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ボールインゴールインヘルシンキ

ボーリンゴー!(Ball in Goal!) コヨです。

この記事は ボドゲ紹介 Advent Calendar 2023 の21日目の記事です。ぐらちゃん、毎年素敵な企画をありがとうね。

昨日はミロ牛乳さんのアンダーウォーターシティーズに関する記事。ボードゲームの旬って短すぎるんよな~


この記事ではKLASKの競技としての面について話をします。KLASKがどんなゲームかご存じでない方は是非こちらをご覧ください。
KLASK! Slap! ピシャリ!|コヨ (note.com)

早速ですが、少し過去の話をします。

私は2019年の9月にこのゲームと出会いました。
なにげなくX(当時のTwitter)のタイムラインを眺めていると日本大会の決勝戦の模様が流れてきて、面白そうだったので遊んでみたいとつぶやいたことがきっかけでした。

一言つぶやいただけで謎のyさんに謎のLINEグループに招待され、そこからはあれよあれよという間にKLASK沼に引きずり込まれました。

初めてKLASK練習会(合宿)に参加した際の成績。それはもうボッコボコにされました。でもね、100回負けようが勝利の味を1回覚えてしまうともうね、抜け出せないんです。

当時は第1回日本大会が開催されたことや、ビスケットの形状が変更されて飛ばしやすくなったこと、プレイヤーにより様々なプレイスタイルが確立されていったこと、などからもまさに競技KLASKの黎明期と言えるようなタイミングでした。

同年10月にはドイツ・エッセンで開催されたボードゲームの見本市であるSPIEL MESSEに参加し、KLASKブースで世界の有名プレイヤーやKLASKのデザイナーと交流したり、会場で開催された大会に参加することでさらに私の中でKLASKの「熱」は高まっていきました。

私の師匠であるイタリアのフィリポ・ボーリンとの出会いもエッセンの会場でした。つたない英語で「あなたのファンだ」と伝えると何度か一緒に遊んでくれて、彼の得意なサーブをいくつか教えてくれました。

「また来年も来よう。絶対にKLASKが上手くなってボーリンに会いに行こう」

そう思って彼とお別れしました。

前回記事より抜粋。ボーリン(右)と私(左)


その翌年から、世界大会は開催されませんでした。


世界的な感染症の蔓延により、海外への渡航すらままならなくなってしまいました。

絶望でした。高まっていった「熱」が冷めていくような感覚に陥りました。

そんな中、2021年の9月に競技KLASK会にひとつの風が吹きました。

Discordのキャプチャ。リンク切れてるとウンチになるのやめてほしい

西葛西のボードゲームカフェLaplace(現在は閉店)でKLASKにハマっている人がいるという噂を聞きつけたyさんがお店に乗り込んでくるという情報をDiscordのグループに投下しました。

なにやら最近KLASKを始めたけど既にめちゃくちゃ強いらしい・・・

いったい誰なんだ・・・?

彼はそこのボードゲームカフェで店長をしている「こうへい」さんと言うらしい。名札もKLASKでデザインされていて画像越しでも彼の「熱」が伝わってくる。消えかけていた火が心の奥底でまた灯ったような気がしました。

そして2022年に待ちに待った第2回日本大会が開催されることが決定しました。第1回大会からおよそ3年ぶりでした。

ただ、正直この時の私は当時の情熱を失っており、また仕事が忙しかったこともあり予選大会にもあまり参加できず本戦への切符を取り逃してしまいました。

大会の結果を画面越しに眺めている間、脳裏にかすめるのは「引退」の2文字でした。

そんなことを考えている中、2023年の3月にとてもとてもうれしいニュースが飛び込んできました。

世界大会の復活。そして、第3回日本大会にして初の日本代表

「また来年も来よう。絶対にKLASKが上手くなってボーリンに会いに行こう」

このタイミングしかない。そう思いました。
「彼」に世界大会の場で日本代表として会えたらどんなにうれしいだろう。そんな気持ちで練習を再開しました。

なんとか予選を勝ち上がることができ、あとは本戦で勝ち上がるのみとなりました。

大会に向けてひたすら練習しました。ほんとうに毎日のように。やる気を失っていた期間を呪うこともありましたが、過去を恨んでも仕方がないのでブランクを埋めるためにも邪念を払うためにも本番に向けた調整に明け暮れました。

結果は

残念ながら決勝トーナメントに上がれず、リーグ戦で敗退する結果となってしまいました。FF (Five to Five gameの略。5対5であと1点取れば勝ちとなるゲーム) に勝てていれば上がることができたのですが、1点に笑い、1点に泣く。それがKLASKというゲームなのです。

さて、2023年の大会で優勝したのが誰かというと、

ん?「こうへい」さん?どこかで聞いたような・・・

そう。いつぞやに吹いた風、あの「こうへい」さんです。

彼はこの数年で日本で1番KLASKが強いプレイヤーへと成長していました。

今年の大会は間違いなくこれまでの日本大会の中で最もレベルの高い大会でした。その中で全戦全勝で勝ち上がった彼はまさに日本代表の名にふさわしい存在になりました。

「こうへいストレート」と呼ばれる彼の得意なショットがあります。彼の武器は機械のように正確無比なショットで、相手のディフェンスをすり抜け華麗にゴールを決めます。まるでメッシです。サッカー知らんけど。

一目見たときから私は彼のファンになりました。本人には伝えてないけどね。

彼が優勝したとき、1つのイメージが頭に浮かびました。

私が好きな2人が世界大会で戦っている様子。日本代表とイタリア代表として。

自分自身がその舞台に立つことは叶わなかったけれど、新たにできた夢を見届けるために世界大会に行ってみよう。その日の夜には私はフィンランド・ヘルシンキまでの航空券を購入していました。


