メギド72:狂炎耐久戦術の基本的な話
【2023/01/04】アップデートした記事を追加しました。
https://note.com/crea555/n/n27121e3e1f76
『メギド72』には攻撃力と耐久力を見極めて敵を攻め落とすの速攻パーティ(以下PT)から、PTの能力を組み合わせて必殺の奥義を叩き込むコンボPT、がっちり攻撃を受け切って相手をねじ伏せる耐久PTなど、さまざまな特徴的な戦術がある。
狂炎戦術は、耐久戦術の一種であるが、今までのメギドの枠組みに存在はしていたものの成立しづらかった「地形効果のターン終了時ダメージで相手を削り倒す」戦術のひとつだ。メギドの耐久PTは総じて「豊富な防御手段で味方を守りつつ、余剰資源とターン経過で決め技になる攻撃の手を育てる」タイプが多く、能動的なアクションを取らずにただただ相手を不利に追い込んでいくPTは珍しい。そして、徹底的に何もしないで完封的に勝つことにより耐久PTとしての楽しみを見出すプレイヤーは一定数存在する。
なので、今まで真の意味で存在しなかった耐久PTである狂炎PTについて、書いておこうと思った。メギドには詳しくないので、もっと詳しい人による細かい捕捉が欲しい。その叩き台みたいなものだと考えてほしい。
(本文は2020/11/10に記載している。情報はすべてその時点でのものだ)
■狂炎の概略/フィロタヌスというメギド
狂炎とは、炎上地形の「強化地形」だ。
炎上地形は、ほかの地形と比べて「ターン終了時ダメージ」(以下DoT)が大きいという特徴があるが、炎上もそれ以外のDoTも、プレイヤー側が使うには五十歩百歩と言わざるを得ない差であった。
狂炎は炎上地形を上書き変更することで、より大きいDoTを得られるようになる。さらに、狂炎地形に対して火ダメージを与えるたび、地形の「持続ターン延長」と「DoT増加」が得られる。これによって、DoTで敵を倒すということが現実的な戦術として機能するようになったわけである。
◆フィロタヌスについて
現在、狂炎地形を付与できるメギドは「フィロタヌス」のみだ。なので、狂炎PTとは、(少なくとも今の時点では)実際にはフィロタヌスPTである、と言える。
フィロタヌスは奥義で「敵全体の炎上地形を狂炎地形にする」ことができる。また、覚醒スキルで「敵一列に1.25倍(~1.75倍)の炎上地形にする」こともできるため、狂炎戦術について自己完結した性能を持っている。
一方、それ以外の面に目を向けると、以下のような特徴を持ち。タンクを起用した耐久PTにおいて、有用な性能をしており、そのような編成をすることで十全に性能を発揮できることが分かる。
▼フィロタヌスの特徴
・高い防御力と平均以上のHP、特性によるターン終了時回復。
・スキルで「単体HP回復+スキル強化(!)」。盾役の回復に最適。
・覚醒スキルに攻撃力低下25%(~35%)がつき、ダメージを軽減。
・奥義で強化解除。これが地味に嬉しい。
■ダメージ計算について/炎上、狂炎、延焼
まずは、狂炎のダメージ計算について概略を説明する。狂炎PTを編成した場合の基本的な挙動、DoTがどの程度のダメージを与えるのかについての感覚を理解していただきたい。
◆炎上地形のダメージについて
地形を炎上にできるメギドは、「フェニックス」「アモン」「アイム」「フィロタヌス」の4名だ。それぞれに特徴があるが、「出が早くて、MEでの地形補正によりDoTの高いフェニックス」「全体を炎上できてMEの地形補正もあるアイム」「列炎上かつ炎上の倍率自体が上がるフィロタヌス」と区別できる。(アモンは炎上付与が目的なら、彼らに一歩劣る。そもそもアモンは速攻向きのメギドだ)
地形ダメージは「攻撃力×倍率×地形補正」で決まり、4名の炎上によるダメージは以下の通りとなる。1800弱のアイムと900強のフィロタヌスで2倍近い差がある。なるほど、炎上付与はフェニックスかアイムにした方がいいんだな、となりそうである。(先に言ってしまえば、ここの火力の差は狂炎地形になったら誤差になる)
・フェニックス:967×1.25×140%=1692。
・アモン:1194×1.25×100%=1492。
・アイム:1171×1.25×120%=1756。
・フィロタヌス:764×1.25(1.75)×100%=955(1337)。
◆狂炎地形のダメージについて
実のところ、1800だろうが900だろうが、DoTで敵を倒すには、あまりに頼りない。アタッカーが普通に殴った方がダメージが出る上、このDoTは2ターンしか続かない。変則的な固定追加ダメージみたいなものである。
