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初心者のためのガールズバー営業開業の注意点を解説2024

ガールズバー営業を開始するにあたって、行政手続き面で注意が必要な点を風営法の専門家の立場から、風営法関係の注意点を中心に解説します。

一般的に必要なことは一応すべて網羅したつもりですが、あまりに細かすぎて触れていない部分もあります。

そういった部分は今後、別の記事で解説するかもしれません。


開業したくなったら最初に注意してほしいこと

ガールズバー営業は必ず飲食店営業の許可を取得してから行います。

飲食店営業の許可を取らないで営業を開始することは食品衛生法における無許可営業となり、発覚すると違反処分を受ける恐れがあります。
そして、ほかにも法的な注意点がありますが、とりわけ風営法は違反すると逮捕罰金刑のリスクが大きいので、よく理解してから開業準備を進めてください。
開業前に考えておいてほしいポイントを以下に説明します。

経営するときの名義は慎重に決めましょう

個人事業者として個人名で経営するのか。それとも法人で経営するのか。
といったことを決めておきましょう。あとでコロコロ変えるわけにゆきません。

個人と法人、それぞれメリット、デメリットがあります。よく検討されるポイントは税金面の問題ですが、これについて皆さんの方でお調べください。

どちらにせよ、開業後ひと月以内に税務署に開業の届け出が必要です。

風営法的な話としては、法人であれば営業許可を譲渡できる制度があるなど、あとで「法人で許可を取得しておいたよかったな」と思うときがあります。

なお、他人の営業許可名義を借りて営業する、または他人に営業許可名義を貸すと言ったことは、それ自体が犯罪行為ですのでやめましょう。

ガールズバー営業を行うには必ず保健所で飲食店営業許可を取得し、その後、必要があれば管轄の警察署営業開始の届出又は営業許可申請をしますが、保健所と警察とで手続き上の名義(申請人名義・店名等)が一致しないと実務上の問題が生じますから、完全に一致させてください。

飲食店営業の許可はAさんで取得し、警察への届け出はBさんで行う、なんてことはできないのです。

あとで名義を変更するのはいろいろ面倒な手続きがからむので、どの名義で営業するかは慎重に検討しましょう。

法人が新たにこの分野で営業を開始する場合は、定款上の目的に含まれているかどうかを確認し、もし含まれていないときは目的変更の登記を行います。


物件の賃貸契約の前に用途地域の確認が重要

用途地域ごとに、そこでできることできないことが定められています。
これを用途規制とも言います。この話はとても複雑なので、難しいと思ったらとりあえずスルーして、あとでじっくりお読みください。

さて。
たとえば店舗営業が禁止されている用途地域で禁止された営業を行うことは建築基準法違反となります。

あなたが行おうとする営業が用途規制においてどの分類にあたるかを検討し、次にあなたが営業を開始しようとしている店舗所在地の用途地域を確認して、建築基準法上の問題がないことを確認してから物件を確保してください。 

用途規制の内容について詳しくは、次のPDFファイルをご覧ください。

☆用途地域による建築物の用途制限の概要https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/kanko/area_ree/youto_seigen.pdf

用途地域を知りたいときは、店舗所在地を管轄する市区町村等のホームページで調べてください。 

行政機関のホームページのなかで「用途地域」で検索すると、都市計画マップなどへ誘導されますから、そこで所在地を入力するなどして用途地域を特定します。

店舗所在地の周辺が複数の用途地域にまたがっているときは少々面倒な話になりますが、このブログでそれを解説するとあまりに長文になるので省略します。

また、用途規制に関わる話として地区計画、建築協定、街づくり協定といったものにも注意が必要ですが、これも説明すると長くなるのでここまでにします。

用途地域の話は風営法を含めて考えるとかなり難しい問題を含んでいます。
まず、カラオケボックスとキャバレーは用途規制における分類の「店舗」の場合よりも用途規制が厳しく適用されています。

