日本刀

言葉が俺を確実に生かす。言葉がお前を確実に殺す。日本刀みたいにスパッと切り裂く。テレキャスターよりも危なっかしい時もあるが、野戦病院の看護師より優しくなる時もある。いかんせんその取り扱いに細心の注意を払わねばならない。

ライフイズパーティーライフイズショータイムなんてまたおどけた顔で言いたいわけじゃないのだが、誰かと通話で喋っているだけで丸一日全部無駄にしてしまえる。事実は小説よりも奇なりとは言い得て妙であり、自分では普通と思って過ごしていることが、他人にとってはぶっ飛んだことだったりするのだ。もちろん逆もまた然りだ。

自分は小説を昔ほど読まなくなってしまったのだが、面白い小説を書ける人のことはとてもリスペクトしている。自分でもたまに書いてみるのだが、実際に感じた事を言語化する時にはすらすら言葉が出てくるものだが、完全に空想の話を書こうとすると途端に筆が遅くなる。もっともっと想像力が必要なんだと思う。架空の人物の目に迫る光景を頭に浮かべて、その状況を文字にするというのは大変な労力を必要とする。事実、4200文字まで書きかけてストップしてしまっている小説が下書きに眠っている。早く目を覚まさせないといけない。

言葉の力を信じている。これまで沢山の人の言葉に救ってもらってきたし、沢山の人の言葉に怒り狂ってきた。沢山の人を笑わせた経験もあるし、悲しませたこともあった。意図的に悪意のある言葉を他者に向けるような人間にはなりたくないものだ。

この脳みそから搾り出される言葉だけで飯を食いたい。俺じゃなくてもできるようなこと、AIに取って代わられるような単純作業はやりたくない。21歳、諦めたこともそれなりにあるが、まだ全然諦めていない。努力を努力と思わず重ねられるような人間になりたい。それだけだ。