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検疫所と厚生労働省、ワクチンの義務化について(9月14日こびナビTwitter spacesまとめ)

※こちらの記事は、2021年9月14日時点での情報を基にされています。※

2021年9月14日(火)
こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース
本日のモデレーター:吉村健佑


黑川友哉
おはようございます。

吉村健佑
おはようございます!
9月14日ですね。職場ではちょうどチャイム🔔が鳴り響いていまして…。

黑川友哉
いいですね! この「キンコンカンコン♪」いいですね!

吉村健佑
これは朝に県庁に鳴り響くチャイムですね!

黑川友哉
ビックベンを思い出しますね。

吉村健佑
では始めましょうか。

黑川友哉
始めましょう。峰先生も来ていただいたので…。

吉村健佑
峰先生もありがとうございます!
ちょうどよかった! 今日は、アメリカに住んでいる方にぜひ来てもらいたい回だったんです。よかったです。

黑川友哉
今日は日本の話ではないんですか?

吉村健佑
日本の話もしますよ。あとでアメリカの動きの話をしたかったので…あ、安川先生も来てくれた、あとでまたいろいろ教えてもらおうと思います。
9月14日こびナビ朝のスペースですが、今日は吉村が担当します。よろしくお願いします。


新たな変異ウイルスは「検疫所」で見つかる

吉村健佑
先週検疫の話をして、結構周りの人からも反応をいただきました。
今陽性者をどう処遇しているとか、陰性者をどうしてる、という話を先週30分お話ししました。
その後の検疫の動きを見ていると、最近も新たな変異ウイルスが報告されているんですね。

変異ウイルス「デルタ」が日本中でもよく報告されてきていまして、千葉や東京だとだいたい9割ぐらいになってきて、大多数を占めてるんです。
それに加えて、南米由来といわれている「ラムダ」とか、この間峰先生も解説されていた南米・ヨーロッパで広くみられる「ミュー」、これらが検疫で見つかっているよ、というのがありました。
どうやら9月3日までの厚生労働省の集計によると、イギリスを中心に70カ国で確認されている「イータ」が18人見つかっているそうなんですね。これは結構世界中で検出されているみたいですが、18人分すべて日本の検疫で見つかっています。
あとは「カッパ」ですか…これ、どこまで行くんでしょうね、インド由来といわれるカッパが19人いらっしゃいまして、1人だけ三重県の地域保健の中で見つかったそうですが、それを除くすべての18例のカッパが、これまで検疫で見つかっているよということです。

変異ウイルスの発見と検出についてはやはり検疫の役割があるんだな、というふうに先週の続きの話ですけど感じましたね。

当然先週お話ししたとおり、現場で検疫官をやっていると、陽性者を見た時にはこれが変異ウイルスかどうかは分からないんですけど、その後国立感染症研究所にサンプルが送られて、変異ウイルスが次々同定されて、変異ウイルスがどのように拡大しているかという話がニュースでありましたので紹介しました。


厚生労働省「再編」へ、霞が関よもやま話

吉村健佑
ちょっとトピックス的なんですけど、今ちょうど厚生労働省の再編があるんですよね。
ちょうど9月10日に閣議決定された「改正厚生労働省組織令」というのがあります。これは厚労省の組織改編、体制について法令に基づいて変更するんですが、その中でこれまで検疫は「医薬生活衛生局(医薬局)」の中の「検疫業務管理室」というところが担当していたんですが、それが「検疫業務課」に格上げされているんですね。
検疫体制を強化して水際対策をきちんと行う、という政府の意思がこういう体制づくりにも現れていまして、「課」に格上げして多少は関係省庁との連携強化などが図られていますよ、というニュースでした。
こういうのも地味なんですけど、元・役人的には非常に大事な話で、人員とか予算とか質とかでは大きな違いがありますので、そういう意味で重要なニュースかなと思いました。

ちなみに、繰り返しますけど、こういう組織改編は閣議決定ですよね。
政治の「政」に命令の「令」政令でこれは閣議決定ですので、内閣総理大臣以下すべての閣僚の合議によって了解されているということで、結構大きな政策的な意味合いがあります。
こんな検疫の話から始めてみました。
どうでしょうね。何か気になることがあります。皆さん、いかがでしょうか?

