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年賀状ミニミニ小説

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毎年年賀状用に、干支をテーマにして書いているミニミニ小説です。基本的には思いついてそのまま書いて、そのままレイアウトしてそのまま印刷してそのまま発送しています。
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記事一覧

サルカニカッセン

さあ、もうすぐサルオがやってくる。 ボクはじっと待つ。 サルオを懲らしめるために。 でも…

カラピー
3年前
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羊の○○○○を被ったオオカミ君

「お疲れー」 事務所に入るなり、誰もいない部屋の中に向かって声を出す。 ふう、とロッカー…

カラピー
3年前

選択の瞬間

「えーと、ここはさっき通った気がするなあ」 T字路の突き当たりでたちどまり、首を左右に振…

カラピー
3年前

とぶためルーティーン

ぼくはまだとべないんだ。 まいにち、てをバタバタしてみるけど、からだがうくかんじはしない…

カラピー
3年前

感謝の言葉

 僕は宇宙人にさらわれたことがある。 「人間から開放してあげるよ」そう宇宙人は僕に言った…

カラピー
3年前
1

黄金のたてがみ

 三日三晩走り続けてたどり着いたのは、小高い森の中にある小さな学校だった。  辺りは、ゲ…

カラピー
3年前
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期待に応えるか、否か

 何せタイミングが悪かった。  人の気配に気づいていたというのに。  あの匂い。自然界には存在することのない、幾ばくかの背徳さを含む甘美な香り。  気づいたらその円盤状の食べ物を一口で飲み込んでいた。  ビスケットという人間の食べ物だということは後で知ったことだが、その硬さが時間が経ってしまったものだったせいなのか、飲み込んだ瞬間、喉のところでそのままの形で留まってしまう。 「ねえ、あれ何?」突然人間の子供の声が聞こえる。 「あ、ツチノコだ!」別の子供から恐怖の宣告が告げられ

チューのジョー

 ぼくはチューのジョー。  最近よく「ジョーってマスオに似てるよね」って言われる。  マス…

カラピー
3年前
2

ドラゴンとボール

「さあ、 願いを言え」  浮かんでいるすべての雲を吹き飛ばしてしまうような大きな声で、 ド…

カラピー
3年前

しずくとスクリーン

「世界がバラ色になったよー」  帰ってくるなり、しずくさんが言った。  昨日は会社で「君の…

カラピー
4年前
1

ウーリーを探せ

「ねえ、僕どこだー?」大きな声でウーリーが聞く。 「そこでしょ」  兄弟の中に埋もれたウー…

カラピー
4年前

友達になる瞬間

お客さんとしばらく談笑して、自分の定位置に戻ると、そこに薄汚いグレーの塊があった。 近づ…

カラピー
4年前
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