初めて祖母の墓参りに行った話

コロナが猛威を振るうGW中に祖母が他界した。
大変お世話になった祖母だったので僕は東京から四日市に向かおうとした。でも親族からストップが掛かった。

初盆には行こうとしたが、やはり猛威を振るう中行けなかった。
小学校からの友人の結婚式も祝電で済まさざるを得なかった。

しかし最近ヨーロッパでは立ち上がり始めているが、日本ではコロナに慣れてきていたので、高校の友人の結婚式に今日四日市に来た。

結婚式が終わり、二次会までの間に実家に寄った。庭で親父と母ちゃんと一年半ぶりに会った。正月風邪を引いて帰れなかったから本当に久しぶりだった。

しかし祖母の仏壇に行くために屋敷に入ることは許されなかった。でも何かしたくて墓参りに行った。勿論結婚式に数珠を持っていくわけにも行かず、手ぶらで一人近所の寺の墓まで歩いた。

墓地には知らない裕福そうなオバサンが墓の掃除をしているだけだった。墓参りもコロナの中厳しいんだろう。

初めての墓参りが手ぶらで祖母に本当に申し訳なくなった。線香も数珠もない。

そんなことに怒るばあちゃんではなかったが、自分の為に大変良くしてくれた祖母に対する初の墓参りがこれで良いかと自問自答するとそんなはずが無い。志位はまた金かと言われるかもしれないけど、少なくとも3000円か5000円の花を用意すべきだとわかる。小中学校の頃学校でこんな事があっただとか困った事を相談したりに付き合ってくれた婆ちゃんに自分はこれぐらいの用意も出来ないのかと悲しくなった。ごめんばあちゃん。

せめてと思って枯れている花を捨てて柄杓で掃除をしてしたが、他に何も出来ないのか

思い切って近くにいたおばさんに言った。
「大変申し訳無いお願いなのですが、線香を貸していただけませんでしょうか。祖母がGWに他界したのですが東京からなかなか来れず、結婚式で今日来れたので時間を縫って来たのですが、身一つで来てしまいました。」

お金を払おうとしたら止められ、
「私はいつも5本ぐらいなの」

と5本いただき、火をつけていただき、掌を合わせたなかなか来れなくてもうしわけない。

「数珠も」
何もかも貸していただいた。

感謝しながらばあちゃんに報告をした。

「葬式には出れたの?」
いえ、出られませんでした。

「東京に直ぐ帰られるの?」
はい、明日朝帰ります。

「大変よくしていただいた祖母で、なかなか来れず、本当にありがとうございます。受け取って頂けませんか?」

「お墓に参る気持ちだけでいいわ」

おばさまの墓には参っていないし、おばさまは線香5本とライターのブタン数ミリグラムを失っただけなのに、ありがたい。

今から二次会に行って、東京に帰る。

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