黑川友哉
総裁が変わるとまた変わるんですかね?
河野太郎さんは厚生省と労働省に分けるのも一案だ、みたいなことをおっしゃっていたとニュースに上がってましたよね。
だから総裁が変わってまた行政改革みたいな話になると…でも今回の閣議決定が全くなしっていう話にはならないわけですよね?

吉村健佑
当然ならないです。
もちろんこれは一度は法治国家として決めた政令ですので、それを改めない限りは維持されますから、このままの方針で行くんだろうと思います。

あとは今、黑川先生が総裁の話に触れてましたけど、厚労省については以前は「厚生省」と「労働省」で分かれていたんですね。それが橋本龍太郎首相がいらっしゃる時代の「省庁改編」で大きく組織改編されました。省庁が合併されて、それで誕生したのが「厚生労働省」なのですが、その後には厚生労働省は「分離した方が良い」という意見があるんですね。

厚生労働省(本省)は3,569人の省庁なんです(2015年人事院データ)。
これ、省庁としては比較的小さく、例えば国土交通省は7,361人、経済産業省で5,961人、農林水産省も4,838人です。
でも厚生労働省って厚生と労働を合わせて3,600人規模で、それでいて厚生労働省の厚生労働大臣らへの国会質問が、3,584回(2015年通常国会)と全省庁の中で1番多くなっています。2番目は外務省で2,086回でした。
暮らし・生活・いのちに直結した省庁なので、やはり有権者の関心も高くて、それが国会審議の中で大きく取り上げられます。
質問が多いと何が起こるかというと、当然議論がされますので、例えば「〇〇について検討して参りたい」と大臣が答弁するわけですね。そうすると検討しなければいけない。「検討する」というのは、現状を調査し、有識者を集めて検討会を開催し、議事録を作り、取りまとめを行って報告書を作り、報告します。それを誰がやるかというと、実質的に全部官僚がやるわけです。
質問が多いとその分官僚の業務が多く、幅広くなり、1人の大臣が全ての事柄について把握して、議論するのは難しいんじゃないか、ということで、これは分離して「もう少し体制を強化して専門性を高めて対応した方がいいんじゃないか」という議論は、以前からあったんですね。

なので最近はコロナの影響を受けまして、自民党総裁選の論点の1つに、厚生労働省の再編や、岸田さんも「健康危機管理庁の創設」とおっしゃっていて、厚労省の中身の部局を一部切り出して、組織を改変するという意見も出ています。
ちょっと雑談・余談が過ぎましたね。

黑川友哉
よく霞が関界隈ではいわれてますけど、これってやっぱり日本の行政の職員の数が少なすぎる、特に厚生労働行政、健康に関連する行政の人数が少なすぎるっていうのは、私ももう前々から思っていました。

私が前にいた PMDA(医薬品医療機器総合機構)という組織も、今は900人ちょっとの組織にはなってるんですけど、機能はもちろん全然カバーしきれていないんです。同じようなアメリカの FDA(アメリカ食品医薬品局)も、お薬の承認とか審査とかをやってるわけですけど、規模としては PMDA の10数倍あるわけなんです。
これがやはり、日本の PMDA には「科学的なことを研究する組織が作れない」とかそういう弱点にも繋がってますし、「行政としての発信力の弱さ、発信のしにくさ」にも関連してきてるのかな、っていうことを私は感じています。
ちょっと今の話を聞きながらそんなことを考えていました。

吉村健佑
FDA ってめちゃくちゃ人数いるんですね。研究機関も持ってる巨大組織なんですね。

黑川友哉
FDA は巨大組織、街ですよね。

吉村健佑
そうなんですね! ありがとうございます。
この辺どうでしょうね。峰先生、安川先生いかがですか?
厚生労働行政とか医薬行政について少しコメントありましたけど、何かあります?