ガールズバーがカラオケボックスに該当するケースは少ないでしょうが、キャバレーに該当することはありえるので、これに関係する法令をしっかり認識して検討しておく必要があります。

もし、「風俗営業の許可を取ってガールズバー営業を行う可能性は将来的にゼロ」であり、カラオケボックス営業でもないとお考えであれば、とりあえず店舗であるとして、店舗床面積を考慮して用途規制を判断すればよいでしょう。

しかし、用途規制の話は複雑でわかりやすいですよね。ですので、これについては専門家に相談するのが正解です。但し、専門家にとっても難しい話なので、頼めばなんでも解決してくれる、ということにはならないかもしれません。

風俗営業か深夜酒類提供飲食店かその他か

仮に飲食店営業許可を受けたあとだとして、次の3つの選択肢があります。

①風営法に従い公安委員会(警察)に深夜酒類提供飲食店の営業開始届出を行う

②風営法に従い公安委員会(警察)から風俗営業許可を受ける

③風営法の手続をしないで飲食店営業許可だけで開店する

実際のガールズバーでは、割合として多いのはです。しかし、行政書士の目線でアドバイスすると、総合的に考えて法的リスクが少ないと思えるのはの方法です。

その理由を理解するためには、風俗営業と深夜酒類提供飲食の違いについて理解する必要があります。

①の場合は、保健所で飲食店営業許可を取得してから、警察に深夜酒類提供飲食店の営業開始届出を行います。

深夜酒類提供飲食店とは、夜0時から朝6時までの時間帯において酒類を提供する飲食店のことであり、接待が禁止されています。営業を開始する10日前までに公安委員会で営業開始の届出を受理されておかないと届け出義務違反に問われます。

しかし、あとになって「やっぱり風俗営業に切り替えたい」と思う可能性もあります。
風俗営業であれば接待ができますが、風俗営業の許可を持たないで接待サービスを行うと、いきなり逮捕、そして罰金刑を受ける可能性が高いです。

これは人生が変わってしまうほどの重大なリスクですから慎重に考えなければなりません。

バーとして営業していても、ライバル店が気になってつい接待的サービスをやりたくなるということはありますし、警察から風俗営業許可を取るよう指導されることもありえます。

ガールズバー営業は宿命的にあいまいな部分を含むのです。
接待営業にあたるかどうかについて詳しいことは、ネットで調べればいろいろ情報が出ていますし、ガールズバー営業を続けるうえでの注意点については、私が書いた以下の記事でも解説しています。

ともかく、ここのページは「開業における注意点」なので、これ以上詳しいことはここでやめておきます。

もし、接待を行わず、夜12時までに営業を終了するバーであれば、風俗営業でも深夜酒類提供飲食店営業でもないので、風営法の手続きは不要となり、飲食店営業の許可があれば営業できます。

風俗営業許可を取得できる物件の方が無難

将来「風俗営業に切り替えたい」と思う可能性があるのだとしたら、あとで風俗営業許可を取得する場合に備えて、風俗営業許可を取得できる物件を選んでおいた方が、なにかと無難ではあります。

警察から風俗営業許可を取れと指導を受けても、その場所が許可を取れない場所ならば困ってしまうかもしれないからです。

風俗営業許可を取得するための要件は、ネットで調べれば行政書士やらの情報が大量に出てきますので、それらをご参考になさってください。

風俗営業許可が取れるかどうかは主に以下の3点を検討します。

風俗営業許可の要件を検討

①経営者と管理者の身分欠格要件
②構造設備要件
③場所の要件

①と②の要件は満たしていると仮定して、ここで注目してほしいのは③の場所の要件です。

風営法では風俗営業を行える場所について都道府県条例で定めていますから、それについて調べておきましょう。これは都道府県警察のサイト等で確認してください。

建築基準法と風営法では用途地域による規制の仕方が異なりますから、建築基準法ではOKだけど風営法ではダメ建築基準法ではダメだけど風営法ではOKということがありえます。

