『大怪獣のあとしまつ』プロデューサーインタビューについて俺が感じたこと

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まずこちらの記事を読んでいただきたい。

 クッソむかついた。映画観たときよりムカついた。なぜなら本編は特撮好きをコケにしていたから、俺に怒る権利はなかった。年に何本もあるただのつまらない映画だった。しかしこのインタビューは観客をバカにしている。だから俺がどう感じたかは書いておく。

1."正体を明かせないアラタが、怪獣の死体処理を託されたことをきっかけに、元恋人のユキノとともに雨音の妨害を押し切り、人間のまま『あとしまつ』できるのか、この三角関係に関して反応を期待していました。"について
 人間のまま『あとしまつ』〜という視点を持つことができるのは、アラタがウルトラマンであることを知ってからだ。つまり鑑賞後に遡って、三角関係についてにフォーカスした振り返りをした場合のみ、その視点で物語を解釈することが可能になる。しかし映画自体の大オチがアラタ=ウルトラマンであることだけなので、三角関係についてフォーカスした振り返りをすることは考えにくい。

2."ラストの巨大ヒーローが全てを解決するというオチ、これは結局、「神風が吹かないと解決しない」という、ごく単純な政治風刺なのですが、これがほとんど通じておらず驚きました。"について
 通じた上で不快だったという感想を数多く見かけている。俺自身も意図は分かった。しかし、明らかに東日本大震災を風刺した内容でデウス・エクス・マキナ(ウルトラマン)がすべて解決というオチは、すべての復興に携わった人に対して失礼だ。誰か大きな力を持つ個人、あるいは組織が解決したのではない。今も、現在進行形で、ありとあらゆる人が、お前らの馬鹿にしている『あとしまつ』のために身を削っている。風刺としてあまりに低レベルで不快。読み取ったからこその激烈な不快感だったんだが、そういう感想が"通じておらず驚きました"。
 "風刺的な要素に関しては、新聞世代(昭和世代)には概ね理解されて楽しんでもらえたようなのですが、特に若い人々には伝わっていないことが発見でした"とある。俺からすると、伝わった上で不快だということが、製作者の人々は分かっていないことが発見でした。

3."伝わると思っていた三角関係が伝わらなかったために、「期待外れ」が生まれてしまったとも思います。"
 ここが最大の問題点なんだが、果たしてこの映画は期待はずれだったから酷評されたのか。つまり、この映画を三角関係を主軸にした映画だと思って見ていれば、期待通りの映画として楽しめたか。
 はっきり言って、それはない。登場人物同士の関係性とその変化を楽しむことが主軸にしては、登場人物の数が多く、それらが多くの(下品な)くすぐりをすることで三角関係を楽しむことに集中させないからだ。"そこ(注:三角関係)に本格的なSF映画のスケール感と、愚かな権力者たちの会話劇による社会風刺の要素を盛り込みました。"とのことだが、まったくそれぞれの要素が分離しており、いちいちその物語的エモーションが持続しない。ここは主観的な話になるが、そもそも三角関係自体がつまらないにも関わらずブツブツとクソみたいなギャグで寸断されて、意識の中心に三角関係が来ると思ったのならどうかしている。

4."製作当初から、(1)「風刺的な政治シミュレーション」と、(2)「コメディ要素」この2つが肝となる映画だと考えていました。"について
 さっきまでやたら三角関係について主軸として観てほしかったようなことを言っていたはずだが?忘れたのか?

5."ただ、本作は「時効警察」の三木聡監督作品、さらに、タイトルが平仮名で「あとしまつ」と表記していたり、大怪獣<希望>が片足を上げてユーモアな死に際になっているあたりから、完全にシリアスな作品ではなくコメディ要素もあることが観客に伝わると考えていましたが、これまた予想以上に伝わりませんでした。"について
 俺は時効警察を観ていない。あとしまつが平仮名だからなんなんだ?ユーモアな死に際(ユーモラスのほうが適切だと思うが、まぁ置いておく。)とのことだが、足を上げて死ぬとユーモラスなのか?俺には分からない。まぁそもそも俺は予告編の段階で(一山いくらの下らなくて面白くないコメディ映画だろうな)と思ったので、酷評していた人の中でもそこそこの割合に伝わっていたと思う。ま、俺の主観だからいいか。

6."本作に対する真の評価はこれからだと考えております。"について
 映画だぞ?これは映画だぞ?映画館で、1回観るために2000円近くの金を払って多くの人が(他の映画と比較して多いかはこの際問題じゃない)観る映画だぞ?金を払って映画を見た人の評価以上の真の評価ってなんだ?
 "公開時の騒動で我々が仕掛けた多くの要素が見落とされたままだからです。"と言っているが、それは騒動で騒いでいただけで、お前ら観客はちゃんと観ていないという意味か?アンタ達は金持ちだから1000円だの2000円だの2時間だのは、無価値かもしれない。しかし、俺は金を払って映画を観に来た以上、できるだけ集中して映画を観るぞ?

7.このインタビューを読んだ全体の感想について
 このインタビューで全体的に"観客が読み取らなかった"ということを言い訳にしている。それに対して俺は読み取った上で不快だったから、酷評が多かったという立場だ。だからどこまで言っても主張は平行線だろう。だから1つ有名なエピソードをこのプロデューサー達に紹介して、この感想を終わりにしたい。

かのヒッチコック監督が、演出に対する不満をぶつけてくるイングリット・バーグマンに言った。「たかが映画じゃないか」。

 そう、たかが映画なのだ。2時間とお金を支払って観客は映画を観る。たかが映画だ。正しく読み取らないと楽しめないものが作りたいなら、どうぞもっと芸術的な文芸映画でも作りなさい。まぁ、文芸映画でゲロだウンコだ、性器がキノコに見えるだと下劣で下品なくすぐりをやったら、この映画の比ではない冷淡な批評に合うと思うがね。

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