見出し画像

パチンコ営業と賭博罪と風営法の関係をわかりやすく解説


わかりにくさには意味がある

パチンコ営業と賭博罪と風営法との関係を理解しておくことは、ホール営業の規制全般を理解するうえで、ホール業界のかじ取りにおいて、極めて重要なことです。

しかし、ホール経営者や店長の方々にとっても、このテーマは理解しにくいテーマです。
風営法の研修をしてみればわかると思いますが、「わかったつもり」でとどまっている方が多いのです。
店長クラスより上の方にはぜひ理解しておいてほしいですし、経営者の方には必須の理解です。
逆に、これを正しく理解している方は、まだ知らない人に教えてあげてください。きっと喜ばれます。

このテーマは「わかりにくさ」自体が業界にとって意義がありますが、そういったことをなるべくわかりやすく説明しておきたいと思います。
とは言いつつも、文章でわかりやすく説明するのも容易ではないので、この記事は今後何度も見直して修正してゆこうと思います。

まず最初はここからいきましょう。

パチンコは賭博ではない!?

一般市民から「パチンコは賭博ですか?」と聞かれたら(こんなことはあまり起きないでしょうが)どう答えますか。

パチンコ営業の実態は?ではなく、ホール事業者として市民に対し「どう答えるべきか?」という話です。
で、その答えはズバリ。

パチンコは賭博ではありません

となります。

「それは違うぞ。パチンコは賭博なのだ。」と思われる方もいるでしょう。
そして、こんな考えをお持ちではないでしょうか。

パチンコは賭博であるが、一時の娯楽に消費するものを提供しているから賭博罪には該当しない。だから、パチンコは合法な賭博営業なのだ。

こんなお考えだとしたら、賭博罪についてある程度勉強をされた方ですね。さすがです。しかし、おしいです。
業界にいても、これより深い情報に接する機会はあまりないのです。
私は風営法の研修をしますが、このテーマは解説に時間がかかるし、理解されるのも難しい割に実践的ではないので、研修ではあまり触れません。業界セミナーか団体の講演で話したことはありますが、みなさん寝てたんじゃないかな。

賭博と一線を画す営業

先日、某業界団体の古株の方々との会合でこの話をしまして、そこにいらした方々は皆「賭博ではない」というご理解だったのでホッとしました。
かつて行政講話でさんざん聞いていたから、昔はこっちの方の理解が一般的だったと思うのですが、最近は異なる見解が多くなっているようですので、ここで説明しておきたいと思いました。しかし、この記事は業界の方々のみにご覧いただきたいので、一部を有料記事にしました。またこの記事の性質上、複製はとりわけ厳禁とさせていただきます。しかし、自己責任で吹聴するのはどうぞご自由に。以上、よろしくご理解くださいませ。

平成24年5年22日の警察庁課長補佐の講話において、こんなお話がありました。
買取り行為の規制が、ぱちんこ営業が賭博と一線を画すための非常に重要な規制であり・・・」
ここでは「賭博罪と一線を画す」ではなく、「賭博と・・・」と言われています。
これは、警察庁が「パチンコ営業は賭博ではない」という認識でいるからだと思います。
それは賭博と賭博罪を勘違いしたんじゃない?
いやいや、さすがに警察庁はそういう間違いはしないと思いますよ。この当時、警察庁さんは各所で「賭博と一線を画す」という言葉を盛んに使っておられました。

◎H24 行政講話
https://web-archive.nichiyukyo.or.jp/FileUpload//files/magazine/201407/02_kouwa.pdf

射幸心をそそる営業

ぱちんこ営業が賭博かどうかについてこういった混乱が生じやすいのは、パチンコ営業が属する風俗営業の「4号営業」の定義では、射幸心をそそることが想定されていることも関係しているかもしれません。それとも、そこまで深く分析している人はいないでしょうか。。。

風営法第二条第一項第4号の定義
まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業

射幸心をそそるおそれ」という意味には<射幸心をばっちりそそる場合>を含んでいると解釈できます。つまり、射幸心を著しくそそる営業4号営業に該当するのです。
しかし、4号営業に該当する営業であっても、公安委員会が許可しなければ営業はできませんね。
風俗営業の定義というのは、<風俗営業をとりあえず禁止する>という意味で定められています。
もしパチンコ営業が賭博であったとしても4号営業には該当しえますし、営業が許可される可能性もあります(風営法の許可基準を満たしうる限りで)。
さて、ここまで読んだら、もう萎えてしまったんじゃないですか。風営法は複雑でわかりにくいですよね。それでもまだ、読みたいという方がおれらるかな。。。

賭博について考えてみよう

ではここから、賭博について確認しておきましょう。ネット検索してみると、おおよそこんな説明がでてくるでしょう。

賭博とは、確実には予見できない結果に関して勝敗を決する方法によって財産上の利益を争う行為。

では、次のA~Dの行為は賭博だと思いますか? 一つずつ見てお考えください。

A 営業成績が優秀な社員に対して、毎月賞金を現金支給しています。

B 息子へ毎月小遣いを渡しているが、今月から英語の月末テストの成績が50点以上なら2倍の額の小遣いを与え、50点未満なら小遣いを渡さないという約束をした。

C 会員の向上心を高めるため、テニスサークル内の試合で、優勝者にはサークルの会費から現金1万円が支給されます。

D カジノ同好会で参加費を集めてルーレット大会を開催し、参加者が獲得したチップの量に応じて参加費を分配します。

これを研修で質問してみると、意見にけっこうなバラツキがでますが、Aについて「賭博だ」という人も、Dについて「賭博ではない」という人もほとんどいません。
一般的に、BとCで悩んでしまうようです。で、私はどう思うのか。
うーん。実は私も悩んでしまうのです。ここが大事な視点です。
「賭博の定義」で人は悩むのです。

そして、もう一つ重要なことがあります。私たちはなぜ、Aは賭博ではないが、Dは賭博であると思ったのか。

ここから先は

3,338字 / 4画像

¥ 1,000

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

ありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 <(_ _)>