保全対象施設についても注意が必要です。学校、医療施設、児童福祉施設などが近くにある、又はこれから設置される予定であると、風俗営業許可がとれないのです。

これも都道府県によって規制内容が異なりますが、保全対象施設の有無について調査することはかなり難易度が高いです。

建物オーナーの承諾も得たいところ

賃貸物件で営業する場合は、そもそも建物所有者が承諾しなければ風俗営業を行えませんから、もし可能であれば、
将来、キャバクラ営業に切り替えたい時は承諾もらえますか?
と聞いておくのもよいでしょうが、オーナーによっては「あなたは風俗営業を無許可でやるつもりなの?」とあらぬ誤解を受けるおそれもあって、少々微妙な話です。

結論から言いますと、風俗営業許可が取得できる商業地域がもっともお勧めです。

たとえば、ちょっと大きめの駅の駅前にあって風俗営業店も入居しているような、いわゆる風俗ビルの一室であると、風俗営業許可が取得できる場所である可能性が高いし、建物オーナーも風俗営業をOKしてくれる可能性も高いので、なにかとリスクが小さいです。

以前の営業がガールズバーだったから大丈夫ですよね?なんてことはない

それは危険な考え方です。それはつまり「たぶん大丈夫ですよね?」という意味ですから、私も「たぶんね」としか言えません。

風俗営業許可が取れない場所だから、仕方なく無許可でやっているバーやスナックは存在します。それらが風俗ビルの中に存在することもあります。

昔は風俗営業許可が取れたけど今は近所に保育所ができたから許可がとれない物件を私はいくつも知っています。

前はガールズバー、前はキャバクラ。その方がリスクは小さめになりますが、大丈夫と言う保証はないのです。

こういったことを不動産屋に聞いても、不動産屋がこういったことをどこまで理解しているかわかりません。

わかっているつもりでわかっていないということはよくありますし、賃貸契約を巡ってトラブルになっているケースをよく耳にします。

契約前に物件の設備をチェックしましょう

元々がガールズバーであった物件を居ぬきで借りる場合は、比較的に安心ですが、店内設備の状況をよく見て判断しましょう。

飲食店営業の許可が取得できる設備状況かどうか。どのような衛生設備を追加、又は修理する必要があるか。これによって、これからかかるコストが変わります。

衛生設備の写真をスマホで撮影し、設備状況を示す図面を確保してから保健所に事前相談することをお勧めします。

保健所の人はけっこう優しく指導してくれます。
多くの場合、客用と調理場の手洗い器(直接手を触れないで水が出るもの)があるか、調理場を区画するドアがあるか、棚にふたがあるか、更衣スペースがあるか、調理場の床が水はけがよいか、といった衛生面の問題を指摘されます。

風営法が定める営業所内の技術上の基準

ガールズバー営業では風営法の深夜酒類提供飲食店営業の届け出を行う可能性がありますが、風営法では届出の有無にかかわらず、深夜営業の飲食店について技術上の基準を定めており、事業者はこの基準を維持して営業する義務がありますから、居ぬき物件の設備状況が技術上の基準を満たしているかどうかをチェックしておきましょう。
風俗営業の場合は、同様の技術上の基準があり、この基準に照らして問題がないことの確認を受けてから風俗営業が許可されます。
つまり、これらすべての基準を見てしているかどうかが重要ですので、慎重にチェックしてください。


(深夜における飲食店営業の営業所の技術上の基準)
風営法施行規則第九十九条

一 客室の床面積は、一室の床面積を九・五平方メートル以上とすること。ただし、客室の数が一室のみである場合は、この限りでない。
二 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
三 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備(第百二条に規定する営業に係る営業所にあつては、少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を含む。)を設けないこと。
四 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。
五 次条に定めるところにより計つた営業所内の照度が二十ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
六 第三十二条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第三十二条第二項において準用する法第十五条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。


