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波の間にすべきコロナ対策、出口戦略について議論しました(10月19日こびナビTwitter spacesまとめ)

※こちらの記事は、2021年10月19日時点での情報を基にされています。※

2021年10月19日(火)
こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース
本日のモデレーター:吉村健佑


吉村健佑
おはようございます。
10月19日こびナビ朝のスペースを始めたいと思います。今日はこびナビ・吉村が担当します。昨日くらいから寒くなりましたよね。今日もちょっと半袖では出られない天気ですね。

さて、ぼちぼちいきましょうか。
今、県の対策本部もずいぶん落ち着いていまして、こんなに穏やかな状況もこれまでないかなというくらいです。
千葉県全体での陽性者が1日10人とか20人ぐらいですので入院している方も100人ちょっと、ホテルに入っている方も40人ほど、在宅でいらっしゃる方も100人はいらっしゃらないという感じで、200人くらいの方が療養中となっています。

先日振り返ってみたのですが、8月の下旬、確か25日・26日そのあたりがすごい大変な状況だったなと…。
例えば当時は千葉県だけでも入院中の患者さんが1,100人とかいらっしゃって、ホテルに入っている方が400人、あと自宅にいらっしゃる方がなんと12,000人を超える時期もあったと思います。
合計14,000人くらいの方が療養されていた8月の下旬に比べると、今はもうたった200人ですので、同じ対策本部とは思えない状況です。


【コロナ対策「波の合間ですべきこと」】

吉村健佑
波と波の間にコロナ対策として何をするか、そんな話から始めたいと思います。

思い返すと第4波はここまで底を打つことなく第5波になりました。厚労省もこの第5波の底の打ち方を予想していたのかわかりませんが、10月1日にある事務連絡を出したわけですね。
「今夏(8月)の感染拡大を踏まえた今後の保健・医療提供体制の整備について」という事務連絡を出し、都道府県などに対して宿題を出しています。
都道府県においては地域の関係者と協議の上、保健所設置市・特別区とも連携し、10月中を目途に
・想定する感染規模が今後どうなるか(第6波)
・確保するべき病床数はどれくらいか
・臨時の医療施設の必要性
・保健所地域の医療機関の体制
等を盛り込んだ今後の保健医療提供体制方針を作成し、10月末まで一部については国に提出しなさい、と。
そして遅くとも11月末までには構築方針に沿った体制を構築し、保健医療提供体制の確保計画として取りまとめて、これもまた後追いで提出しなさいという宿題が出ています。

ここまで明確な作業内容を含んだ事務連絡もちょっと珍しいかなと思うくらい、具体的な指示が都道府県に出ていて、それに沿って、日本中の県庁の方々、保健所設置市・特別区の方々は、その宿題返しの作業をしてるんじゃないかと思います。
今のうちにやらなきゃいけないこと、波と波の間に準備することはいろいろあると思います。
第5波はどうであったかというのもいろいろなニュースが出ています。
例えば、第5波のピークの8月を振り返って、厚生労働省はこんなリリースを出してますね。「自宅療養されていた方の10人に1人が中等症」であったという内容です。8月のピーク時には、全国の自宅療養者がおよそ10人に1人は中等症だったことが、10月13日の厚生労働省の調査でわかったというアナウンスが出ています。

中等症は本来入院対象で、呼吸不全の症状があり、酸素投与が必要な中等症Ⅱの人もいた。一部は入院できないまま状態が悪化した可能性があるということで、呼吸困難や肺炎の症状がある中等症Ⅰを含め、中等症になった感染者が入院をしたり重症化したりした割合については不明ということです。
つまり、どれくらい重症者になったか? という進展についてはわからないけれど、いわゆる中等症Ⅰという、酸素投与が必要ではないもののその手前である方。あとは中等症Ⅱという、酸素投与が必要な人が10人に1人いらっしゃったことが調査によってわかっています。
このようなデータを示しながら、仮に「こういうことが起こったらどうする?」、または「起こりそうになったらその対応をどうする?」ということを、都道府県に確保計画を作成させているという状況だと思います。

