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土岐千尋

木彫

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作品づくりを始めてからもう16年が経ちますが、木彫の作品を販売するようになってからはまだまだ一年半。ずっと彫刻のものを作りたいと思ってはいたのですが、最初は何を作ったらいいのかもわかりませんでした。

そんな私にヒントをくれたのが息子です。息子は毎年、お誕生日に祖父母から図鑑をプレゼントしてもらっています。その年は深海生物の図鑑。まだ字が読めない息子にその本を読んであげているうちに「形」の面白さが気になってしまいました。気持ち悪いものも多いのですが「こんな形の生き物がいるなんて」と驚いたのを覚えています。

やがて、生き物のような、植物のようなカタチの木彫作品が出来上がりました。ピアスやブローチなどが中心ですが、お皿やカトラリーも作っています。

はじめまして

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岐阜県・恵那市岩村町という、お城跡と城下町がある小さな町。私は夫と共に「マサチロ雑貨店」という屋号で、木工品の制作、販売をしています。

12年ほど前にUターンをしてきたのですが、その頃は城下町を見にくる観光客もまばらでした。そこで私達が作家として名を挙げて、お客様を呼べるようになろうと思っていたのです。

しかし、生活をするだけで精一杯。子供が生まれ、そんな思いはどこかへいってしまいそうだったころ、町がドラマの撮影に使われることになりました。そのドラマが放映されてから、観光客がどっと押し寄せてくるように。町の中は一変。飲食店には行列ができました。ちょうど、お店にする場所を借りて開店準備をしていた私たちは「この波に乗らねば!」と急いで開店。結局、この町に助けてもらう形になりました。

それから2年。ドラマの熱は冷め、外出自粛のこともあってか岩村町は静かな町に戻ってきました。でも、自粛期間が明けた今、だんだんと観光客が増えてきて、私達のお店を目当てに来てくれるお客様もいます。

今回のクラフトフェア松本に出店することで、もっとお店にお客様を呼ぶきっかけを作りたかったのですが、中止になってしまい残念でした。
また来年挑戦して、12年前の目標を達成するように制作を続けていきます。来年はあがたの森でお会いしましょう。

ものづくりの相棒

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作業場では常にラジオが流れています。夫がもともとラジオ好きなこともありますが、私も学生時代には、学校のアトリエでラジオを流すのが普通でした。大きな機械を使っている時や集中している時は聞こえませんが、ふとした時に好きな曲が流れてきたり、くだらない話にぷぷっとしたり、ぼーっと聞き入ったり。時計の代わりにもなります。

いま使っているラジオは夫が若いころから持っているもので「見えるラジオ」というものだそうです。「曲名やニュースなどが表示される」という代物ですが、今は出ません。それと、なぜか1時間半で切れる機能付き。

勉強会

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2〜3年前、制作へのモチベーションが上がらず、何をしたらいいのかわからなくなっている時期がありました。それでも「何かしなくちゃいけない」という思いから制作を続けていましたが、気持ちは落ちていく一方でした。

そんなとき、同業の友人にその話をすると、全く同じ状況に陥っていることが発覚。いろいろ相談を重ねるうちに「この状況を抜け出す為には出かけることだな」という結論になりました。

そうして、友達との「勉強会」がスタート。月に1回、雑貨屋さんやギャラリー、美術館などに出かけて、ランチを食べながら感想を言い合います。仕事のことや、趣味のこと、子供のこともたくさん話して笑います。そのおかげで、やっぱりものづくりが好きなんだと気づくことができましたし、見ること、話すことの大切さがよくわかりました。

それから、少しずつ悪い状況は変わっていき、コラボ作品を作ることもできました。今はいつか展示会をやろうと話しています。いつも付き合ってくれる友達にはとても感謝しています。次はどこへ行こう?