もし将来、風俗営業1号社交飲食店営業に切り替える可能性があるのなら、風俗営業としての技術上の基準を満たしているかどうかも確認しておくとよいでしょう。


(構造及び設備の技術上の基準)

風営法第七条 法第四条第二項第一号の国家公安委員会規則で定める技術上の基準は、次の表の上欄に掲げる風俗営業の種別の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に定めるとおりとする。

一 客室の床面積は、和風の客室に係るものにあつては一室の床面積を九・五平方メートル以上とし、その他のものにあつては一室の床面積を十六・五平方メートル以上とすること。ただし、客室の数が一室のみである場合は、この限りでない。
二 客室の内部が当該営業所の外部から容易に見通すことができないものであること。
三 客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
四 善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
五 客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。
六 第三十条に定めるところにより計つた営業所内の照度が五ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。
七 第三十二条に定めるところにより計つた騒音又は振動の数値が法第十五条の規定に基づく条例で定める数値に満たないように維持されるため必要な構造又は設備を有すること。


構造設備において風営法上とくに注意するべきこと

照明設備と調光機能

まずは照明設備です。深夜飲食店の場合は20ルクス以上、風俗営業1号の場合は10ルクス以上の照度を維持できる照明設備であることが求められます。

照度を規定値以下に調整できるスライダックス等の機能が存在する場合も対策を検討しましょう。

ただし、風俗営業許可を取らない限りは警察がこれについて積極的にチェックしてくるケースは少ないです。逆に風俗営業の場合は重大なチェックポイントになります。

客室が複数存在する場合は要注意

風営法では客室の床面積規制があります。風俗営業の場合とそうでない場合とで規制内容が若干異なります。

客室が複数存在する場合は警察または専門家に契約前に相談することをおすすめします。

客室内の見通しを妨げるおそれがある設備

客室内で見お通しを妨げそうな設備、例えば、床からの高さが100以上であるカウンター、椅子、つい立て、仕切り等が警察から問題視されますが、具体的な解釈については地域によって若干の個性がありますので、ここでは微妙すぎてはっきりとしたことを説明しにくいです。ごめんなさい。

外部に通じる出入口の鍵が二か所あるなど

「客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口については、この限りでない。」

という規定があります。たとえば、入店用のドアが二重になっており、それぞれに鍵がある、という場合は基準違反となりますので、片方のカギを撤去する必要があります。

防犯上の問題があるので、私個人としては複雑な気持ちではあります。

飲食店営業許可の手続き

さて。経営名義が決まり、どのような営業方法でするかが決まり、物件も決まったとしましょう。次に、保健所で飲食店許可を取得する準備をしましょう。

「バー」として、店舗で飲食物(主に酒類)を提供する営業(いわゆる「飲食店営業」)を行おうとするときは、食品衛生法が定める飲食店営業の許可を受ける必要があるため、保健所等に飲食店営業許可申請を行います。

営業所所在地を管轄する保健所に事前に相談し、指導を受けてから許可申請を行うことをお勧めします。

飲食店営業許可申請の準備の最初に、食品衛生責任者の確保を考えてください。

飲食店ごとに、資格者から必ず一名を選任して営業許可を受けることになりますが、資格者の確保に時間がかかってしまうことがよくあります。

一定の講習を受けられれば誰でも資格を取得できますから、まだ資格者を確保できていないのであれば、早急に講習の受講の手配をするとよいです。

詳しくは各地の関係窓口に問い合わせてください。
飲食業に関わる方は、この講習を受けておくと生涯、日本全国で使えますから、チャンスがあるときに受講しておくことをおすすめします。

保健所での事前相談がおすすめ

経営名義営業形態店名物件食品衛生責任者が決まったら、店内設備の写真店内設備がわかる図面を持って保健所に相談にゆきましょう。

不動産屋がコピーをくれることもありますが、ちゃんとした図面がない場合は自分で作成するか、専門の人に頼むなどしましょう。衛生設備の種類と設置状況がわかればよいです。

