見出し画像

「伝統工芸品」とは? 日常を彩る「工芸品」の魅力!

あなたは、「伝統工芸」についてどのくらいご存じでしょうか?

日本の津々浦々には様々な「伝統工芸」があり、各地でイベントも頻繁に開催されています。

しかし、いざ「それって何?」と問われると、なかなか答えられないもの。

そこで、本記事では、「伝統工芸」の定義と現状について、簡単に解説していきます。

かく言う「伝統工芸士サポート集団」クラウニーのnote担当も、まだまだ勉強中の身です。

読者の皆さんと一緒に勉強していくような気持ちで本記事を書いていますので、ぜひラフにお読みください。


「伝統工芸」とは?

まず、「伝統工芸」という言葉そのものには、明確な定義はありません。

一般的に「伝統工芸」と呼ばれるものの共通点としては、次のような点が挙げられます。

・熟練の職人の手仕事で作られていること
・日常生活で使われる物である(鑑賞用の美術作品ではない)こと
・代々受け継がれてきた技法が用いられていること

「美術品」と「工芸品」の大きな違いは、日常生活で使うもの、日常の中で役立つものであるかどうか。

例えば、花瓶は日常生活の中で、お部屋にちょっと彩りを添えたいときに、お花を生けるのに使います。

一方、掛け軸は、特別なお客様がくるときに床の間に飾り、あくまで「鑑賞すること」が目的の品です。

いくつか「例外」と言えるものも存在していますが、ここでは、「伝統工芸」とはふわっとした呼称であること、「工芸品=日常生活で使うもの」という2点を押さえていただければと思います。

「伝統“的”工芸品」とは?

「伝統工芸」という言葉に興味をもったことがある方は、「伝統“的”工芸品」という言葉も見聞きしたことがあるのではないでしょうか?

「伝統的工芸品」とは、国が定める以下のような「条件」を満たした工芸品のことです。

・主として日常生活の用に供されるもの
・その製造過程の主要部分が手工業的
・伝統的な技術又は技法により製造されるもの
・伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるもの
・一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているもの

経済産業省 ホームページより

ちなみに「伝統的」と言われるのは、おおむね100年ほどとされています。

これまでに100年ほどの歴史があり、現在も多くの人が制作に携わっており、これからも脈々と伝承させていけるであろう工芸品が、「伝統的工芸品」として経済産業大臣の指定を受けられるのです。

今、国の「伝統的工芸品」に認定されているのは300品に満たないものの、この他にも、各県が独自に認定した「伝統工芸」が存在しています。

「伝統的工芸品」に認定されていると、様々なメリットがあり、例えば国や自治体の補助を受けることができたり、地域活性化の一環として広報をしてもらえたり、「伝産マーク」の証紙を付すことができたりします。

「伝統工芸」のこれから

一定の基準や条件を満たしていないと認定されない「伝統的工芸品」。

そこからこぼれてしまっている工芸品も、数多く存在するのが現状です。

例えば、この記事のサムネイル画像にある、沖縄県で作られる「琉球ガラス」。

これは、沖縄県の伝統工芸品には指定されていますが、経済産業省の伝統的工芸品には指定されていません。

その理由については、大きくふたつが考えられます。

ひとつは、第二次世界大戦の空襲などにより、100年前の琉球ガラスが残っていないこと。

ふたつめは再生ガラスを使って制作されているため、「伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるもの」という条件を満たしていないことです。

しかし、再生ガラスを使用していることこそ、琉球ガラスの魅力でもあります。

再生ガラスには不純物が多く含まれているため、制作過程で気泡が生まれやすくなるのです。

本来、ガラス製品は気泡があると「失敗作」とされてしまいますが、琉球ガラスはこれをあえて残し、その唯一無二の美しさで見る人を魅了しています。

また、再生ガラスを利用しているのは、戦後、駐留するアメリカ軍の人々が出す廃瓶などを使ってガラスの工芸品を作ったことが始まりです。

琉球ガラスは、まだまだ戦争の影響が深く残る中で、当時の職人たちが工夫を重ねて繋いだ工芸品でもあるのです。

このように、「伝統的工芸品」に指定されていない工芸品だとしても、全ての工芸品には、それを作る人の想いがあり、歴史があります。

現在は職人を志す人も少なく、伝統的工芸品の条件のひとつである「一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、又はその製造に従事しているもの」を満たせる工芸品も減ってきていますが、どんな工芸品も唯一無二のもの。

ひとつひとつの工芸品が等しくかけがえのないものであることを、この記事を通して心に留めていただければ幸いです。

微力ながら、こうした発信を通して、ほんの少しでも工芸品に興味をもつ方を増やしていけたら……という想いで、今回クラウニーのnote担当として記事を書かせていただきました。

この記事をきっかけに、「伝統工芸品」について興味をもっていただけましたら幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?