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足元のREITの上昇を読めましたか?

足元J-REITが絶好調です。株式をアウトパフォームしています。みなさんはこの上げ相場についていけましたか?
今回のREITの上げは実はイージーゲームでした(後からならなんとでも言える)。ちょっとその背景について考察してみようとおもいます。

REIT(ローソク足)、日経(赤線)の1ヶ月分日足

金利の動きを見ていますか?

私のNoteでは何度も述べていますが、REITは債券に近い商品です。基本的に収益はすべて分配し、その収益の原資は数年スパンの契約が締結されている家賃なので一日二日でぶれるものではありません。しかも賃貸借マーケットが仮に軟調でも昔から持っている含み益のある物件を売却することで売却益を実現し、配当を下方硬直的にさせることができます。そのため、「一定期間ごとに◯%の利息を払います」と約束する金融商品たる債券との類似性が高いのです。
債券との類似性が高いとなると、スプレッドの概念が登場します。例えば社債だとその会社の信用力に合わせて国債金利+●%という利回りが得られるわけですが、REITの場合もそのリスクにあわせて国債金利+■%というスプレッドが要求されるわけです。
このREITに要求される+■%のリスク・プレミアムは直接はわかりませんが、REIT市場全体の配当利回りから国債金利を引くことで逆算されます。

出所:ARES

直近までのデータでなくて恐縮(だれか配当利回りをデータでぱっととれるサイトがあれば教えてください・・・)なのですが、濃い青がREITの配当利回りの過去10年の推移、一番下のオレンジっぽいのが10年金利、薄い青色がREITのリスクプレミアム(配当利回り-10年金利)です。
このリスクプレミアムは3%台後半から4%程度で概ね安定して推移していることが確認できると思います。
つまり、2021年の後半以降、REITがずっと軟調(配当利回りの上昇≒価格の下落)だったのはREITのリスクプレミアムが上昇したからではなく、単純に金利が上がったからと言うのが私の解釈です。まあ裏付けとなる不動産市場は少なくとも日本においては安定していましたからね。ち
なみに比較する金利は10年とするのが一般的ですが、REITがゴーイング・コンサーンであることを考えると、個人的には30年金利等の超長期と比較しにいったほうが良いのでは?と思っています。
前置きがながくなりましたが、ようやくなぜ今回のREITの上げがイージーだったかを見ていきましょう。まあ、金利が上がったから下がったREITは、金利下がったから戻ったというだけですが。

下のチャートは見にくくて申し訳無いですが、ローソクがREIT、青色が日本の10年金利です。

日本の金利は日銀の利上げ観測から上昇基調にありましたが、8月上旬の謎のショックで株式がクラッシュしたと同時にさがったあとはなかなか戻ってきていません。一時期は多分1.1%足元は0.9%弱くらいです。そうするとREITのリスクプレミアムに影響を与える現物不動産市況になんら影響がないなかスプレッドのワイドニングは起こりにくく、金利の低下を徐々にREIT市場が吸収して上昇していったというのがこの数週間のできごとです。今の金利水準は4月と同じくらいなので、REITもその水準にもどっていったという感じですね。
ただ、日銀は別に追加の利上げを止めないと思います。足元は利上げの折込がはけてしまいましたが、議論が再燃すると長期金利もあがりREITの苦境が再燃する可能性は高いと思っています。
8月上旬のようにリスクオフ局面で金利低下とREITの下落(スプレッドのワイドニング)がおこったあとはREITの買い場になるケースが多いかと思います(株式はそのままリセッション懸念等で戻ってこないことも多いですが、REITのほうがその点はディフェンシブです。もちろん下がり続けることもありますが・・・)
投資において金利を見ろという格言がよく当てはまった事例でした。

その他の要素

あとは今回の上げを演出した要素は以下のようなものかと思います
・グローバルの金利低下(利下げ開始)に伴う、グローバルでのREIT投資へのセンチメント改善(別にジャクソンホールきっかけではないです。もう少し前から始まっています)。まあ、金利がどうであろうと買う人がいないと上がるものも上がりませんからね。
・オフィス市況の底打ち(8月発表のあったNBFの決算はオフィス市況の反転を裏付けるものとなったというのが市場の解釈かと思います。IR資料の以下のスライドがそれです)。オフィスはJ-REITにおける最大セクターです。このセクターがようやく冬を超えたというは当然指数全体にもポジティブ材料です。

※本投稿はいかなる投資行動も推奨するものではありません。

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