保健所はたいてい優しく指導してくれますが、求められる設備基準は地域により(ときいは人によって)若干異なります。

要件が整ったら申請手数料を支払って申請します。その際にはなるべく許可申請書の写しを確保しましょう。

これを確保しておかないと、どんな内容で保健所で申請したのかがあとでわからなくなってしまうからです。

申請書を2枚用意して窓口で受領印をもらっておけばなにかと安心です。具体的な方法は保健所の窓口で相談しましょう。

保健所での許可申請は、平面図がしっかりしていて、衛生責任者の資格証明資料があり、住民票または登記事項証明書など必要なものがそろっていればあまり難しいことではありません。

保健所の窓口でアドバイスを受けながら申請書に記入し、受理直前にコピーを確保してコピーに受領印をもらえたらなおよいです。

保健所は店内設備を検査します

保健所で飲食店営業許可申請を受理されたら、検査日時について申請人と保健所とで協議して定めます。

いつ頃の時期までに衛生設備が完璧に整うかをあらかじめ決めておかないと、保健所としてはいつ店舗に訪問してよいかがわかりません。平日の午前9時から17時までの時間帯になるでしょう。

保健所も忙しいので、申請後30日後になったりする可能性もあります。設備がすでに整っているのであれば、検査日を早めにしてもらえるよう保健所と早めに協議することをお勧めします。

もし警察で届出や許可申請を行う予定であれば、その旨を申請時に保健所の担当者に伝えておくと、飲食店営業許可証を早めに交付してくれるよう頑張ってくれる場合があります。

検査当日は店内が衛生的に問題がない状態となるようきちんと清掃しておき、検査担当者が来る前に早めに準備を終えておきましょう。

予定時間を過ぎると彼らは帰ってしまい、再び検査の日時を決めたりしているうちに時間が経過してゆきます。

飲食店許可証の交付までには思いのほか時間がかかります

保健所の検査が無事にパスしたら、そのあと早ければ数日で許可がでますが、飲食店許可証が交付されるまでには、さらに時間がかかることが多いです。

検査後から交付までの段取りは保健所によっていろいろなので、あらかじめ聞いておくとよいでしょう。

飲食店許可証が交付されたら、そこに記載されている内容が間違っていないかを確認し、間違いがあれば急いで修正をお願いしてください。

飲食店許可証(または許可通知書ともいいます)は、地域によって掲示義務があったり、なかったりします。

とても重要な書類なので、無くさないように大切に保管してください。
飲食店営業の許可通知がでたら、これでもう飲食店営業を開始して大丈夫です。

風営法的にも、夜12時までに営業を終了するのでればバーとして営業できます。ただし、接待営業を行うには風俗営業の許可が必要であることをお忘れなく。

これから風俗営業を行いたいが、①風俗営業許可が出るまでは普通の飲食店として夜0時まで営業したい、又は風俗営業許可が出るまで深夜酒類提供飲食店として届出をして深夜に営業したい

こういうお話はたまにあるのですが、①はともかく、②についてはおすすめしません。

これらについてはいろいろな考え方があるのでブログでは語れません。

どうしても気になる方には電話相談(方法は末尾で記載)で応じてはおりますが、判断はご自分の責任で行ってください。

深夜酒類提供飲食店の営業開始届出

飲食店営業のうち、バー、酒場その他客に酒類を提供して営む営業で、営業の常態として、通常主食と認められる食事を提供して営むものを除いた営業を、「酒類提供飲食店営業」という。(風営法第2条第13項第4号より)

この営業を行いたいときは、その営業を開始する10日前までに都道府県公安委員会(店舗所在地を管轄する警察署の生活安全課)に営業開始の届け出を受理されなければなりません。