安川康介
僕の知り合いが何人か厚生労働省で働いているんですけど、もうめちゃくちゃブラックですね。
連絡が来るのが真夜中だとか、やっている業務も1人が抱え込むにはもうありえないぐらい重要な案件をいくつも抱えていたりしていて、もうこれは回らないなっていうのは本当に感じます。人数を増やすっていうことは真剣に考えた方が良いと思います。

黑川先生の話の続きになると思いますけど、やはり人材がいない、時間と労力をかけられる人がいないとそういう政策が回っていかないので、本当にここはこの新型コロナウイルスの流行を契機に重要性がすごく注目されている分野だと思いますので、変わっていってほしいなあと思います。

吉村健佑
はい、ありがとうございます。
私も2015年から18年に厚生労働省にいましたが、だいたい「12時9分霞が関発」が私の終電だったんですけど、だいたいそれで帰る日が週の3回ぐらいになりましたね。残りの2日くらいは早く帰ったりとか、当時まだコロナじゃなかったので飲み会に行ったりとかしたりしていました。

安川先生がおっしゃったとおりで、業務はめちゃくちゃある、もうやりたいだけある、みたいな感じであって、担当者が業務をいっぱい持っているものだから、担当者がその案件に非常に関心が強いと施策が進むが、でも手が回らないとその施策は止まることも目にしました。担当官の意欲や関心や能力に沿って業務が進んだり、どうなったり…みたいな感じで意外でしたね。「あ、こんな感じで政策って進んでるんだな」と思いました。

ちなみに厚生労働省は今「霞が関合同庁舎5号館」にあるんですけど、ここは以前は海軍省が所在していた場所なんですね。
戦後に陸軍省と海軍省が解体されて、その残務・業務を引き継ぐということが厚生労働省の重要なミッションです。厚生労働省設置法の第3条というのがあり、その第2項のところに「陸海軍の業務を引き継ぐ」と書かれています。戦後処理をするためにある省庁でもあるんですね。例えば戦地だった南の島で、いわゆる英霊たち、日本人が亡くなって遺骨が見つかったといいますと、それを回収して DNA 鑑定してご遺族に届けるのは厚労省のする仕事ということになっていて、非常に幅が広いです。

すみません、ちょっと14分くらい経っちゃいましたけど、厚労省の周囲の話をしてしまいました。この話はまた別の時にしてもいいかもしれないですね。
ごめんなさい、今日のニュースをちゃんとやりましょう!


米・バイデン政権、ワクチン接種の義務化へ進む

吉村健佑
今日話したいなと思ったのは、アメリカのバイデン政権がワクチン接種の義務化をしたんですよね。バイデン政権が9月9日にコロナウイルス・デルタ株の感染急拡大を受けて、新たな行動計画を発表したということです。

具体的には中規模以上・従業員100人以上の企業に対しては、従業員のワクチン接種か毎週の検査を義務化するということ。加えて全ての連邦政府職員に対しては、連邦政府の医療保険制度に組み込まれて医療機関の関係者にも対象を拡大して、計約1億人を対象としてワクチン接種を義務化したというニュースが入ってきました。

これはバイデン政権が目標を掲げてワクチン接種を進めてきたんですけど、その接種率の伸び悩みもあり、かつデルタの拡大での感染収束が見通せないというふうな背景から、より強い措置を打ち出すということでワクチン接種の義務化がされたと報じられています。「義務化が反発を招く可能性もある」というふうに記事には心配も書かれていますが、こういったワクチン接種の義務化はかなり強いメッセージだなと思っています。

