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肥料「ようりん」の魅力と効果的な使い方 - 特徴から最適な施用方法まで

近年、農業の現場で注目されている肥料「ようりん」。その特性や効果を知ることで、より良い収穫を目指すことができます。この記事では、ようりんの特徴や適切な使い方について詳しく解説します。

1. ようりんの特徴とは?

ようりんは、りん酸、けい酸、苦土、石灰がバランスよく含まれている肥料で、良質な米作りに役立つだけでなく、麦・野菜・果樹・大豆・飼料作物などにも幅広く使用されています。特に、有機物(稲わらなど)のすき込み時に使用すると、有機物の分解に必要な微生物の栄養源となり、土壌の地力を高め、肥料の効果が増進されます。

また、ようりんの各成分は「く溶性」という特性を持っており、根から出る有機酸や土壌中の弱い酸と接触することでゆるやかに溶け出します。これにより、作物の成長に合わせて長時間、有効に吸収されるのです。この「接触溶解吸収」という特性は、他のりん酸質肥料には見られない魅力的な点となっています。

さらに、ようりんのリン成分はカルシウム型で保持されているため、ゆっくりと長く根に吸収される特長があります。これにより、水溶性のリンが土壌中に固定されにくくなり、植物の吸収が向上します。

2. ようりんの効果的な使い方

ようりんの適切な使用方法を知ることで、その効果を最大限に引き出すことができます。水稲の場合、収穫後や春代かき前に施用することが推奨されています。また、牧草地では、りん酸吸収係数の3~5%相当量を施用することで、酸性の中和や苦土の補給、活性アルミニウムの抑制などの効果が期待できます。

各作物の一般施肥の目安も存在しますが、土壌の条件によって増減することがあります。そのため、具体的な施肥量やタイミングについては、最寄の農業協同組合(JA)などの専門機関に相談することをおすすめします。

3. ようりんの種類と特性

ようりんには、さまざまな種類と特性があります。主に「く溶性りん酸肥料」としての「ようりん」、砂状ようりんと砂状ケイカルの混合肥料としての「指定配合」、ようりんとケイカルを含む粒状肥料「エンリッチ」、けい酸の肥効を高め、リン濃度を抑えた「スーパーエンリッチ」などがあります。

特に「スーパーエンリッチ」は、けい酸の溶解性を高める特性を持ち、りん酸過剰な場所に最適です。地力が一度低下すると回復が難しいため、このような特性を持つ肥料は、持続的な土づくりを目指す農家にとって非常に価値があります。

また、ようりんは砂状タイプと粒状タイプの2つの形状があります。粒状タイプは、施肥効果が「ようりん・BMようりん」と同じでありながら、粒状での散布が容易で、取り扱いやすいという特徴があります。さらに、どんな肥料とも配合が可能で、機械散布にも適しています。

4. ようりんの主成分と製造方法

ようりんの主原料は、りん酸と石灰を含むりん鉱石と、けい酸と苦土を含むけい酸苦土含有鉱石です。これらの原料を高温で溶かし、水で急冷することで製造されます。この過程で、りん酸、けい酸、苦土、石灰が均一に溶け合い、独特な物質として固まります。この物質は、土壌中の弱い酸に触れると、各成分がイオンとして溶け出し、植物に吸収される形となります。

また、ようりんには、りん酸、けい酸、苦土、アルカリ分(石灰+苦土)の保証成分が含まれており、さらに鉄、銅、コバルト、亜鉛、ほう素などの微量要素も含まれています。これにより、ようりんは「ひとつで4つの肥料のはたらき」を持つ総合的な肥料として、多くの農家に支持されています。

以上、ようりんの魅力や効果的な使い方について詳しく解説しました。適切な知識と使い方を身につけることで、より良い収穫を目指しましょう。


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