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添削杯 観戦記事 決勝トーナメント決勝戦 hom vs kC

先に公開したメタゲームブレークダウンにおいて、今回の大会で何かしらの相棒を選択したのは16名、全参加者(33名)のおよそ50%であると記載した。

楽しいことはあっという間で昼過ぎに始まった添削杯も21時を回り、ついに2名のプレイヤーのみを残すこととなった。

その2名は、homとkC。

homは環境を読みぬいた結果、ホガークヴァインを持ち込むことを決断。「相棒はありません」と力強く宣言するように、《適者生存》で随時必要なクリーチャーを手に入れ戦い抜くことを選択。予選ラウンドを2位で通過し、自説の正しさを証明している。

一方のkCは《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》を採用した《死の国からの脱出/Underworld Breach》。予選ラウンドは3戦ストレートで早々と決勝トーナメント進出を決め、準決勝では苦手と語るMUD系のデッキ(ゴロススタックス)を見事に乗り越えている。

この決勝戦はまさに、相棒の選択で二分した参加者たちの決着戦ともいえるのではないだろうか。

なお、運営側のトラブルによりsatsuki氏の環境をお借りする形で決勝戦の配信は行われた。試合に先立ち、satsuki氏に感謝の意を述べさせていただきたい。


5月5日 21時23分、ジャッジの合図とともに添削杯最後の1戦の幕が開ける。

Game1

homはまずは順調に《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》からゲームをスタート。続くターンには《溜め込み屋のアウフ/Collector Ouphe》を送り込むが、これはkCの《Force of Will》の前に成就せず。そんなことはわかっているとばかりに立て続けに第二の矢、《虚空の杯/Chalice of the Void》をX=0……だがここにもkCから《呪文貫き/Spell Pierce》が撃ち込まれる。

この連撃を交わされたのはhomにとっては想定外ではなかろうか。

そんな序盤の山を乗り越えたkCは、2ターン目に《ライオンの瞳のダイアモンド》を設置すると、早速《死の国からの脱出/Underworld Breach》へとつなげる。立て続けに《ライオンの瞳のダイアモンド》を起動するとhomから待ったの声。

homは《活性の力/Force of Vigor》で《死の国からの脱出/Underworld Breach》を破壊してみせ、対応力はkCの専売特許ではないことを示すと、自ターンには《適者生存》。勝利へのマスターピースを設置した。さすが決勝まで残った猛者二人といった攻防だ。

《ライオンの瞳のダイアモンド》により手札を失ったkC。だがそこで引き込んだのが

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土地を戻すことはデメリットに非ず

土地から2マナを出しつつこれをキャスト、土地を再設置というこれまでもこれからもヴィンテージで幾度となく行われるであろうムーブを見せると、噴き出した3マナから《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》を招き入れる。

続くターンもkCの動きは止まらない。《Ancestral Recall》で失ったハンドをたちまち回復すると《ギタクシア派の調査》も連続でキャスト。homのコントロールする1枚の《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》では止めることのできない状況を積みあげていく。

そしていよいよ《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》の力により《死の国からの脱出/Underworld Breach》が死の国から脱出を果たした。homもこれに対応して《死儀礼のシャーマン/Deathrite Shaman》で《商人の巻物》を抜き去り、後はkCが何も引かないことを祈る。

だが今日のkCにそのような思いが届くこともなく、まずは《Ancestral Recall》を脱出。そして《思案/Ponder》を使用。更に《Black Lotus》が脱出すると、手札から《悟りの教示者/Enlightened Tutor》が提示。《研磨基地》を手に入れ、これを即座に戦場へ。

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そのまま《研磨基地》がkCのライブラリを研磨し始めようとする。

……が

《研磨基地》を手に入れる!?

そう、kCは思わず勢いで《研磨基地》を手に入れてしまったが、本来《研磨基地》のあるべき場所はライブラリーのトップ。ここでジャッジからストップの声がかかり、状況確認が行われる。

幸い動画を撮影していたということ、《研磨基地》の起動が1回のみ、即座に状況復旧可能であること、などから現状の復帰が認められる。

kC程のプレイヤーでもやはり決勝戦ともなると緊張するのであろうか。改めてゲームが再開され、落ち着いて《Ancestral Recall》を脱出することで《研磨基地》が正式に手札に移動。homはここで次の試合へ歩を進めた。

hom 0-1 kC

Game2

お互いの防御力を見せつけたGame1。そしてGame2はお互いの攻撃力をこの上なく発揮するゲームとなった。

homは《Bazaar of Baghdad》をセットし徐に起動すると《日を浴びるルートワラ/Basking Rootwalla》2体と《復讐蔦/Vengevine》を捨て……いや戦場に送り込む。

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先手1ターン目の戦場です

タップをしたことで2枚ドローし、クリーチャーを3枚召喚するという化け物と化した《Bazaar of Baghdad》。まさにこれこそがホロウヴァインの持つ弩級ムーブ。

だが弩級ムーブには超弩級ムーブで返せばよい。

kCは《島》から《Black Lotus》を出すと、1ターン目に《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》を呼び込み再度《Black Lotus》が戦場へ舞い戻る。

ルールス

最高の相棒

《夢の巣のルールス/Lurrus of the Dream-Den》が発表されたときに誰もが口にし、夢に見たムーブメント。それがこの決勝戦という場で繰り広げられるとは。しかもkCの動きはそれだけでは止まらない、《定業》で見つけ出した1枚は《Time Walk》だ。

連続で得たターンに再び猫の目が光る。この試合3度目の《Black Lotus》そして……《死の国からの脱出/Underworld Breach》

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更に重ねて《思考停止》!!

kCの《思考停止》は文字と動きは全く別物。kCが思考を止めると、次々と死の国には新たなエネルギーが充填されていくのである。この世と死の国はやはり概念が全く異なる世界なのだろう。

homに残された逆転の一手は、サイドボードに4枚積んだ《貪欲な罠》。その手札には《貪欲な罠》はあるのか、と注目が集まる。

kCは《Time Walk》に手をかけ……homは《貪欲な罠》を……見せることはできず、静かにデッキを片付けることになった。

kC、決勝戦にて、後手1ターンキルで堂々の優勝!

その傍らでは1匹の猫が頼もしそうに主人を見上げていたに違いない。

hom 0-2 kC


あらためて、添削杯優勝は、《死の国からの脱出/Underworld Breach》デッキを使用したkC! おめでとう!!