仮に「義務」になってしまえば本人への説明とか同意という話ではなくなってきますから、我々こびナビのように情報の発信をするとか、判断に資するような情報をお届けするという立場もだいぶ変わってきちゃうところですが、こういった強い措置を取ったと。
企業へのワクチン接種義務で8000万人が対象になって、規則に従わない企業は約150万円、14,000ドルの罰金を科すという措置ですね。

さらに医療機関で働く方々1700万人もその対象となって、対象は約1億人になっています。連邦政府職員や政府契約業者、出入り業者についても接種を義務化するというメッセージを出しました。

日本の加藤官房長官(当時)が9月10日の記者会見で、こういったアメリカの動きに対して日本の方針をあらためて問われまして、「我が国では国民自らの判断で接種してもらうことが重要だ」と述べて、日本政府の方針を変更しないという声明を出しています。
ワクチン接種について必要な情報を提供して国民の理解を進めていく、とする考えを表明して、接種の強制や接種の有無によって不当な差別的扱いを受けることは適切ではない、と強調したというニュースでした。

ちなみにこれに関連して、ワクチンの義務化が既にされている国々というのが世界の中で知られています。
例えばタジキスタン、だいだい900万人から1000万人ぐらいの国民ですが、すべての成人が接種義務。
あとはトルクメニスタン、これも600万人ぐらい、ちょうど千葉県と同じ程度の人口規模ですが、そこも成人が接種義務。
小さいところでバチカン市国、800人しか国民がいらっしゃらないそうなので小さいですが、義務化されているということ。

職種によってとか、一部の業務・業種は接種が義務化されている。例えばフランスですと医療従事者については接種が原則義務となっています。
あとは飲食店に勤める方とか接客業の方などについては、スタッフの全員じゃなくても6割以上とか7割以上とか、そういった割合での接種を義務化するという国々も結構ありまして、イタリア、ギリシャ、ロシア、カザフスタン、パキスタン、サウジアラビアなどは何らかの役割に応じた接種の義務というものを課している、という報道もありました。

いかがでしょうか?
この件はアメリカ国内でどうやってとらえられてるのか?
ぜひ安川先生、峰先生、教えていただきたいんですけどどうでしょう?

峰宗太郎
僕もですね、実はアメリカの国家公務員なんですね。連邦政府職員なんですよ。
なので当然義務化の中に入っていまして、私の職場も基本的にはワクチンを打たなくてはなりません。
HHS(U.S. Department of Health & Human Services)というところの傘下になっているものですから、HHS のセクレタリーオフィスからメールが来るんですね。
丁寧に説明があって、今 COVID-19 はどういう状況か、ワクチンの接種率はどうか、私たちのレジリエンス(resilience、回復力)はどうか、そしてこれにどう取り組んでいくのかということを継続的に、ほぼ3日に1回ぐらいセクレタリーオフィスから丁寧なメールがあるんですね。
これはすごく丁寧なシステムで、このパンデミック始まってからずっとそうなんです。

それぞれの職員のするべき事、それと組織としてのレジリエンス、それから国民に対するレスポンシブネス(responsiveness、応答性)、こういったものをしっかりしていこうということで説得、というかストーリーが語られてきています。HHS の長官からもメッセージが頻繁にあって、どちらかというとアナウンスされた時、もうすでにほとんどの人打ってるんじゃないの? みたいな雰囲気で、今更何を言うとんの? っていう感じが私のいる研究所ではありました。
ただ出入りの業者さんとかまで、これが出てくるということになると結構なことでして、やっぱり反発される方もいるということで、一部のところから「人権をどうするんだ」という疑問があったりしています。

アメリカでは結構タウンホールミーティングというのをやるんですよ。
それなりに責任のある人、例えば私の住んでいるモンゴメリーカウンティであればカウンティの市長ですとか、HSS であれば長官だとか、私がいる組織であれば一番トップのアンソニー・ファウチとかフランシス・コリンズとかが、事前に質問を募って、構成員全員が参加できるオンラインの会議をバーチャルでやって、質問に答えながら疑問を解消していくという非常に顔の見えるレスポンシブネスをやってるんですね。
なので、そこに直接関わっている人については大きな反発はなく、かなり受け入れはいいんじゃないかと思います。