が、それを狂炎地形にするとどうなるか。まず、地形補正に+100%される。つまり、基本的に倍になる。ただし、地形補正分でDoTの高かったフェニックスとアイムは相対的に上がり幅は下がる。3000強のアイムと2000弱のフィロタヌス。少し、状況が変わってきた。
・フェニックス:967×1.25×240%=2901。
・アモン:1194×1.25×200%=2985。
・アイム:1171×1.25×220%=3220。
・フィロタヌス:764×1.25(1.75)×200%=1910(2674)。
◆火ダメージ追加/延焼
狂炎地形の最大の特徴は、火ダメージを与えることで持続ターンが延長する(1ターンにつき最大+3)ことと、DoTダメージが上がることだ。このDoTダメージの上昇では、「狂炎を付与したメギドのレベル×10」と「火ダメージを与えた回数」が、地形ダメージ計算式の「攻撃力」の部分に加算されることになる。
たとえば、アイムの【強火クッキング】で殴れば1ヒットで攻撃力+700。オーブ【番犬ロクサーン】で3ヒットしたら攻撃力+2100である。……炎上地形付与者の元攻撃力など誤差である、と分かっていただけただろうか。
ということで、大事なのは倍率と地形補正の部分ということになる。フェニックスは確かに増分は大きいが、これはフィロタヌスが2LVになった【対岸の火事+】を使うだけで一気に並び、3LVになれば追い抜かれる程度の差である。そして【対岸の火事】を複数回使用することは、それほど非現実的ではない。【対岸の火事】には攻撃力低下の効果もあるため、耐久目的で使用するからだ。
勿論、上で触れたように「スキルで即炎上できる」フェニックスの身軽さや、「全体を炎上できる」アイムの広さは、フィロタヌスでは代替できない強みだ。そもそも、耐久PTは敵に合わせてメギドの編成が限られるわけで、フェニックスやアイムを編成するのが難しい場合もある。(それぞれ全体蘇生と単体回復を持っているので、耐久寄りの性質はある)
・フェニックス:+700×1.25×240%=2100。
・アモン:+700×1.25×200%=1750。
・アイム:+700×1.25×220%=1925。
・フィロタヌス:+700×1.25(1.75)×200%=1750(2450)。
ともかく、炎上で1000~2000、狂炎にして2000~3000。そこに【火のザウラク】か【番犬ロクサーン】を合わせて+5000~6000して、毎ターン7000~9000ダメージを与えるところから始めるのが、狂炎PTの理想的な3ターンの挙動になるだろうか。(勿論、ここから1発火ダメージが入るごとにDoTが2000近く増えていくわけである)
勿論、耐久のための準備を整える方が優先であり、実際に始動するのはもう数ターン遅れることも普通にある。攻めるための動き出しが1~2ターン遅れたところで、大して変わらないのが耐久PTというものだ。
■相性のいいメギド/狂炎(宴)で踊る者たち
狂炎PTに必要なのは、「炎上させるメギド」と「火ダメージを与えるメギド」だ。となれば、上述の3名(アモン除く)以外では、火ダメージを与える手段を持つメギドが相性がいいということになる。
だが、狂炎PTの長所は「地形を維持するだけで勝手に相手が死ぬ」ところなので、(基本的に)火ダメージのために使うフォトンは最小限にしたい。火ダメージにフォトンを取られて耐久が疎かになるようなら、それは狂炎地形との相性は良くても、狂炎PTとの相性は悪いのだ。
◆炎上させるメギド
フィロタヌス:彼女に「狂炎」と「炎上」をひとりで担当させるのは、一番スマートな解決法だ。炎上DoTの低さは、【対岸の火事】のレベルを上げることで解消されるし、ひとりで攻撃に必要な要素を供給できるなら、あとの4名を耐久に必要なメンバーから選べるからだ。
フェニックス(バースト):炎上DoTの高さ自体は、狂炎PTにおける彼の長所ではない。大事なのはスキルで炎上できることだ。彼以外は覚醒スキルや奥義が必要であり、つまり覚醒ゲージを上げる必要がある。とくに劣化フォトン環境などでは、耐久にフォトンを割きながら覚醒ゲージを上げるのは難しい。そういう時にスキルから炎上できる点が活きたりする。あと、スキルが火ダメージ追加役になるところも。ウィチセ戦とか、超強い。(かばうされても狂炎の延焼は元の攻撃対象になるので)
