見出し画像

SPURS judge replay(仮)#3

#3 【勝敗を分けたカギは主審の"裁量"?】

Match week4 MUN1-6TOT

Referee: Anthony Taylor . Assistants: Gary Beswick, Adam Nunn. Fourth official: Craig Pawson. VAR: Stuart Attwell. Assistant VAR: Stephen Child.

スパーズファンにとっては願ってもないOTでの快勝。ナショナルウィーク前に素晴らしい日曜の夜となりましたね。

そんなマンチェスターでのビッグマッチ。勝敗に大きく影響を与えたのは28分のマルシャルの退場では無かったのでしょうか?

今回のSPURS judge replay(仮)#3は

①28分マルシャル退場

②84分ショーのイエローは正しい?

以上2点を中心に競技規則における主審の"裁量"をテーマに取り上げます。今回もお付き合いよろしくお願い致します。

①28分マルシャル退場について

 皆さん何度もこのシーンのリプレイが流れていたのでご覧になったかと思いますが、ラメラとマルシャルの小競り合いによりマルシャルは退場、ラメラには警告が与えられました。

まずは皆さん率直にどう思いましたか?

A:両者退場 B:両者警告 C:ラメラ警告、マルシャル退場 D:両者ノーカード

恐らく1番多いのはBでは無いかと思います。

私は最初Bと思いましたがリプレイを見てCだと思いました。ただこのシーンは確実にCとも言えず、BでもAでもDでも間違いでは無いとも捉えられます。

ではここで競技規則の第12条の退場とされる行為の中から抜粋します。

乱暴な行為
乱暴な行為とは、身体的接触のあるなしにかかわらず、競技者がボールに挑んでいない ときに相手競技者に対して、あるいは、味方競技者、チーム役員、審判員、観客またはそ の他の者に対して過剰な力を用いたり粗暴な行為を行う、または、行おうとすることで ある。
加えて、競技者がボールに挑んでいないとき、意図的に相手競技者やその他の者に対して頭や顔を手や腕で打つ場合、その力が微小なものでない限り、乱暴な行為を犯したことになる。

今回マルシャルに該当したのは"意図的に相手競技者やその他の者に対して頭や顔を手や腕で打つ場合、その力が微小なものでない限り、乱暴な行為を犯したことになる"の部分です。

簡潔に言えばラメラは直接顔や頭を打った訳でなく、マルシャルは直接顔の下を叩いてしまった。これが今回の判定となった理由と考えます。

マルシャルが手を振ったあとラメラは大袈裟に倒れたように見えます。俗に言うマリーシアと呼ばれるものでしょうか。しかしこのリアクションは判定であまり参考とはなりません。あくまでも判断はどこを叩いたのかという事実(ファクト)が重要となります。ちなみに、中継ではこのシーンでVARからのOFR(オンフィールドレビュー)の提案も無かったためVARでのチェックはしてるの?と思った方も居るとは思います。しかし中継の28:24〜あたりからテイラー主審がインカムで確認していることが分かります。恐らくですがVARと確認をし間違った判定では無いためOFRは必要ないとの見解を受けたと考えます。

ここまで解説や考察をしてもまだCになったことに疑問があったり腑に落ちない方も居るはずです。競技規則では間違いが無いけれどベストな判定でもベターにも感じない。そんな感覚ありませんか?その感覚はフットボールを観戦したり審判をする上でもとても重要な要素になります。

テイラー主審じゃなくてオリヴァー主審なら違ったんじゃ無いか?と。

そもそもフットボールの判定やルールってグレーゾーンが多すぎません?私は常にそう思ってます。

その感覚を持った状態で主審に1番求められることは主審の"裁量"なのです。

今回のマルシャル退場劇には主審の裁量がどうだったのかを考えるべきと私は思います。


そこで今回のテーマ

主審の裁量について


サッカーの競技規則第5条主審の項目には

主審の決定 

決定は、主審が競技規則および「サッカー競技の精神」に従ってその能力の最大を尽くし て下し、適切な措置をとるために競技規則の枠組の範囲で与えられた裁量権を有する主審の見解に基づくものである。

と記されてます。

さらに"裁量"という言葉を辞書で引くと

自分の意見でとりさばき、処置すること。

とあります。

すなわち競技規則の中で間違いが無い場合、主審の裁量で判定をすることが求められます。

主審の裁量という言葉を改めて振り返った今、あなたが主審だったらラメラとマルシャルの小競り合いはどう判定しますか?ぜひ考えてみてください。

恐らく今あなたがABCDのどれを選んでも間違いでは無いしそれぞれ選んだ理由は競技規則を見て当てはめれるのではないでしょうか??

ここまでマルシャル退場劇における見解と主審の裁量について考えましたが一旦②へ進みます。


②84分ショーのイエローは正しい?


皆さんどう思いました?

まずショーのプレイは危なかったですね。ルーカスが怪我をしなくて本当に良かった。ファールの瞬間敵将のスールシャールもタッチライン際で頭を抱えてました。ピッチレベルではゾッとするような空気感になったことがテレビ越しにも伝わってきました。

そんな危険なタックルもちろん退場になりましたよね、、、?

