千と千尋の神隠しで千尋が豚を見抜いた理由

 単なる俺の考えで特に根拠はないです。糞長いから注意。
 ジョセフ・キャンベルという人が書いた千の顔を持つ英雄という本がある
そのなかで説明される神話の原型に英雄の旅という構造がある。これは全世界の神話に見られる普遍的な構造なんだけど、大まかに流れを説明すると
1.Calling(天命を知る)
 離れがたい故郷から、なんらかの運命(場合によっては魔術的な導き)によって旅に出る運命を知る
2.Commitment(旅を始める)
 主人公は旅へと導かれるが、楽園=故郷での生活、あるいは現実的な責任から使命を果たすための旅立ちに対して葛藤し、最終的には旅立つ。3.Threshold(境界線を超える)
 旅立ちを決意した主人公は、日常と非日常の境界で最初の試練にぶつかり、試練を乗り越えて行く。ここでは門番となる登場人物、モンスターなどがいることが多い。
4.Guardians(メンターと出会う)
 非日常の新しい世界に旅立った主人公は旅の仲間として魔術師や神(乞食など薄汚い格好をしているが、主人公は正しい眼で見ることができるので本質を見抜き、手助けを得るという形が多い)。
5.Demon(悪魔とぶつかる)
 旅を続ける主人公は最大の試練にぶつかる。ここでは魔術的な支援や仲間との協力、知恵、正しい眼などで問題を解決していく。また、その過程で宝物を得るあるいは追跡を受けることになる。
6.Transformation(変化・変容する)
 最大の試練を克服した主人公は、英雄、あるいは神になる。
7.Complete the task(課題を完了する)
 主人公はこれまでの旅路を振り返り、その意味に気づく。
8.Return home(故郷へ帰る)
 旅は終わり、主人公は宝物を持って元いた世界・日常へと帰還し、物語は終わる。

 これが英雄の旅という構造なんだけど、基本的には千と千尋はこの形式にそっているというのがなんとなくわかると思う。
 で、なぜ豚の中に両親がいないのかがわかったかということだけど、千と千尋は英雄の旅構造のなかでも特にInitiation=成人への通過儀礼という要素が大きい。
 湯屋での生活=試練=労働のなかで、成人(英雄)になった千尋は試練を通して正しい眼を手に入れていたため、問題を解決することで故郷=現実に帰ることが出来た。という話になる
 よって、物語構造上の意味としては、千尋は大人になったから真実を見抜くことが出来た、と言えるんじゃあないだろうか。

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