アイム(バースト):全体炎上は彼女のユニークな特徴であり、前後列を同時に狂炎するなら、アイムは欠かせない。彼女自身がスキルで火ダメージ追加役になれるのも長所。束縛が耐久に必要な敵などでは、彼女をリーダーにカスピエルにME踏ませると動きやすかったりする。耐久は全体でするものだから、こういう部分のシナジーも大事だ。
◆薪を焚べるメギド
火ダメージを与えるスキルがあるなら誰でもいいのだが、耐久PTに編成しやすいか、などを考えれば、適性のあるメギドやはり限られてくる。
フェニックス(カウンター):スキルは反動ダメージが痛すぎるが、ワントップ編成からの、覚醒スキルによる反撃で回数を稼ぐのはとても使いやすい手だ。何しろ、フォトン1個で敵の攻撃してくる回数だけ火ダメージを与えられるのだから、フォトン効率がとてもいい。性能が基本的に(変則的だが)耐久寄りなのもありがたい。
プロメテウス:火ダメージは奥義で1ヒットできるだけだが、奥義の効果で全体に追加したスキルで、他のメギドが火ダメージの追撃を入れば実質多段ヒット。ライブの効果で火ダメージ入れると覚醒+1できるので、火ダメージを与える覚醒スキル(ガープの【ジールバッシュ】やエリゴスの【鋭鋒火急撃】など)を連発できる。特に後者はメギドの技で唯一2ヒットする。また、プロメテウスを基軸にした耐久寄りの協奏PTにフィロタヌスとアイム辺りを仕込んで狂炎PTと両立させる手もある。
ナベリウス/フォラス:いつもの二人。当然、並んで挙がるということは、オーブ目当てだ。ラッシュの【火のザウラク】、バーストの【番犬ロクサーン】は、それぞれCT2で3ヒットする火ダメージ攻撃ができる。3ヒット=3ターン延長をCT2=3ターンごとに繰り返してオーブだけで狂炎の維持を保証する使い方もいいが、CT1=2ターンごと交互に使って毎ターン+3していく動きも当然強い。この場合、耐久というよりはDoTを加速して一気に焼き殺す動きになる。毎ターンDoTが5000ずつ増えていく挙動は煉獄の炎(ボス相手だと、最大HPの2%ずつ増える。ボスのHPは基本5桁以内だ)の比ではない。
■長所と短所
◆さまざまな防御ギミックを無視する
地形のDoTは敵の防御力に依存せず、ダメージ軽減にも、ダメージブロックにも、無敵や回数バリアにも影響されない。
たとえばダメージ軽減は点穴や固定追加ダメージで潰せるし、ダメージブロックはハイドロボムやバーサークからの高倍率奥義で貫ける。そういう対策法を要求するデザインだ。PTも当然、そのように編成したい。でも、それが同時に出てきたりすると、「枠」が足りなくなってとても困る。ステージ76とか。
しかし、狂炎はそのどちらも一度に潰せるのだ。めっちゃ便利。まあ、ダメージ軽減なら割合によってはボムなら強引に貫けないこともなさそうだが、まあフェイタルブレーダーみたいな曲芸の類だよね。
◆状態異常治療・耐性に強い
メギドには地形以外にもDoTがある。毒(最大HPの8%)、煉獄の炎(最大HPの4~12%)、悪夢(最大HPの4%)、ゾンビ化(回復がダメージになる)など。しかし、これらは耐性が設定されていることが多く、あるいは治療や無効が使われる場合もある。(そもそも、ダメージ量としても、これだけで倒すにはやや物足りない)
狂炎は地形なので、それらの方法では対策できない。防御ギミック踏破力と合わせて「対策の抜け穴が多い」攻撃手段だと言える。
◆飛行・地形無効に弱い
上述の裏を返した弱点が、ここだ。何かと飛んでいる敵や、とくに飛んではいないが地形無効になっている敵。突風+火ダメージや、滞水+雷ダメージなどで耐久想定の敵を一撃で倒されないための地形無効化が、耐久における攻撃手段のはずの狂炎対策にもなってしまうというパターンは、確かにある。最強デッキへのメタゲームで採用された対策カードにメタられて潰されたローグデッキみたいな話だ。
しかし、実のところメタゲームの話をするなら、地形無効系は今後は減っていく傾向にあるだろう。少なくとも、7章以降は敵の地形を変えさせる方向にデザインされた「地形を推奨する」戦闘が増えたし、その流れの中で狂炎は十分に猛威を振るい得るだろう。
◆地形変更に弱い
となると、真に恐ろしいのは「敵が終始地形を有利なものに変えてくる」場合だ。たとえばステージ68は敵が「海魔の加護」を使った状態から始まる戦闘で、これはこちらが地形を上書きすることを誘導するデザインだった。だが、逆に「毎ターン海魔の加護に上書きしてくる」形で地形対策をしてくる可能性もある。
もっとも、そのような敵が頻繁に出てくるとは考えにくい。地形の利用は今のところメギドの戦闘デザインの最前線にあるギミックのひとつではあるが、常に使うようなものでもない。
