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SPURS judge replay(仮)#4

#4【紙一重のチャレンジは無難に裁くべき?】

Match week7 TOT2-1BHA

Match officials 

Referee: Graham Scott. Assistants: Simon Long, Tim Wood. Fourth official: Simon Hooper. VAR: Jonathan Moss. Assistant VAR: Nick Hopton.

皆さんこんにちは。

前回SPURS judge replay(仮)#3にて今回はハマーズ戦の振り返りをと告知していましたがハマーズ戦は特段触れることが無かったため予定を変更してブライトン戦の振り返りを行うことにしました。記事の作成が遅れて申し訳ありません。今回もお付き合いお願い致します。

さて今回ですが

①10:20〜 スパーズPK獲得シーン

②55:15〜ホイビュアへのチャレンジ

について自らの考えを述べていきます。

①10:20〜スパーズPKについて

ボールに競りにいったケインがララーナと接触し、主審のグラハムスコットはスパーズボールのフリーキックの判定を行いました。その後VARからのオンリーレビューによりララーナの接触はPA内だった(画像参照)との事でPKの判定になりました。

画像1

このシーンで考えるべきは2点あるかと思います。

(1)ファールはケインかララーナか?

(2)VARの運用は正しかったのか?

私の見解としては

(1)ケインのファールとすべき

(2)ララーナのファールであれば運用は正しかった

ということになります。

(1)ケインのファールと考えるワケ

このシーンではボールが空中に上がって接触するに至るまでケインはボールの落下点に対し斜めにボールを見ない動きをしています。一方ララーナはボールの落下点に対し直線的に動きをとっています。競り合いの際にまず重要なことは

どちらがより落下点に入れるかが大事になってきます。

そのことを踏まえるとケインは俗に言う"飛んでいない"状態であり空中にいる状態でボールにチャレンジしようとしているララーナの足をかけたという考えになります。

ではなぜVARはこの判定を変えなかったのか?そして運用は正しかったと考えられるのが(2)の部分です。

(2)一連の流れでのVARの運用

まずVARが介入できる条件を競技規則を用いてみましょう。

1. ビデオアシスタントレフェリー(VAR)は試合映像に自主的にアクセスできる審判 員であり、以下に関する「はっきりとした、明白な間違い」または「見逃された重大 な事象」の場合にのみ主審を援助する:


a. 得点か得点でないか
b. ペナルティーキックかペナルティーキックでないか
c. 退場(2つ目の警告(イエローカード)によるものではない)
d. 人間違い(主審が、反則を行ったチームの別の競技者に対して警告したり退場を
命じた)

今回のシーンはbの部分が対象となりました。

bの部分をさらに細かく競技規則を見てみると

b. ペナルティーキックかペナルティーキックでないか
◦ 攻撃の組み立てからペナルティーキックが与えられるまでに攻撃側チーム が犯した反則(ハンドの反則、ファウル、オフサイドなど)
◦ その事象が起こる前にボールがアウトオブプレーになったか。
◦ 反則が起こった位置(ペナルティーエリアの中か外か)
◦ 誤ってペナルティーキックを与えた。
◦ ペナルティーキックの対象となる反則があったにもかかわらず罰しない。


文章にすると中々難しいので簡潔にまとめるとスコット主審のフリーキックとしてのファール判定はVARの介入要件ではない。しかしながらララーナのファールとしたならば反則が起きた場所はPA内だったため"明白な間違い"として直す必要がありPKを進言した(このシーンはPA内か外の判断のためOFRはいりません)

ということになります。

となると、、、

もし10:20〜でスコット主審がフリーキックではなくPKを取っていた場合はPKが正しいかどうかでVARは介入できるためOFRにより行われケインのファールとの判定になっていた可能性は十分考えれるんです。

そう考えるとスパーズファンとしては最初にフリーキック判定をしてもらったことはラッキーとも言えるでしょう。

(1)については主審の裁量が求められる判定のためララーナのファールと考える哲学も私は理解できますし簡単な判定ではなかったと思います。

そんなスコット主審には後半にさらに悩ましい判定が待っていました。

②55:15〜ホイビュアへのチャレンジ


ブライトンの同点ゴールの10秒前、ブライトンのマーチがスライディングでホイビュアへチャレンジ。多くの人がファールだと確信したと思います。しかしノーファールで結果ブライトンの同点ゴールに繋がりOFRが行われるもゴールが認められました。結果的にマーチのチャレンジは正当だったとみなされました。

リアルタイムで見ていた私はノーファールのジャッジに『ナイスジャッジ』と声が出たのを覚えています。しかしリプレイを見ていると段々悩みました。結局このシーンのリプレイは100回以上見直しました。

画像2


このシーンはついては今日になってもまだスッキリしない部分はあります。しかし、私も審判をする身ですので判定をくだすなら"マーチのファール"とすべきと考えます。

たしかに若干でも最初のコンタクトでマーチの左足はボールに触れています。しかしその後のホイビュアとの接触の強さを考えるとボールに行ったことだけを尊重するには至らないプレーでありホイビュアへの接触の配慮を持ってチャレンジしなければいけなかったのではないでしょうか。

プレミアリーグのタフなプレーや判定の基準はダイナミックな試合を演出する一方で一歩間違えれば怪我を誘発してしまうこともあります。少しでもボールに触れていればというスコット主審の哲学は支持したいと思います。実際にOFRを行ってもなお、ボールにチャレンジ出来ていたという部分を尊重しノーファールの判定をしたことは理解出来ます。ただし、ここまで接触が強くあったシーンやチャレンジを考えると選手は守られなければいけないという精神にも結びつきます。

ナイスジャッジもミスジャッジも紙一重。

でもこの紙一重は"無難"にファールを取ることでゲームの安全を守りコントロールに繋がるのではないかなと思います。

このようなシーンがあるとやられた側は同じようにチャレンジして試合の温度が上がることがあります。しかしスパーズの選手はそのようなこともせずひたむきにゴールを狙い結果的にベイルの美しい決勝点が生まれました。

あれがファールで無いならこっちもやってやろうとならなかったのは選手の自制心のおかげであるし、もしかしたらテレビで映っていないところでのスコット主審のコミュニケーションや哲学が選手達に受け入れられていたからかもしれません。

私個人として試合が壊れなかったことは改めて選手と審判の協力とリスペクトがあってこそ成り立つのだなと実感し、少し嬉しい気持ちなりました(もちろんベイルのゴールで勝ったことも気分的に大きく加味されてます笑)

最後に

今回も長い文章を読んで頂きありがとうございました。①と②のシーンは前回取り上げた主審の裁量が求められたシーンともなりました。また、判定の一連の流れを断面的に考えるのか流れ全てを考えるのかといった競技規則の中で様々な哲学が必要なことも少し理解して頂けたのではないかと思います。

次回SPURS judge replay(仮)#5は

何かあればアウェイのバギーズ戦、無ければナショナルウィーク明けのシティ戦を取り上げようと思います。

過密日程の中でもタフなプレーでファンの心を震わせてくれるジョゼスパーズのさらなる飛躍を願って応援しましょう!

今回もありがとうございました。

COYS !!










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