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-睡蓮-

印象派の父であり「光の画家」-クロード・モネ-
彼の代表作として「睡蓮-連作-」がある。
30年間にも渡り睡蓮を描き続け、総枚数は260枚にものぼる。

「光の画家」が晩年までこだわり続けた作品と自分の名前に蓮が入っていることに何か運命的なものを感じ、惹き込まれた。

モネはパリからセーヌ川を北西に80km離れた村ジヴェルニーに家を購入し、睡蓮を中心とした水の庭を造成した。そして、死去するまでの30年もの間睡蓮を描き続けた。日本芸術に傾倒していたモネの庭には、浮世絵によく登場する睡蓮を中心にしだれ柳やユリなど数百種の草花が植えられ、日本風の太鼓橋が架けられていた。水面には白、黄、藤色、薄紅色の睡蓮の花が浮かび、それぞれ花開く時期がズレるように植える期間を計っていたといわれる。多種多様な草花で彩られた庭は時間帯や季節によって様相を変え、見る度に違う表情を見せてくれる。

そんな移りゆく水の庭の表情をモネは愛し、その刹那を逃すまいとキャンバスに描き殴った。

水面の睡蓮たちは輪郭がぼやけ、ユルユルと位置を変えながら浮かんでいる。色と色は決して交わることはなく、しかし無数の色の調和によって自然元来の複雑色を表し、近くでは感じられない旋律も全体としては不思議なほどに整っている。水面に下から上へと勢いよく描かれた深緑の線々は、上面にあるしだれ柳や浮かぶ睡蓮を写していて、その水面の鏡を覗き込めば水中の水草や睡蓮の根が目に浮かんできそうになる。

印象派の父であり、自然の瞬間とりわけ光の移り変わりを描き続けてきた「光の画家」-クロード・モネ

彼が最後に見出したのは「水」であった。

微風で揺れ動く睡蓮、そこから水面に波形が広がりやがて岸にぶつかり新たな波形ができ移ろいでゆく。しだれ柳の隙間から吹き込んだ光が水面を反射する。 日が落ちると、眩い反射光に掻き消されていた柳や種々の草花を映し、まるで宵闇を待っていたかのように踊り出す。水面下には金魚や水草、睡蓮の根がひそひそと肩を寄せあっているのがみえる。そしてそこには限りない表現の世界が広がっている。

正に「水」は連綿として移りゆく庭の表情を刹那に映し出す鏡であった。

これが瞬間の印象を表現する印象派であり続けたモネの、最後に導き出した答えであった。「光の画家」はついに「水の画家」へとなったのだ。


自分の名の由来を聞いてみた。

「水面下では根をはって、水面では花を咲かせて欲しいから」

だそうだ。

言うなれば、

「夢はでっかく、根は深く」

である。

水面下で「印象派」という大きな根を張り巡らせ、その生涯を「光の画家」として貫いたモネ。

彼は、水面で「水の画家」という大輪の睡蓮となり咲き誇った。


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最後まで読んでいただきありがとうございます!! 東海道中膝栗毛の膝栗毛って「徒歩で旅する」って意味らしいですよ