられないタイプ。期待の半分が姉の幻影ならさもありなん。あと姉と妹ってテーマはアヤベさん的にも重い。

  • ★7月前半:ファン10000人集める。多分育成目標としては夏合宿までに鍛えて、菊花賞目指そう路線なのでこうなるんじゃなかろうか。マヤちゃんの育成目標と同じライン。

  • 9月後半:神戸新聞杯。イベントなし。レースにイベント入れないで、この辺で「これなら菊花賞は狙えそうだ!」みたいなトレーニングの成果を感じるシーンがあれば成立するはず。

  • ★10月後半:菊花賞:5着以上。トプロ委員長と戦う。ゲーム的にはこの辺から勝ちにいけるラインになる。隠しイベントの皐月、ダービーは勝てないレベルでいいと思うんだけど、育成目標レースでライバルがアホ強いのはマズいから多分委員長だけ微妙に勝てる相手になってしまったりする気がする。

  • 11月後半:JC:スペちゃんの扱いによっては、ここに隠しイベントを仕込むのもあり。史実で現3歳ながら5着と健闘しているレース(1着スペシャルウィーク号)なのだけれど、単純に史実で走ったという理由でイベントはいらんと思うが、スペちゃんをもう一人の「スズカさんの妹(分)」として描くなら、意義がある。陰の妹と陽の妹。

シニア級

 3年目はジュニア級で描いてきたスズカさんの話と、クラシック級で描いてきた同世代との戦いの話が、どちらも展開を始める。
 スズカさんは復帰し、直接対決でもって「父殺し」を実現する。同世代はドトウさんが躍進したり、オペちゃんが蹂躙したりする中で、一矢報いる。

  • スズカさんが復帰に向けて動き出す。自分に向けられていたファンの無責任な期待がスズカさんの方に向いたことへの、二重の(姉に勝手な重圧を与えるな/私を勝手に見限るな)怒りを抱き、それは走ることでしか晴らせないと諭す流れ。

  • ★3月前半:金鯱賞:3着以内。2年前、スズカさんがヤバい大差でぶっちぎったレース。姉の幻影を振り払う意味を持たせつつ、ドトウさんがなんか覚醒してめっちゃ強い。

  • ★4月前半:天皇賞(春):3着以内。ステイヤーで、後方脚質で、周りの声がどうしても気になってしまう、姉とは何もかも違うのが自分だ、と悟ることになる話。それはそれとしてオペラオーがえげつないほど強い。

  • ★6月後半:宝塚記念:3着以内。覚醒したオペラオーに並ぶ強さを手に入れ、あるいは姉が制したG1を取ることで姉に並ぶ強さを手に入れたことを示す。あるいは投票を通じて、間違いなく自分自身がファンに愛されている/ファンは間違いなく私自身を愛してくれていたのだと理解する話かもしれない。グランプリなので。

  • 夏合宿:スズカさんが秋の復帰を宣言。直接対決へ。

  • ★10月後半:天皇賞(秋):1着。姉を超え、覇王を倒すことで物語が結実する。

  • 11月後半:JC:隠しイベント。シナリオの重要キャラ総登場のお祭りレースやるならスズカさんの距離適性的にここかなあと思いつつ、そもそも秋天でそれをやってしまっていいのでは、という気もする。この辺はスペちゃんの活かし方次第かも。最強妹決定戦的な。

最後に

 この記事を書いた動機の半分は、妄想を形にしたかったからだ。
 が、もう半分は、「実績不十分なウマ娘じゃ育成シナリオも書けないし、だからウマ娘化もされないよ」という見識への反論だ。
 4戦で引退した馬でも、G1勝てなかった馬でも、100戦以上走って勝てなかった馬でも、シナリオは書ける。なのに、重賞を勝ててないとシナリオが書けなくなるなんてことはないだろう、と思う。(ハルウララは色んな意味で例外過ぎるだろう、というのはまた別の話)

 欲を言えば、《面白い》シナリオを例示できればよかったのだけれど、これは私の筆力の問題であって、当該の競走馬が持つ潜在的なドラマの強さの問題ではないと確信している。
 しかし、まあ、書けないというほどのものではない、ということぐらいは示せたのではないかと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?