例えば、千葉県だったら12,000人が自宅療養されていて、10人に1人ですから「1,200人くらいの方が中等症だったんじゃないか」と試算されています。その方々のうち、中等症Ⅱについては入院療養が必要じゃないかということでした。
東京都では在宅療養中の方の約4%が酸素投与が必要な状況だったとされていて、千葉県の場合であてはめますと、12,000人の4%で480人ほどと推計されます。
それに対応するために医療機関の準備、在宅での療養環境、ホテルでの療養環境についても約500人分くらい上乗せして準備する必要があるのではないか、という数字も同時に出してきています。

関連してこんなニュース・お知らせも来てますよね。
都道府県が検討すべきこととして、国は「臨時の医療施設の必要性や必要量」というキーワードを事務連絡の中に出しています。大阪府は大規模な医療施設を作り、10月1日に「大阪コロナ大規模医療療養センター」が設置され、軽症・無症状患者、酸素を必要としない方を基準としていますが、500床準備されています。さらに、中等症患者向けの病床を200床、10月中の完成を目指すということです。これはまだ完成したというニュースは流れていないようですが、合わせて700床の巨大な臨時医療施設を設置して、「次に来る波にも余裕をもって備えよう」という、自治体の取り組みが紹介されています。
ニュースによると、大阪市住之江区の大型展示場「インテックス大阪」内にあるということです。私は大阪の土地勘がなく、これがどういったものなのかよくわからないので、あとで木下先生がお話できたら教えてもらおうと思います。
こんな感じで各自治体が波の合間に次の第6波に向けた準備をしてますよ、そんな話題提供から始めてみました。
いかがでしょうか? 何かコメントやご質問ありますか?

黑川友哉
おはようございます。黑川です。
各都道府県に次の波に備えて指示が行ったということですよね?
ワクチン接種が広まったということもあって、当初の想定よりも重症化する方、特に高齢者とかハイリスクの方で重症化しちゃう方、そういう想定ってかなり緩和されるのかなという気がするんですけど、これは、その辺の試算も踏まえてそういう箱物・体制整備を、という話になってるんですか?
どこまで想定されているのかなというのが、ちょっと気になったんですけど。

吉村健佑
ありがとうございます。
ワクチン接種に伴う患者像の変化というのは、これも通知の中で織り込み済みです。
ただ、ワクチン接種が地域によって割合がかなりバラついたりしていることも踏まえて、ワクチン接種の進展は自治体ごとに違うでしょうと。それも含めて考えてね、という取り上げ方ですね。

具体的には、ワクチン接種の進展等により感染拡大の抑制・重症化予防が期待される一方、季節性インフルエンザの流行時となる冬に向け、感染拡大に向けた更なる備えが必要であると。
都道府県においては、少なくとも今夏における最大の感染拡大と同程度の感染拡大が生じることを前提に、「ピーク時における新規感染者を見込んで、体制について検討しなさい」としています。
これが具体的に「どれぐらいの患者さんの抑止効果になるのか?」という、定量的なところまでは明示はされていないです。ただ「第5波と同じ程度の波が来たときの対応を考えてください」という記載です。問題になる要素としては冬場である、あとはワクチン接種が広がっていること、それで若干波が抑えられることをプラス・マイナスして、少なくとも同じぐらいの波には対応してねと。十分ではないですけれど、そんな説明になっています。

黑川友哉
もちろん楽観視して「緩くてええやろ!」というのは自治体などが発信するメッセージとしては適切ではないと思うんですよね。
一方で「箱」を増やせばいいというものでもなくて、今新しい治療薬というのも承認されつつあるので、そこへのアクセスをいかにしやすくするか? という方向性の方が重要なのかな、という気がしてるんですよ。
つまり、さっき言った高齢者とかハイリスクの人が重症化する割合は確実に減ってきていると思っていて、今度は、軽症の方を重症化させないための施設とか、お薬へのアクセスとうのをどうやって拡充させるのかな? そこがケアされているのかな? というのがちょっと気になりました。

