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はじめまして、ター君の妹です

ター君は、私のお兄さん。ダウン症があります。
兄妹の暮らしから見えて来たことを綴ります

ター君が生まれた時
1964年 ター君は大阪で生まれました。
医師は「おそらく一年持たないでしょう」と
父に告げたそうです。

そのことを父から聞いた母は
ダウン症が治る病気だと思ったので
「お願いだから、お薬をもらってきて」と
何度も泣きながらお願いしたそうです。

当時は、ダウン症に関する情報は少なくて
障害に対する偏見も強かったので、母は
誰にも相談できなくて不安でいっぱいの
初めての出産でした。

健康に育って欲しいと願いを込めてタケシ
と名づけ、やがて「ター君」と呼ぶように
なりました

以前、母はこう言っていました

「ミルクを数ml飲ませるのに一時間以上かかってね、   
 慎重に、慎重に、そっと寝かせても、ようやく
 飲んだミルクを全部吐き出しちゃうのよ。
 また1時間かけてミルクを飲ませる繰り返しだった
 から、ママの腕はしびれてきちゃって…
 いつも泣きながらミルクを飲ませていたの。
 ター君は、うつろな目で天井を見ていたり
 呼びかけても反応したり、しなかったり・・・

 もうどうしたらいいのかわからなくて
 本当に毎日がつらかったのよ。

笑顔が出て来たター君

 初めてター君が笑った時には、嬉しくてねぇ。
 ママ、大泣きした。それからは毎日屈託のない
 笑顔を見せてくれるようになったの。
 諦めないで良かったと思ったわ」

母は、昔のことを思い出しながら
クスッと笑ったり、ふっと遠くを見つめていました

【つづく】

豆知識
ダウン症とは「ダウン症候群」という先天性疾患。
出生頻度は1,000人に約1人の割合で、日本には
8万人のダウン症のある人がいる。重い合併症のある
お子さんには医療的ケアが必要。兄は心臓弁膜症で
自然治癒した。
発達はゆっくりで知的障害を伴うが、最近の療育は
進歩しているので早期療育が盛んだ。
乳幼児期は表情が乏しく言葉を話す時期も遅いこと
がある。

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