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クラブ・バー・遊技場・風俗営業の構造設備の変更承認申請手続きと風営法違反処分リスク


風俗営業者とは

公安委員会から風俗営業の許可を受けている営業所を経営している事業者のことです。

許可を受けている営業所の構造設備を変更するときは、公安委員会(警察)に対し、管轄の警察署を経由して、風営法によって定められた手続きをしなければならない場合があります。

風俗営業所の構造設備の変更に関連する手続き


風俗営業所の構造設備の変更に関しては変更届出変更承認申請の2種類があります。

つまり、変更の内容により、

①手続き不要 
②変更届出が必要 
③変更承認申請が必要 

の3種類がありえます。

変更届と義務違反リスク

変更したあとで公安委員会に届け出する手続きです。
届け出期限を過ぎてしまうと違反処分の対象になるおそれがあります。

年末には警察の立ち入りが増えますが、設備変更の届け出義務違反が発覚して指示処分を受けるケースが増えます。

「そんなのは聞いたことがない」という人は多いですが、それは警察職員が図面を持参して立ち入りすることがあまり多くないからです。
しかし、図面持参の立ち入りはたまに起きています。

  • 麻雀店で麻雀卓の台数が公安データと一致しない。

  • ゲームセンターで遊技機の台数が一致しない。

  • パチンコ店で喫煙ボックスの設置が届出されていない。

といった理由で指示処分に至るケースがあります。

変更承認申請と違反リスク

変更を開始する前に公安委員会に承認申請を行う手続きです。
着工前に申請を受理されておかないと、無承認変更という犯罪として処罰される可能性があります。

パチンコ店では頻繁に行われる手続ですが、そのほかの業種では大規模な構造変更をあまり行わないため、「そんな話は聞いたことがない」とよく言われます。しかし、

  • カウンターの位置を変更する

  • 個室を増設する

  • 新たに壁を設置する

  • 客室内のつい立て(高さ100以上)を設置する

公安委員会から承認を受けないでこういった変更を行ったために、営業停止や逮捕罰金などの重い処罰を受けるケースがあります。

パチンコ店よりも、バーやクラブなどの1号社交飲食店の方が危険です。
なぜなら、1号営業の事業者は<狭い客室>や<見通しの悪い空間>を作り出したいという欲求を持たれることが多いのですが、警察がそれを気にしているので発覚すると厳しく処分する傾向があるのです。

通報や立ち入りをきっかけとして摘発にいたるケースがあります。発生件数が少なめなのは、単純に「構造変更をする店が少ない」からです。刺激的なサービスを行う店ではとりわけ危険です。

変更届出を要する「軽微な変更」

変更届出が必要な場合(軽微な変更)

次のような構造設備の変更の場合には変更後に公安委員会に変更届出を行う必要があります。

イ 営業所の小規模の修繕又は模様替え(変更後1月以内に届出)

ロ 食器棚その他の家具(作り付けのものを除く)、飲食物の自動販売機その他これに類する設備の設置又は入れ替え(変更後1月以内に届出)

ハ 照明設備、音響設備又は防音設備の変更(変更後10日以内に届出)

変更届出における必要書類

変更届出書の書式は警察本部ホームページからダウンロードできます。そのほか、変更の概要がわかる資料や図面等を添付します。

一般的には、変更の前後の変化を示すものとして変更前と変更後の平面図を添付します。そのほか変更の状況を説明するのにふさわしい写真やパンフレットなどを添付することもあります。

変更の状況がわかればよいということですが、実務上のパターンと、地域ごとにちょっとしたクセがあるので、慣れない人には少し難しいかもしれません。

構造変更承認申請が必要な場合

風俗営業者が営業所の構造設備について次のような増改築をしようとするときは、あらかじめ公安委員会から承認を受けなければなりません。

承認を受けずに構造設備を変更してしまうと<無承認変更>という犯罪行為になってしまいます。

書式は警察本部ホームページからダウンロードできます。そのほか、変更の概要がわかる資料や図面等を添付します。

1. 建築基準法第二条第十四号 に規定する大規模の修繕又は同条第十五号 に規定する大規模の模様替に該当する変更
建築基準法第2条より一部抜粋

十四  大規模の修繕 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。

十五  大規模の模様替 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。

2. 客室の位置、数又は床面積の変更
客室の床面積が増える場合だけでなく減少する場合も承認が必要です。

3. 壁、ふすま、その他営業所の内部を仕切るための設備の変更
客室以外の場所での変更も含まれます。

4. 営業の方法の変更に係る構造又は設備の変更
まあじゃん屋をぱちんこ屋にする場合や和風料理店を洋風カフェーに変更する場合などです。
許可証に記載されている営業の種類が変わる場合もこれにあたります。

※客室内に食器棚その他の家具を設置し、又は入れ替える場合は「軽微な変更」にあたるので変更承認ではなく変更届出をするものとされていますが、警察庁解釈運用基準において、「作り付け」の場合には「軽微な変更」にあたらないとされており、これの反対解釈として「作り付け」の家具等の設置や入れ替えについては変更承認となるという解釈が生まれたようです。
このような解釈が必ずしも妥当とは限りませんが、ご注意いただく必要があります。


構造変更承認申請の手続の流れ

基本的な流れは次のとおりです。

構造変更申請→工事開始→警察検査→承認通知→変更箇所に使用開始可能→承認通知書交付

図面の作成がたいへん

客室床面積の変更がからむ変更承認申請の場合は、客室面積を算出するために必要となる数値の根拠となる図面(求積図)を提出します。

一般的に求積図では、営業所の範囲を青線で、客室の範囲を赤線で示すなどの実務上のルールに沿ったものが求められます。

承認申請時には、

<これからこういう変更を行うので客室床面積がこうなります>

ということがわかる図面等を提出し、工事完了後に実測して正確な図面等を用意し、検査のとき、またはその前に差し替えるという方法が多いと思われます。

求積図には1センチ単位で寸法が記載されており、警察検査ではこの数値に間違いがないことを確認するため、店舗内で測量が行われます。

この求積図の作成や修正が非常に難易度が高く、慣れていない人にはかなり難しいです。

注意点

1.申請時には9900円の手数料がかかります。
2.警察検査から承認までの期間はおおむね10日前後になる場合が多いです。
3.構造設備の変更承認申請に際しては、営業所周辺の略図を添付しますので、これによって保全対象施設が発見されることがあります。
4.営業所周辺に保全対象施設が新設されていることが判明した場合には、承認後に公安委員会から許可条件が付与されることがあります。
5.構造変更の承認通知があるまでは原則として変更部分の使用ができないと考えられます。
6.構造変更承認申請を行う場合には、なるべく事前に担当所轄警察署に相談しておくとよいでしょう。
7.パチンコ店が喫煙用ボックスを設置する場合は変更届出でよいという解釈がありましたが、それでも警察に事前相談はしましょう。
8.ほかにもいろいろありますので、この手続きは専門の行政書士に任せるのがお勧めです。警察に質問して教えてもらうのはリスクもあるのでおすすめしません。だって、違反か所を発見されたら後戻りできませんから。

余談

パチンコ店の手続きを見ていると、「こんなもん届け出いるか?」と思う内容が多いですが、それがなんとなく慣習化して、保証書やらなにやらたくさん添付して届け出されています。警察の倉庫は意味のない書類の山でいっぱいです。

無駄だから早々に改善した方がいいと思っていますが、行政手続きが電子化されたら抜本的に変わると思います。
これについては別のところで語ろうと思います。

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