さあ困った!何をしていいのかわからない!という子どもたち。
学習支援で得た知見を基に色々書き始めて27回目です。
今日は趣向を変えて「子どもと遊び」の話です。
今年の春から 室内型プレーパークを目指す下町の遊び場支援活動に加わっています。
震災にも戦災にも焼け残り住工混在した低層高密度地域は 約50年前に地域調査に入って以来で 馴染みのある場所でした。
当時はあまりにも高密度で街路が狭く 消防車の放水可能限界を超えた場所がある 東京の中でも危険な土地でしたが 今回再訪してビックリしたのは 予想以上に住み替えが進み 街の方々に小さな空地が生まれ遊び場として活用されていたり 最近の建築基準法による耐火性のある木造二階建て住宅が増えていたことです。
一方で商店街や町内会・PTAなどを中心にした地域コミュニティが しっかり残っていて そういう意味での地域の安全が担保されています。
こういう街に育った子どもたちですが ほぼ他の地域同様 遊びはゲーム 学校ではサッカー 塾に習い事という日常を過ごしています。この地域の児童数は急激に減少していて 一番近い小学校は一学年一クラスのため校長先生自らが生徒の全容を把握しています。
この街の片隅で 大学研究室の主催で「遊び場」を週二回運営しており 過去に子どもとのキャンプ活動をしていた経験から 「遊び」の誘発を願うような立場で参加しています。
さて ある日の活動で 友達に連れられ参加した小学校高学年生。
まず室内に入り しばし呆然の様子。
どうしたもんだろうと考え 取りあえず 机に上にあった段ボールに荷造り用紙紐を巻き始めました。なんだか鉈のように見えてきたようで 刃に当たる部分を他の厚紙で補強。たぶん自分でも何だか訳の分からない様子。
近くにいた学生ボランティアが「あ”っ!ゲームに出てくる武器みたい。かっこいいね!」
と声掛けした事がきっかけで なんとなくそれっぽい形にしていました。
同じように 今日初めて参加した小学校中学年生。
「何か仕事をすると ここで使えるお金がもらえる」と聞いて「一番儲かるのは何?」と質問の嵐。「お金」に強く反応してしまい この場で何ができるかにはあまり関心を示さなくなってしまった様子。
両方の子どもに共通しているのは この場がどういうものであるかを理解できないことと 自発的な遊びが見出せないという点です。
近年 ゲーム機の台頭で一人遊びが増え 受動的になってきたというのはどうやら現実のようで 遊びを誘発するような材料を見ても それをどうしたらいいのかを 自分で見つけられなくなってきています。言い換えれば遊びを通じて創造力が育まれない状況が垣間見られます。
子どもにとって「勉強」の反対側にある「遊び」は かつて「自由に何でも出来る」場面であったのが次第に姿を変えつつあるのが現実のようです。
この場で どうしたらいいのかの解答は見出せませんが 少なくとも 大人の声掛けが 一種の引き金にはなるようです。
保護者の皆さんへ
どうか子どもたちと作る楽しさを共有し 考える面白さや答えを見つける楽しさを体験させてください。それは 学習意欲を誘発する遠因になってゆくはずです。
そうして 子どもたちが自発的に学習意欲を持てるよう ご協力ください。
08 SEP.2021.ARAI