吉村健佑
ロナプリーブ(抗体カクテル療法で使う中和抗体薬)の使用などについても一部緩和してきたり、そういった使用を使いやすくしましょうというような方針決定もされたりしているところです。それらにも沿ってだと思いますけれど、まずは医療機関の確保、ないしは臨時の医療施設の設置をするならその必要性と規模を検討し、あとは在宅医療でのサポートです。

おっしゃる通りで、これらを支える医師や看護師の確保が課題であり、ここまで自治体も散々苦しんでいるので、そこも合わせた確保計画をしなさいと。具体的には各医療機関と事前の協議をして、こういう時があったらこれぐらいの人員を供出していただきたいという話をしておきましょう、という作業を想定していると思います。
いずれにしても今「凪」の状況になってきていますので、その間、少なくとも10月末・11月末くらいの間の少し余裕のあるうちに、そういう計画を立てましょうという通知が出て、全国で作業しているという状況です。

黑川先生がおっしゃる通り、重症化にきめ細かい対応する施策のところまでいければいいんですけど、正直、そこまではなかなか…きめの細かいところって、作り込みきれないというところもあります。同規模の波が来たときに、今年の夏は大変でしたので、まずは平時の医療が回っていくように。または、必要な患者さんの入院や治療が受けられないことを避けるための方策のところ、そこからの検討のように感じております。どうでしょうか?

木下喬弘
軽症の治療って「箱」を押さえたら、やることは簡単じゃないですか? 怒られちゃうかな。 感じ悪く聞こえるかも知れませんけど。

医療提供体制の拡充の話をするときに、一番というか唯一のボトルネックが重症病床数だと思っていて、人工呼吸管理とか ECMO をまわせる人ってそんなにいません。そこが最終的に増やせない、あるいは増やしたら他の病気が診れないみたいなことになるんだと思うんです。
一方で、軽症者は何とか集めて1箇所に置いてさえおけばいいぐらいのレベルで、ロナプリーブを使うなり、新しいモルヌピラビルを使うなり、そういうのってそんな難しくないから、そこまで論点にならないんじゃないかなって気がしました。

吉村健佑
木下先生、ありがとうございます。
さすがですね。救急医の観点からと思いますが、おっしゃる通りです。
軽症ないしは無症状の方については、大阪などは大規模なセンターを整備はしました。けれど、実際は在宅療養をきちんと行って、あとは健康管理・重症化してないか? 元々の基礎疾患を含めてリスクがないか? ということを確認して、在宅での療養でも充分対応出来るんじゃないかなという気がしています。

一方で、酸素投与が必要な中等症Ⅱ以上、もっというと人工呼吸器や ECMO が必要な重症者のための医療施設を事前に申し合わせしておく必要があって、本当にそこが非常にクリティカルなところだと思います。
それはやはり臨時の医療施設では対応できない話でして、従前からの ICU を持つ病院がどれぐらいコロナに対する資源確保をしてくれるか? ということを見積もっておく必要があるだろうと思うんですね。

話を進めますと、そういった ICU などの医療施設が必要ですが、現在全国で問題になっているのが、コロナに罹患して長期的に、主に呼吸機能が改善せずに人工呼吸器を脱することができない。できても、その後も長期の治療を要する方がたくさんいらっしゃいます。

医療機関で入院を続けられていらっしゃる方もいます。
いわゆる第5波に生じたたくさんの患者さんのうち、感染性がなくなって、その方からコロナが感染することがなくなった後でも、集中治療・重症の管理を要する方や、入院がなかなか脱せずに急性期病院にずっといらっしゃる方がいて、その方々の治療に医療機関は今大変と言われます。

国立国際医療研究センターが発表した記事ですが、コロナ感染後、4人に1人が何らかの後遺症に悩まされていると。
呼吸器症状でなくても、味や臭いの感覚の異常ですとか、脱毛が起こりやすいというような特徴が報告されていたり。
あとは集中力の低下と記憶の障害・鬱症状、というようなどちらかというと、高次の脳機能といいますか、そのあたりのお困りを訴える方もいて、女性や若い方に多いという特徴が報告されてます。
約400人から500人のアンケート調査ですので一部の患者についての報告とはいえ、このような後遺症に悩まされた方もいらっしゃることも知る必要があるかと思います。

この辺りいかがでしょうかね?
谷口先生、入院患者さんを診察する観点でいかがですか?