ただ一方で、メディアはやっぱり日本と同じで切り取った報道を結構しますし、あとはやはりアメリカでは党派性が強いものですから、さきほど話がありましたけれど、公務員の制度は日本とは違ってオープンキャリアシステムなので、政権が民主党になると基本的に共和党支持者は行政からから追い出されるわけですね。

新しく雇われた人がくるということもあって、政策にみなさんが非常に協力的なんです。
ですから今回義務化の範囲に最初に入った人たちにとっては非常に受け入れはスムーズという印象を受けている。

ただ政権とか行政の外にある人に対するメッセージとしては、今回のものはかなりビビットで強かったというところがあって、本当に強行するのか? そこまでやるか? っていうような声も結構メディアでは取り上げられています。州知事によっては、共和党支持の地域ではもう強い反発をしてるということもあって、今後の動向っていうのは、なかなかいきなりスムーズに義務化に全部いくかというのはわからないですよ。
おそらくにアメリカのことですから、ここから裁判闘争が始まるんだろうなという感じがしちゃうんですね。

吉村健佑
なるほど。峰先生、ありがとうございます。
非常に明快にまとめていただきました。
そうなんですね。
安川先生、いかがですか?

安川康介
アメリカはちょっと前に雇用機会均等委員会 EEOC というところが、企業がワクチンをマンダトリー(mandatory、義務)にできるということを発表したんです。
なので、政府機関だけじゃなくて、いろいろな企業が今後どんどん義務化していくだろうということがいわれています。

内田先生と今日話した時に、従業員でワクチンを受けたくないという方がいて、その方が辞める決断をしたというんです。まあ辞めさせられるっていえばいいですかね。
僕の病院でも、ワクチン接種した記録を2日以内に出さないといけないっていうのがもう決まっていて、今日僕もワクチンを受けた接種証明書を提出しました。

アメリカはもうどんどん義務化が広がっていくと思います。
小児のワクチンも承認されたら、もしかしたら学校で接種がマンダトリーになるかもしれないということはいわれています。

吉村健佑
なるほど。ありがとうございます。
今、峰先生・安川先生からいくつか教えていただきましたけ。
1つは峰先生の話ですと党派もありますね。政治的な考え方でワクチンに対して積極派・消極派がいらっしゃるということで、今回バイデンが民主党政権で決めていて共和党が反発するだろうと、この辺の視点は「ああ、そうなんだな」と思いました。

最後に安川先生が小児の話に触れてくれましたが、今回の企業に対するワクチンの義務化はあくまで従業員ということで、お子さんは基本的に含んでいなくて、大人たちの世界の話になりますよと。

企業の従業員たちについては、ワクチン接種か陰性の検査結果の提出を求めるということと、連邦政府職員と契約業者については接種そのものを義務化するという考え方ですね、確認をしておきますが、それを示しています。
いかがでしょう? これについて何か他の方、コメントとか質問はありますか?
黑川先生、どうぞ。

黑川友哉
やっぱり日本とだいぶ行政の強さというか、強いっていう表現はちょっと違うかな、と思いますけど、政策に対する姿勢っていうのがだいぶ違うんだなーっていうのは感じますよね。

日本だと、まずそういうふうな「強制的に接種させる」ことをやることによって、逆に反発を招くということが目に見えてるからなのか、そういう方向に舵を切らないよな、どう転んでも強制はしないんだろうな、というのが想像できるだけに、アメリカとの考え方の違いがよく感じられる今のお話だったなと思いました。

吉村健佑
ありがとうございます。
大統領令という形で出てるんですけど、これどれぐらい法的根拠というか強制力があるのかな? なんて思いました。
大統領がこういう方針を出したとしても、それに従わない場合どういうような措置になるかとか、地域や州によってそれを適用しないこともあるのかな、なんて思ったんですけど。
峰先生、その辺って何か分かります?