・設備とは ~ 屋台等で単に立食をさせる営業は含まれないが、屋台等でも、卓やいす等を設けて客に飲食をさせるものを除く。

・客に飲食させるとは ~ 単に調理をして飲食物を販売する仕出屋、弁当屋を含まない。

・酒類を提供して営むとは ~ 酒類(アルコール分1度以上)を客に提供して営むことをいい、提供する酒類の量の多寡を問わない。

・「営業の常態として」の解釈について

ア、営業時間中、客に常に主食を提供している店であることを要し、例えば1週間のうち平日のみ主食を提供する店、一日のうち昼間のみ主食を提供している店等は、これに当たらない。

イ、客が飲食している時間のうち大部分の時間は主食を提供していることを要し、例えば大半の時間は酒を飲ませているが、最後に茶漬けを出すような場合はこれにあたらない。

ウ、「通常主食と認められる食事」とは、社会通念上主食と認められる食事をいい、米飯類、パン類(菓子パン類を除く)、めん類、ピザパイ、お好み焼き等がこれにあたる。

深夜酒類提供飲食店営業開始届出の添付書類等

営業開始届出書等

法定の書式に必要事項を記載したものです。管轄の都道府県警察のホームページ等で書式データをダウンロードできる場合があります。

営業所の平面図

営業所の範囲と客室の範囲を色塗りで示し、営業所内の設備状況が風営法の基準を満たしたしていることを具体的に示された図面です。

営業所の求積図

営業所床面積と客室床面積の算定根拠となる各所の寸法が1センチ単位で示された図面です。保健所で使用したものでは通用しない可能性が高いです。

営業所の照明・音響設備図

営業所内の照明設備と音響設備が風営法の基準を満たしたしていることが具体的に示された図面です。

住民票の写し等

申請者が個人事業者の場合は申請者の住民票の写し(本籍地の記載があり(外国人の場合は国籍及び在留資格)個人番号の記載がない。)。

法人の場合

申請者が法人の場合はさらに定款、法人の登記事項証明書、役員全員の住民票の写し(本籍地の記載があり(外国人の場合は国籍及び在留資格)個人番号の記載がない。)、役員一覧表(氏名、住所、連絡先電話番号等が記載されたもの)

食品衛生法の許可証の写し

保健所から交付された飲食店営業許可証のコピーを一枚提出すればよいです。事業者の名義、店名、営業所所在地の情報が一致しているかどうかを確認してください。

営業所所在地を示す地図

警察職員が店舗に立ち入りする際に、店舗がどこにあるかがわかればよいです。

用途地域を示す資料

以上の書面が全体として矛盾がなく、つじつまが合っている必要があります。

適当に書類を集めて渡すだけでは面倒なことになる可能性が高まります。地域によって、又は状況によって、求められるものが若干異なることがあります。

届出にあたって行政庁に支払う手数料はありません。
届出に向かう前に、担当者に混雑状況等を電話で聞いておくことをおすすめします。

警察署では廊下で長時間待たされることがよくあります。入室のタイミングを見計らうのもけっこうドキドキして悩むことが多いです。

それでも失礼な態度はいけません。繁華街の警察署は特に忙しいのですが、忙しければ不機嫌な態度に見えることもよくありますが、昔に比べればずぶんやわらかくなりました。

届出が受理されたら

警察署で届出が受理されてから10日が経過し、その間に警察からなんら指導がなかったら、深夜酒類提供飲食店営業を開始して問題ありません。

届出を受理される際には「受理票」といった書面を渡されることがありますが、地域によっては何も渡されないこともあります。

風俗営業許可の場合は営業許可証が交付されますが、深夜酒類提供飲食店営業は届出であり許可ではないので、この点で扱いが異なります。

開業までにかかる時間

賃貸物件の場合は、どの時点で賃貸契約を結ぶかが難しいところです。
賃料が発生するので早すぎても損をしますしが、店内設備をいじるためには賃料の支払いを求められることが多いです。