谷口俊文
千葉大学病院だと8月から9月の上旬にかけて入院された重症の患者さんで、人工呼吸器を抜けきれない方が5人いました。
先週末に1人亡くなられて今4人になったんですけど、ちょっと先が見えないくらい肺が本当に悪くて、人工呼吸器を離脱できない、このまま先の見通しが立たないなあ、っていうところです。なんとか少しでも良くならないかというような懸命な治療を、集中治療医の先生方がされているというような状況です。
一方で、一般病床に関してはかなり人が減ってきていて、やっぱりコロナがだんだん収束してきているということを実感しているというような状況ですね。

吉村健佑
ありがとうございます。
現場のリアルなコメントでしたけれど、やはり長期に症状が残ってしまったり回復がなかなか思うように進まないという方の対応に、日本中の重症治療施設の先生方は追われてる、対応されているということだと思います。

中には回復される方もいらして、他の療養の病院に転床されたり、一部退院に至る方もいらっしゃるということも聞いてはいますが、例えば在宅の酸素療法が必要になっていたり、なかなか酸素投与がやめられず、呼吸状態が回復しない方も一部いらっしゃるということです。
このあたりも、全国的にどういう状況になっているか、またはコロナの病態として、臨床経過として、この急性期を超えた後にどのような症状がどれぐらいの割合で残存するのか。
そして、その治療をどのようにしたらいいかということも、今後手引きを作っていったり、ガイドラインが整備されたり、見えるようになってくるのかなと思っています。
いかがでしょうか?こういった急性期、大きな山を超えた後の状況を日本は経験していますけれど、何かコメントはありますか?

谷口俊文
ちょっとコメントすると、第5波では明らかに、患者さんが病院に来た時にはもうかなり肺炎が進行していて、治療が遅れてしまった、というような事情があるかと思います。

軽症の患者さんは別に自宅療養でいいんですけれども、やっぱり少しでも酸素化が悪くなるような兆候が見られたときに、速やかに病院に入院できるような体制が整っていれば、早め早めの治療が出来て、重症の患者さんがこんなに増えることはなかったんじゃないかと思うところもあります。やはり、第5波の反省点としては「酸素化が悪くなった患者さんを収容できるような施設が足りなかった」というところはあるかなと思います。

そういったところで、入院待機ステーションのようなものを千葉県も一応作りましたけれども、ちょっとタイミングが遅かったので、出来た時にはもう必要なくなっていたというような状況になってしまっています。
千葉県は入院待機ステーションという箱はもうできていて、必要に応じて、またすぐに稼働できるような体制は整えてはあるので、第5波の反省を生かして速やかに治療できるようになるといいなと思います。

吉村健佑
そうですね。谷口先生、ありがとうございます。
紹介いただいたんですが、千葉県は東葛という東京に近い地域と千葉市の中に入院待機ステーションの整備を既に完了していて、現在はこういう状況で稼働はしていないのですが、今後第6波が来たときに稼働させて、速やかに酸素投与ができるような場所を設置したと。

これは以前スペースでも紹介したとおり、救急搬送が必要な患者さん・酸素投与が必要な患者さんが発生しても、行き先がなかなか見つからないという状況があったので、そういう時に一時的に収容して酸素投与を行う施設です。

施設といっても実は医療機関ではなくて、法的にはあくまで「救護所」の取り扱いです。
医師と看護師を集めて、実質は医療専門家はいるという状況ですが、急造でして、そういったもので一時的に患者さんの命を繋ぐ場所が整備されています。

