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陶の棲 渡邊亜紗子

作品について

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“想像が膨らむもの”を目指し、語りかけてくるような造形作品と、食卓を華やかにする器を中心に制作しています。

器は使い勝手を考慮した形と、色鮮やかな装飾が特徴です。
色釉が少し混ざり合うように彩色しているので、窯ごとに少しづつ滲みや発色が異なるのが面白いところ。

造形作品に関しては、見る人が様々な解釈をし、想像を巡らせるきっかけになれば嬉しいと思っています。

考え方を切り替えることでそれぞれ新鮮な気持ちで制作できるため、どちらも私にとっては必要不可欠なものです。

いままでのこと

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陶芸を始める前、私はプラスチックを素材として造形物を制作していました。プラスチック造形は土などで原型をつくり、型取りし、そこに樹脂を流し込んだりして成形。そのあとはツルツルに磨いて塗装したりしますが、次第に手跡が残った粘土原型のほうに魅力を感じるようになりました。さらにその頃、ルーシー・リーの回顧展でカラフルな器を観たことで、自分もやってみたいと思うようになったのです。

まずは陶芸教室と繋がりのある宿で働きながら、毎日のように作品をつくりに行きました。そこでは先生が築いた薪窯や調合した釉薬を使い、試行錯誤しながらの制作。色は安定しないし、温度が思ったように上がらないこともありましたが、そのことでかえって興味が尽きず、幅の広い陶芸の魅力を知ることができたのです。すっかりのめり込んだ私は、最終的にその教室に住み付いて陶芸三昧の日々を過ごさせていただきました。

そして基礎を学びたいと思うようになり、愛知県瀬戸市の窯業学校へ。歴史のある陶芸の産地で刺激を受けながら、成形技法や釉調合など様々な技術を習得しました。

沢山の出会いに恵まれて、今があります。有難いです。

ものづくりに欠かせないもの

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絵でも言葉でも、思いついたものを書き留めておくノート。

大学時代、片道2時間半の電車通学をしていたのですが、その頃から欠かせない存在です。これとウォークマンさえあれば空想に耽ることができるので、長い道のりも重要な創造の時間でした。落書きばかりですが、後から見返すと何度も出てくるモチーフや、忘れかけていたアイデアなども。それをヒントに制作を始めます。

これからのこと

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昨年、活動拠点を岐阜県の山間部に移しました。元々、自然に囲まれた環境に憧れがあったため、近所を散歩するだけで楽しい!草花の成長も興味深く、季節の移り変わりを満喫しています。

今年はコロナの影響で出展などの予定がほぼ無くなりましたが、そのおかげで制作環境を整えたり、今まで手を付けられなかった試作を進めることができました。まだ先の見えない状態ですが、手工芸品は暮らしを豊かにすると信じ、作り続けていこうと思っています。