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肥料と使用期限とは?あなたのガーデンが知るべき事実

肥料を選ぶ際、多くのガーデナーが気になるのが「使用期限」です。食品や医薬品のように、肥料にも使用期限があるのでしょうか?この記事では、肥料の安全性、使用期限に関する興味深い事実を探ります。

肥料の安全性と成分変化

肥料はその安全性の高い原料と安定した成分により、長期間品質が維持されます。法律上、肥料に有効期限の定めはないのです。例えば、15年前の原液ハイポネックスの分析でも、その保証成分に問題はありませんでした。

しかし、キャップが開いたままの状態や長時間直射日光にさらされた肥料は、成分変化の可能性があります。したがって、使用後はキャップをしっかりと閉め、直射日光や高温を避けて保管することが重要です。

化成肥料と使用頻度

「〇〇作物専用肥料」などの化成肥料は、シーズンごとの使用が多く、年に1~2回しか使われないことが多いです。そのため、残った肥料は在庫として保管され、翌年に再利用されることがあります。

汎用の化学肥料(例えば尿素やDAP、塩化カリ)も、使用するまでに1~2年の在庫保管が一般的です。これらの肥料は、適切に保管されれば、長期間にわたって品質を保持します。

有機肥料と変質

一方で、有機肥料はさまざまな有機物から構成されており、密閉された乾燥状態でも水分や微生物の作用によりゆっくりと劣化することがあります。有機肥料が変質すると、その成分も変化し、養分の減少や有害物質の生成が避けられないことがあります。

しかし、有機肥料だけに使用期限を設定することは、現在の農業トレンドに反するため、避けられています。有機入り肥料を含む有機質肥料の品質劣化は、保管期間や条件(含水率、有機物の種類、保管温度、湿度)に依存します。

原料配合処方の影響

化成肥料やBB配合肥料では、原料の配合処方が製品品質に大きく影響します。不適切な配合は肥料の吸湿性を高め、固結しやすくすることがあります。また、配合処方によっては、製品内で化学反応が生じ、成分が揮散し肥料効果が低下することもあります。

しかし、多くの肥料メーカーは製品開発時に様々なテストを行い、長年の経験とノウハウを活用しています。そのため、こうした問題を生じさせることは稀で、化成肥料においても消費期限を設ける必要はありません。ただし、新興国から輸入される肥料の中には原料の品質が劣るものもあり、輸送や保管中に劣化が起きる可能性があるため注意が必要です。

生産工程の影響

化学肥料、特に化成肥料の品質には、反応、造粒、乾燥などの生産工程が大きな影響を与えます。たとえば、ケミカル造粒における硫酸の品質やアンモニアと硫酸の比率、反応時間、乾燥温度は、製品の不純物含有量や水分含有量に影響を及ぼし、保管中の品質変化に関与します。しかし、各肥料メーカーが異なる製造方法や品質管理を行っており、化成肥料の種類も多岐にわたるため、消費期限を一律に設定するのは不適切です。

保管条件の重要性

肥料の保管条件、つまり保管場所の光線、温度、湿度は非常に重要です。包装袋が紫外線や外部の圧力によって破損し、内容物が外気にさらされると、変質する可能性があります。固結した肥料原料は作業上問題が生じる可能性がありますが、成分が減少することは比較的少ないです。ただし、DAP(りん酸二アンモニウム)のように特定の肥料は高温下で分解し、成分が変化することがあります。

保管期間と品質

有機肥料を除くほとんどの化学肥料は、適切な保管条件下で長期間保管しても品質の劣化はほとんど起こりません。例外として、過りん酸石灰など一部の肥料は、保管中に主成分が反応し、可溶性リン酸の含有量が低下する恐れがあります。このため、過りん酸石灰は1年以内の保管が推奨されますが、メーカーは通常、りん酸含有量の低下を考慮して保証成分値を設定しています。

肥料の事後処理

肥料が品質基準に適合しなくなった場合、「事故肥料」として再利用する道があります。事故肥料は、天災や吸湿、風化などによって変質した肥料で、農林水産大臣や都道府県知事の許可を受けた肥料です。不適切な保管により発生した事故肥料は、そのまま施用されることが多いですが、メーカーや問屋の在庫中に発生した場合は、新たな化成肥料として再生されることがあります。

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