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ふたつ年上のあなた

ねえあなたは今どこにいるの。
私には彼氏ができたの。同じ歳の彼。
かっこいい顔立ちをしているのに女遊びなんてしない。タバコも吸わない。語学に励んでいるの。

それに比べてあなたはさ、いつものようにパチンコに行って、古着屋とタバコが吸える喫茶店に行って、麻雀してラーメン食べてバーに行くんでしょ。

今の彼氏は私のことが好きみたい。私もそんな彼が大好き。彼はとても真面目で、平和で、一緒にいて幸せだだと思わせてくれるのよ。

かっこつけのあなたは真面目なやつには飽きると言っていたね。
私は今の彼と幸せを感じるときなぜかその言葉が再生されるの。あの渋くて古い中華料理屋で言っていたその言葉が。

今の彼氏はコーヒーが飲めないみたいなの。私が淹れても飲んでくれないの。喫茶店に行くとよくロイヤルミルクティーを飲んでるの。

あなたと一緒によくあの喫茶店に行ったよね。そこで飲むコーヒーしか奢らせてくれなかったよね。その時間がたまらなく大好きだったよ。私が淹れたコーヒーの方が好きだなんて大嘘ついてさ。そんな言葉で私は満たされてたんだね。

そんな私も今日はコーヒーの気分じゃないの。あの喫茶店に行くとあなたとのことを思い出しそうで。意地になってロイヤルミルクティーを頼んだの。ロイヤルミルクティーって作るの大変なんだね。

もうすぐ私はハタチになるよ。18歳のときに会ったハタチのあなたと同じ歳になるよ。出会ったときは大人だなと思っていたけど、別にそうでもなかったんだね。18歳の私を偽りの愛で満たしてくれたハタチのあなたを私は忘れることができるかな。

私はあなたみたいなハタチにはならない。21歳になっても、あなたみたいな21歳にはならない。それ以上のあなたは知らないんだけどね。あなたよりもっともっとかっこいい人間になってやるんだから。

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