賃貸契約は民間契約ですから、建物オーナーがOKならそれでよいということでもありますので、交渉次第でどうにかなる部分もあるかもしれまえん。

この辺りは法律とは別のことなので、ここではあまり触れられません。
行政手続きの段取りはおおむね次のとおりです。

保健所に事前相談し衛生設備を整える
 ↓
飲食店営業の許可申請
 ↓
保健所の検査
 ↓
許可通知
 ↓
飲食店営業許可証交付
 ↓
深夜酒類提供飲食店営業開始届出受理
 ↓
10日経過後営業開始

これら全体でおおよそひと月程度はかかるでしょうし、状況次第でもっとかかるかもしれません。

風俗営業許可を取得する場合は、さらに50日程度(場合によってはそれ以上)時間がかかります。

開業後の手続

変更の届出

次の事項について変更があったときは、営業所の所在地を管轄する公安委員会に変更の届け出を行う義務がある。

届出期限は変更の日から10日(法人の名称、住所又は代表者の氏名に係るものである場合にあっては20日)以内です。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 営業所の名称
三 営業所の構造及び設備の概要

廃止の届出

営業を廃止したときは、廃止の日から10日以内に、営業所の所在地を管轄する公安委員会に廃止の届け出を行う義務があります。

従業者名簿の備え付け義務があります

夜10時以降に営業する飲食店営業者は、店長(管理者)を含むすべての従業員の従業者名簿を作成しなければなりません。

名簿の記載事項は公的証明書(住民票記載事項証明書等)をもとに事実であることを確認し、その確認に用いた公的証明書の原本又はコピーを営業所ごとに備え付けて、警察職員が立ち入った際には速やかにそれら名簿及び確認資料を提示できるようにしなければなりません。

なお、平成26年10月17日をもって、従業者名簿における本籍の記載は都道府県名まででよいこととなりました(風俗営業第4号と第5号では本籍全てについて記載義務がない)。

以上は風営法上の義務についてでしたが、労働関係法令では、労働者を雇用したら法定帳簿を整え保存する義務があります。詳しくは以下の情報をご覧ください。

https://jsite.mhlw.go.jp/okinawa-roudoukyoku/library/okinawa-roudoukyoku/04rouki/houteichoubo.pdf

防火対象物使用開始届出

建物や建物の一部をこれから使用しようとする方(入居する方、テナントで営業する方)は、使用を始める7日前までに、その内容を消防署に届出しなければならないときがあります。

防火対象物の工事等計画の届出を行った場合についても防火対象物使用開始の届出が必要です。
届出先は防火対象物を管轄する消防署になります。

東京消防庁<安全・安心情報><事業所向けアドバイス><防火対象物の工事等計画の届出制度>

営業所内での禁煙・分煙

健康増進法により営業所内は禁煙としなければなりません。

2020年4月1日の施行までに既得権を取得した店舗はこの例外となりますが、既得権の適用を受けるのは保健所で適正な手続きを行って正式に認められた店舗に限られます。こういった店舗を譲り受けた事業者はもはや既得権を持てません。

2020年4月1日以降に飲食店許可を取得した店舗はすべて禁煙にしていなければなりません。

加熱式たばこの喫煙を可能とするための分煙はありえますが、合法的な分煙は飲食店においてはかなりの負担となるため、ガールズバーやクラブではかなり難しいでしょう。


電話有料相談もあります

以上、ながながと説明してましたが、この解説だけでは対応できないケースもあるでしょうし、あまり細かすぎて、又は内容が微妙であるため解説できない部分もあります。

お困りの際には、以下の<ココナラ>の案内ページから電話有料相談がご利用になれます。
さらに詳しく、またはほかのテーマでも、風営法に関連してお聞きになりたい方のための電話相談サービスです。
相談時間をあらかじめ取り決めて実施できます。
1分ごとに課金されます。

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