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形而上学の構造

形而上学

1 アリストテレスでは、あらゆる存在者を存在者たらしめている根拠を探究する学問。すなわち第一哲学または神学。

2 現象的世界を超越した本体的なものや絶対的な存在者を、思弁的思惟や知的直観によって考究しようとする学問。主要な対象は魂・世界・神など。

~デジタル大辞泉

 世界とか神とか愛とか幸福とかそういう抽象的な言葉をもとに考えを深めようとする学問のこと。

 反対の形而下学は、植物とか動物とか物理現象などモノがあるものを対象にする学問となる。

 形而上学がどのような構造で成り立っているのかを考えてみる。

シミュレーション上の建築

 形而上学は、土台に形而上のものを使うのが特徴である。世界がこういうものであるとして…の上に論理が構築されていく。形而下では、土台は実際にある自然科学に一致していなければならないが、形而上では土台は何でも良い。土地はいくらでも広くできるし、いくらでも使い勝手の良いかたちにできる。制約がないので、上に建つ建築にいくらでも凝ることができる。超高層ビルのような立派で圧倒的な言説を構築することもできる。

 ただ、土台が存在していない可能性、その建築がシミュレーション上にしか存在できない可能性がつきまとう。

シミュレーション上の建築の逆輸入

 形而上の構造は、土台が形而下において成立するとき、実際に存在可能となる。形而下の構造と近似していて応用可能なときに、形而上に構築された立派な建造物の(建築技術の)一部が本当に使えることがわかる。

つまり

 形而上学においては、いくらでも立派に聞こえることが言える。思い通りになる土台の上に建っているからだ。ただし、それは、突然消えてなくなるかもしれない。心地の良い夢から醒めるかのように。

だから

 それが夢なのか、夢ではないのかを確かめて、土台となっているものをシミュレーションから取り出さなければならない。夢から醒めずに一生を終えたい人もいるだろうけど。

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