狂炎PTは、決してどんな敵にも勝てる戦術ではない。ただ、ある種の敵に対しては覿面に強く、それ以外の敵に対しても思いのほか強く、そして何より現在メギドでは類を見ない「クロック・パーミッション」型の耐久PTなのだ。
(メギドはフォトンの分しか行動できないので、攻撃にフォトンを回さない限り敵のHPが減らない。クロックという概念が基盤に無い。逆にスキル使用とは別に攻撃行動が担保されていると「どう戦闘しようが毎ターン基本お互いのHPは減っていく/クロックがある」ゲームになる)
■競合戦術との比較
まず、狂炎PTと競合するのは、他の地形を利用した戦術ではない。とくに地形を利用した戦術として名高い「突風+火ダメージ攻撃」は、一撃必殺をコンセプトにしたコンボPTであって、同じ火ダメージを利用する戦術でも、耐久を基盤とする狂炎とは趣旨を異にするものである。
競合するのは、ほかの耐久戦術だ。耐久にも色々あるが、ひとまず思いついたものを、比較しておこうと思う。
結論を先に書いておけば、狂炎は他の耐久戦術の攻撃手段と比べて遜色なく、さらに「敵のHPが高いほど強くなる」特徴があるということ。多くの防御ギミックを踏破できる強さがある一方、継続的にダメージを刻み続けることはまれに短所にもなり得る(魔法猫オスカーみたいな「発狂する」敵を相手にすると困る)。
なお、すべての戦術に対して共通する点として、決してそれの上位互換にはならない、という点を先に触れておく。狂炎は強力な戦術だが、地形という明確な死角(弱点とは言うまい)がある以上、絶対にそこでは勝てないからだ。比較対象は飛んでる敵にも有効な時点で、その点では狂炎に勝っている。
◆点穴
点穴はラッシュの耐久戦術のひとつだ。
攻撃せずにじっくり耐えて点穴レベルを上げ、固定ダメージで一気に撃ち貫く。いかにも耐久らしい挙動をし、普通の攻撃が通らないタイプの敵を点穴の追加ダメージ分で倒すことが目的となる。
基本的には速度の点でも、火力の点でも狂炎が優位と言える。ただし、HPが閾値を切った時点でシフトする、いわゆる「発狂」するタイプの敵に対しては、点穴のほうが有効だろう。逆に言えば、競合はしない。
◆バーサーク
バーサークはカウンターの耐久戦術のひとつだ。
バーサークなのに耐久とは直感的ではないが、バーサークさせてから攻撃力が上がりきるまでは時間がかかるし、バーサークの反動で死なないためにはPT構成自体は防御的になるので、なるほど耐久だ。
バーサークも、基本的には点穴みたいな「一気に勝負を決める」タイプの耐久だが、フィニッシャーたりうる理由が「高くなった攻撃力」なので、通常のアタックで刻んでゴリ押すような戦い方もできる点では、点穴よりは狂炎に近い。とはいえ、それが普通の攻撃である以上、狂炎のようなギミック踏破力に欠けている。
◆ハイドロボム
ハイドロボムはラッシュ/バーストの耐久戦術だ。
時間経過で「爆発」するボムを相手に付与し、ボムが重なれば重なる程ダメージも増えていく。ぱっと見のプレイ感では一番狂炎に近いが、ボムは本質的に「クロック」ではないという点で、やはり異なる。要するに、ボムは時間を稼いだだけでは勝利に近付かないのだ。それは何度でも攻撃に行けるクリーチャーと、プレイヤーに直接ダメージを与える火力呪文を比較するようなものだ。
一方がクロックで、一方が火力ならば、フォトン消費量とダメージの効率が交差する点がどこかにある。また、経過ターン数とダメージ総量についても同様だ。それがどこで交差し、結果どちらが優位になる敵が多いかは、判然としない。
しかしながら、たとえばボム錬のダメージ概算が「(倍率ー6)×5000」で、重ボムの標準的な倍率が3ならば、ボム重1個で15000ダメージという大雑把な計算は成立する。大して、フォトン1つで3ヒットできるならば、2000弱ダメージ×3ヒット×3ターン延長=18000ダメージという計算で、狂炎の方が有利だと言えなくもない。(ボム重は基本的に奥義や覚醒スキルなのでフォトン1個で計算するべきでないとか、火ダメージ1ヒットだとフォトン1個辺り2000ダメージに過ぎないとか、そもそも狂炎のダメージは延長するほど前に増やした分も乗っかる/それこそが「クロック」の長所なのだからフォトン効率の観点で比較する時点でボム基準の観点じゃないかとか、色々あるが)
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