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【読書メモ#27】「純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落」

「純粋機械化経済 頭脳資本主義と日本の没落」

AIはいかなる技術で、どこまで人間の知的振る舞いを真似できるのか。その技術的な解説を冒頭でしつつ、「機械」がどのように人類の労働・社会構造を変えるのか、その経済爆発を生む端緒は何か、人が豊かな社会を生きるために今後国家が果たすべき役割は何かを、社会学、哲学、文明歴史学の多面的な観点から分析。

私が感じた頭書のクライマックスは、人類の歴史のなかでも圧倒的なイノベーションが社会の分岐を起こした時代を振り返る「新石器時代の大分岐」、「工業化時代の大分岐」の章である。

ひとつめのイノベーション、まずは狩猟から定住農耕生活(農耕革命)を生み社会の大分岐発生させた。農耕生活・社会は戦争・飢饉・疫病・長時間労働・椎間板ヘルニアを人類にもたらし繁栄と軍拡の繰り返し・競合を発生させたとしている。

また次のイノベーションは、19世紀の工業革命による大分岐。農耕革命が土地と労働が生産のインプットであったところから「機械」と「労働」がインプットに変革した。土地と人口の多さで繁栄した中国・インド・モンゴルを機械化のイノベーションを起こしたイギリス中心にした欧州諸国が世界を包摂・席巻した。

我々は次の大分岐迎えようとしている。

AI(純粋機械化)経済による大分岐である。
今後、AI化を進めた経済社会は爆発的な経済成長を可能にし、機械化経済を維持する国々との間に大きな分岐が起こるとする(それを著者は2030年と予測し、中国がテイクオフの起点になるとしている)。そのなかで富の再配分と貨幣量のコントロールという重要な役割は「国家」が果たさねばならず、それができたときにAI時代の自由で平等な社会が構築できるとしている。

ポスト新型コロナ社会・ウィルス共生社会を迎えようとする姿がありありと見える今、社会構造はこの技術に裏付けされた変革に加速度的に突き進んでいくだろう。2030年は遠い先ではなくもうすぐでありより近づいていると考えるのが正解だろう。

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