ここからがようやく世界大会に行ってみた話です。

長かったね。ここまで読んでくれた人、ありがとうね。

世界大会は9/9に予定されており、9/6の夜に私はこうへいさんとともに日本を出発しました。

キャリーケースにクラスク。まさにキャリスク

こちらは荷造りの最中の写真。105Lのキャリーケースの半分がKLASKで埋まってしまいました。でも大丈夫、KLASKとパスポートさえあれば何とかなります。

フライト時間はおよそ13時間ほどでした。エコノミーで体はバッキバキになりましたがその他は特にこれといったトラブルもなく、ヘルシンキ・ヴァンター国際空港に到着しました。

航路。実際はロシア上空を避けるように飛んでるはず。

当時準備していた予定表です。せっかくフィンランドまで行くのにほとんどKLASKのことしか考えていないのが分かりますね。

ヘルシンキに到着したのは9/7の早朝でした。ホテルの最寄駅では現地スタッフであるBenさんが出迎えてくれました。大会の準備で忙しい中、日本人の我々が困らないようにサポートしてくれた、聖人君子のような男です。

Benが出ている公式動画も観てね。

7日は少し時間があったのでヘルシンキを観光しました。大聖堂を見たり、ボードゲームショップに行ったり、謎の集団を目撃したり、美術館に行ったりしていました。

謎の新聞紙で作った帽子を被った集団

そして夜からはホテルのラウンジでKLASKです。選手たちはボールが壁に当たる音に引き寄せられるように集まってきました。

ホテルに着いてすぐクラスク。まさにホテルスク。

前回世界大会チャンピオンのポーランド代表トマス・ペレウスも到着していました。パートナーと一緒に来ており、エッセンぶり(4年ぶり)でしたが僕のことを覚えていてくれました。

トマスのパートナーの服のバックプリントにでかでかと描かれる2019年の優勝シーン

練習の様子。世界中のKLASK好きが集まっていると思うととても不思議な気持ちになりました。

9/8も半日ヘルシンキの観光に回りました。そして夕方からはレセプションパーティということでMystery Island (謎の島)に行くことに。

船上のクラスク。まさに船スク。

船の上の様子。およそ15分ほどかけて島に到着。
会場では代表選手の紹介およびリーグ戦の対戦相手の発表が行われました。

日本人選手として「KOHEI」が紹介されたときはうれしかったなぁ~

その後はやっぱりKLASK。私も各国の選手と話したり一緒に遊んだりしました。そしてなんといってもこの日の思い出はサウナ!

サウナの中でKLASKする男どもよ・・・残念ながら写真は載せられないんですが、イメージを脳内で補完してください。

KLASK好きとして最高の時間を過ごしていたのですが、この時1つだけ不安なことがありました。
イタリア代表のフィリポ・ボーリンが未だ到着しておらず、レセプションパーティの場でもまだ彼に会えていませんでした。師匠に成長した姿を見てもらいたいのに・・・!

そんな不安を覚えながら、9/9大会当日になりました。
会場までは選手は送迎車で、それ以外は徒歩で会場まで向かいました。すぐ近くだと聞いていたのですが1時間以上かけて遠足のように隊列を組んで歩き、会場内に到着しました。

まさに本番前スク

到着したときには選手は練習を始めていました。会場の雰囲気も相まってみんな表情が硬く、緊張感が増しているように思えました。

そんな中、

ボ、ボーリンいた~!!!イタリア代表選手も大会には何とか間に合うことができました。ただ、ここに来るまでに荷物がなくなったりトラブルがあったようで、疲労が取れていないようにも見えました。

練習をしている最中、彼に話しかけることができました。
彼も僕のことを覚えていてくれました。そして無事彼とまたKLASKをすることができました。そして師匠を前に緊張して盛大にKLASK(ゴールにストライカーが落ちること)してます。

そして、大会が始まる前に彼は僕にイタリア代表のTシャツを差し出し、
「これは君のだよ」
と言って渡してくれました。

サメのデザインのイタリア代表Tシャツ。Play like a Shark!

KLASKを続けていてよかった。そう思いました。

何の成果も残せてないけど、自分の好きなことで世界中の人とつながることができて一緒に遊ぶことができるというのはとても貴重な体験だと思います。

大会の結果は是非公式Youtubeをご覧ください。
こうへいさんは前回優勝者のトマスに惜敗し、ベスト4の大貢献をしました。

師匠ボーリンもベスト8で敗れてしまいました。相手は昔からのライバルであるデンマークのオズガーです。フルゲームのFFでした。

優勝したのはもう一人のイタリア代表。ルイージ・レオーネさん。
ほんとにめちゃくちゃ強かった・・・世界の壁の高さを感じました。

ということで、2023年の世界大会は幕を閉じました。

毎年のように大会が開催できればいいのですが、金銭的な事情からも難しい状況にあるようです。

競技KLASKとしてもプレイヤー数が増えないという問題に悩まされており、どの国も数十人規模のコミュニティに留まってしまっているのが実情のようです。

日本でも大会に参加するのは毎年決まったメンバーとなってしまっているところがあり、新しい風が吹くことを常に期待しています。


だから



みんな




KLASKやろうぜ!!!



おわり


そういえば一つ、夢が叶ったんです。

私が好きな2人が世界大会で戦っている様子。日本代表とイタリア代表として。

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