ところがテイラー主審が出したカードはイエローカード。

退場だと思った方が大多数だったのではないでしょうか。

さて何故イエローだった考察してみましょう。

まずテイラーはファールの強度や危険度を見たとうよりカウンターのチャンスを潰す戦術的ファールと判断しSPAでの警告を出しました。

※SPAとはStopping a Promising Attackの略で大きなチャンスを潰す行為のこと

SPAの判断であれば退場という考えにはなりません。しかし危険なプレイという判断であれば"著しく不正なプレー"という理由で退場となることがあります。

著しく不正なプレーとはどういうことかこちらも競技規則第12条から抜粋します。

著しく不正なプレー
相手競技者の安全を脅かすタックルまたは挑むこと、また過剰な力や粗暴な行為を加え た場合、著しく不正なプレーを犯したことで罰せられなければならない。
いかなる競技者もボールに挑むときに、過剰な力や相手競技者の安全を脅かす方法で、 相手競技者に対し片足もしくは両足を使って前、横、あるいは後ろから突進した場合、著しく不正なプレーを犯したことになる。


83:11〜に起きたこのファールをもう一度見て頂きたい。

明らかなことは

・ショーは全くボールに触れられておらず、ファールをする意図しかなかった。

と言うことです。

もし退場とする場合主審が基本的に見るポイントは

・タックルのスピードと強度

がより重要になります。

実際にルーカスに対しショーのタックルのスピードは非常に速かったですね。では強度は?

ショーのタックルの際のスパイクのポイントは向いておらず速いスピードで足を払いに行ったというように見えます。

強度の部分や直接的にルーカスを傷つけに行くような判断にはならなかったためテイラー主審はチャンスを潰すSPAと判断し警告としたのではないでしょうか。

私はあのシーンを見た時

ツイッターで「オレンジカードだな」と呟きました。意味合いとしてはイエロー以上だけど、レッドには理由が少し足りないと感じたからです。

※少しでもスパイクのポイントが上がってれば問答無用で退場だったと思います。

で す が

敵将のスールシャールですら頭を抱えるほど危ないと感じたタックル一歩間違えればルーカスは大怪我でした。

SPAと判断しイエローを出したテイラー主審に対しVARもOFRの勧めは行いませんでした。明らかに間違っていないとVARも感じたからです。しかしながら映像を見たときにいくら足を払い、転ばせにいったとしてもスピードは十分で斜め後ろからチャレンジしていたためレッドカードも当然考えられます。恐らくですがあのシーンでレッドカードが出ていても明らか間違いではないと判断されOFRは行われなかったと思います。

となると、、、今回のショーの判定も競技規則に当てはめればSPAで警告でも著しく不正なプレーで退場でも間違いではないと言うことになります。

やはりこのケースでも尊重されたのは

"主審の裁量"でした。


①も②も誤審でレフェリーが下手であったと言うより、裁量内における主審の判定が競技者や視聴者にあまり受け入れられなかったと表現することが正しいと私は感じます。

サッカーの主審や審判団に求められることは競技規則を正しく施行することですが、グレーゾーンの裁量内も求められます。裁量内を上手く収めるためには、ピッチ上の空気感を感じることが非常に重要になります。しかしその空気感を感じ、裁量内で判定をしてもピッチにいる22人の競技者や両ベンチはたまた試合を観戦してるファンから受け入れられない状況に陥ることはあります。

今回のテイラー主審に対しては間違ってるとは思わないし①と②も個人的には受け入れられる判定ではあったとは思います。ですがもしかしたら裁量内で違った判定を行えばベターなゲームコントロールが出来た可能性も大きくあったという印象も受けました。

今回の判定批評ではジャッジに対して白黒をつけていないため読んで頂いた皆さんはスッキリとしなかった部分も多々あったと思います。しかし今回はこういったグレーゾーンにおける主審の裁量という考えを知ってもらう良い機会だと思いこのような提案型の記事にしてみました。


改めてですが

あなたが主審ならどう考えますか?


この感覚でもう一度①と②シーンを見て頂きたいと思います。

これで皆さんもプレミアのビッグマッチを裁ける名レフェリーですね!笑

補足ですがこの日のテイラー主審は素晴らしいシーンもたくさんありました。その中でもユナイテッドとスパーズのPKのシーンは判定もポジショニングも完璧で非常に説得力のあるものでした。

最後に


今回もご覧頂き本当にありがとうございました。

次回のSPURS judge replay(仮)#4は

ナショナルウィーク明け再来週開催のスパーズ×ハマーズのロンドンダービーより判定の振り返りを行いたいと思います。

新戦力も躍動しこれぞジョゼ(実は私は15年来のジョゼ信者なのですw)のチームという感じになってきた我らがスパーズ。次節も熱い試合で3ポイントを掴んで欲しいものです!

皆さん次節も最高の応援をしましょう!

come on you spurs !!!










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?