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春眠不覺曉

雨水|草木萠動
令和6年3月4日

天気のいい午後、電車を待つホームの上で

「なんだか今日は眠いなあ」

「春眠暁を覚えず、だね」

そんな何気ない会話をしてから、「春眠暁を覚えず...」の続きが気になっていた。
春暁という漢詩の冒頭であることは知っていたが、どんな詩だったろうか。

高校の授業で学んだ気もするが。

今回のレターの題材をどうしようか考えていてふと思い出したので、調べてみた。
孟浩然という詩人が書いたらしい。

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春眠不覺曉 處處聞啼鳥
しゅんみん あかつきをおぼえず しょしょ ていちょうをきく

夜來風雨聲 花落知多少
やらい ふううのこえ はなおつること しるたしょうぞ

現代日本語訳:
春の眠りは心地よく、夜が明けるのも気づかぬほど。ふと目覚めると、あちらこちらから小鳥のさえずりが聞こえてくる。そういえば、ゆうべは雨風の音が激しかった。今朝の庭は、花がどれほど散ったことだろう。(訳:石川忠久)

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起き抜けの体を春の陽気がぬるく優しく包むような心地が感じられる詩。しかし落ちた花の描写で締めくくられることに、少しばかり愁いを感じてしまった。

調べてみると、春の心地よい陽気を詠った詩であるという解釈と、科挙に失敗し役人になれず、人生の大半を隠居して過ごした作者の嘆きや悲しさを詠った詩であるという解釈もあるらしい。

おそらく、どちらだけということもないのだろう。清濁併せ持った味わい深い詩に感じた。
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漢詩と言えば、最近よく読んでいる「深夜特急」の主人公は長い旅の供に、小説でも新書でもなく漢詩集を選んでいた。

主人公が深夜を行く列車の中で漢詩を読んでいると、車窓から見える世界が偶然にも漢詩の世界そのままであったというシーンがある。特に気に入っていて、その一節を読んでから漢詩に興味が湧いていた。


国破れて山河在り…
少年老い易く学成り難し…
李白、杜甫、孟浩然…
五言絶句、七言律詩…

ばらばらのピースになって脳内に散らばっている漢文にまつわる知識・記憶を、一度整理してつなぎ合わせたくなってきた。

漢詩を味わう。やりたいことリストに加えておこう。

-S.O.

草木萠動

ソウモクメバエイズル
雨水・末候

李姉妹

高校生の頃課外授業で中国語を学んでいた私。
今でも時々中国語や中国文化にまつわる好奇心がうずくときがある。
何年前か忘れてしまったが、そんな時に見つけたYoutubeチャンネル。

漢詩の朗読、とても綺麗なのでぜひ聞いてみてください。

参考文献

おはなしのくにクラシック 漢詩「春暁」(URL

カバー写真:
2018年3月31日 新生活への不安に押しつぶされそうで、たまらず新居を飛び出した日。


コヨムは、暦で読むニュースレターです。
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春眠不覺曉
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