峰宗太郎
これ、私は専門じゃないのでよく分からないんですけれども、基本的には連邦で大統領命令が出ると、まず連邦行政職の人たちは全員それに従わなければいけない。
従わないと最悪の場合解雇されるっていうのは当然なことになりますし、義務があるということは我々もメールで受けてるんですね。

ただ、州や群からくるメールを見ていると「連邦ではこういうオーダーが出たけれど、まだ我々のオーダーは未決である」みたいなことが出てくるんです。それぞれの地域では基本的にそれぞれの州の指針に従うというのが原則なんだと思うんですね。

州は基本的には連邦の方針に従うことが多いんですが、アメリカはそこでまた裁判闘争をやる国なんですよね。で、連邦裁判所の判断待ちみたいなのがよくあるんで、ちょっとそこら辺の仕組みって私もよくわかってなくて、結構複雑なんだなと毎回思ってます。

吉村健佑
なるほど、そこは日本と少し違いそうですね、ありがとうございました。
安川先生、どうぞ。コメントがありましたらおっしゃってください。

安川康介
僕も専門家じゃないんでどれぐらい拘束力があるか分からないんですけども、医療の分野で1つ例を出せるとしたら、ビル・クリントンが出した Executive Order 大統領令で、英語がうまく喋れない方のために医療通訳を提供しなければいけないという大統領令があります。
病院が国からある程度ファンディングを受けている場合、これはメディケアとメディケイドの患者さんを受けている場合なので、ほぼ全ての病院になるんですけれども、医療通訳っていうのを提供しなければいけないという大統領令があって、かなり拘束力があるというか、すべての医療施設がそれに従っているという感じになります。

吉村健佑
記事によると労働省が規則策定に取り組んでいて、それで先ほどの罰金の金額などが検討されているということで、これはまだ制度設計中ということなのかもしれませんけれど、そういったところと、あとは各自治体…自治体とはいわないですね、自立し独立した州としての決定というのもそこに影響するんじゃないかというコメントでした。

半年ぐらい前とかに比べるとだいぶ状況も変わってきて、デルタ株の拡大で感染力が強いということで、そういった強い政策を取る先進国・アメリカがそういったことをするというのは少し流れが違ってきたな、と思って今日紹介させていただきました。

時間もちょうど9時になりましたのでそろそろまとめていきたいと思います。


まとめ代わりの千葉県コロナ発生状況

吉村健佑
いきなりローカルな話で千葉県の話をしますと、幸い陽性者の日々の発生も減ってきまして、300人とか400人とか、ずいぶん落ち着いてきました。
一時期1,600人とかが新規陽性でいらしたので、それに比べるとずいぶん落ち着いてきて、それに伴って入院者数も今800人ぐらいが病院で入院して、350人ぐらいがホテルで療養して、6,000人ちょっとが在宅で自宅で療養中ということになってきてます。
以前は1万人を超える在宅療養の方がいらしたんですけれど、落ち着いています。また自宅で入院治療が必要であるけれど入院できないという方も、今のところはいらっしゃらないという感じで、朝対策本部に来てそんな意見交換をしたところでした。
※ 2021.9.14.現在

第5波も落ち着いてはきたんですが、ただ今後第6波もくるだろうということで、これまでの状況・対策を見直して第6波にどう備えるかというふうな議論も進めたいな、考えたいな、と話していました。

9月に入りましてまだまだ対策は続きますが、前向きに頑張っていきたいと思いますね。
皆さんもぜひよい1日をお過ごしください。
スピーカーのみなさん、ありがとうございました。
特にアメリカのことを教えてくれた峰先生・安川先生、非常に勉強になりました。
そしてPMDAについて話してくれた黑川先生もありがとうございました。
ではお聴きの皆さん、またお会いしましょう!
では、バイバイ👋

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