こういった第5波の反省を生かした施設の整備とか、そこで働いてくれる人員の確保を今のうちに進めていくことは重要と思います。

木下喬弘
一応私も「大阪国民🔥」として、少しインテックス大阪というのがどういう場所にあるかということを解説させていただきます。

大阪の西側に埋立て地がいくつかあるわけなんですけれども、皆さんが絶対にご存知なのは「ユニバーサルスタジオ」というところが此花区にございまして、そこが1番有名ですね。
その少し南側には南港と呼ばれる場所があって、海遊館という水族館があるんですね。
あとは、少し西側に行くと舞洲という埋め立て地があって、そこにはなんかやたらと派手なゴミ処理場があるんですけど、インテックス大阪というのは咲洲というその中でも最も地味な、大阪国民🔥ですら何があるのかよくわからない島にある大規模なコンベンションセンター的なものです。
多分、あの土地は全く使い道がないんでしょうね。だからそこに選ばれたんだと思います。
以上、今日イチ有意義な情報提供でした。

吉村健佑
(笑)さっき私が「後で木下先生に」といったのを拾っていただいてありがとうございます。インテックス大阪の解説をいただきました。

木下喬弘
前田先生だともうちょっと熱くインテックス大阪について…。

前田陽平先生
いやいやいや(笑)
インテックス大阪の解説はなかなか同意しにくい解説でしたけど、結局大阪は、やはり海に面してるところなので、もちろん埋立て地が結構あって、その内の1つということですね。
橋下さんが府知事だった頃に、府や市の機能を埋立て地側に移転することで、市内の土地を空けられるみたいな話をして、そちらにちょっと一部の機能を移したりしていたこともありましたね。今も一部の機能はそちらにあるみたいなんですけど。


【「第5波の総括」は誰の役割?】

前田陽平先生
吉村先生、すみません。ちょっとあの1つコメントというか質問なんですけど、いわゆる第5波の総括というのはオフィシャルに行われたんですか?
もし聞き逃してたら申し訳ないんですけれども。

吉村健佑
それは国が?自治体が?でしょうか。

前田陽平先生
国や自治体、どちらもの話なんですけど。
というのは、日曜日にちらっとテレビを観ていたとき、医療関係でない政治関係の方が第5波の総括をされていたんですけど、かなり的外れの総括をされていたので…要するに医療者の頑張りが足りなくて医療崩壊が起こりかけた! みたいなことを言っていて「おっ?」って思いました。
「今はコロナが減っているんだからコロナの病床とかも減らせるはずだ」と同じ口で言っていて「おお?」と思いながら聞いていたところもありました。

医療というのは、もちろんインフラの側面がかなり大きくて、平時に余裕がないと、特にこういう急激に広がるタイプの感染症に対応するというのはなかなか難しい側面があります。
木下先生が先ほどおっしゃったように、重症の方が一定の割合で絶対に出てきてます。重症に対応できる人というのは世の中でそんなたくさんいるわけではないので、「重症のベッドです」といきなり「箱」だけ確保しても、それは無理な話なんで。
そういったあたりも、なかなか広く理解していただくことは難しいんだなって。
それを政治に強く携わっていたような方がそういうコメントされたので、結構僕の中では衝撃だったので…そういったところもあるんだなと思った次第です。
オフィシャルな総括があれば、みんなそれを基準に話せるのにな、と思いました。

吉村健佑
前田先生、ありがとうございます。
今ちょうど衆議院選挙が目の前で、かなりいろいろな立場でいろいろなコメントをされますよね。
なんと言うか、立場の違いを鮮明化するために結構激しいコメントが出たりしていて、その一部はおっしゃる通り的外れのような気がします。

前田陽平先生
やっぱり衆議院選挙におけるコロナの総括は「選挙のコメントだから」という側面がちょっとあるんでしょうけれど、やっぱり政治的ポジションありきの総括が目立つので、すごく残念だなと思って。
フラットな目線で総括してくれる人っていうのは、なかなかいないんだなあというところがあって、政治家がみんなそれで本音なのかな? というところもちょっとあって…もしこれが本音なら、すごく残念だなっていうところもあるので、なかなか難しいですね。

吉村健佑
今の点について、私も以前 Twitter スペースでコメントしましたけど、日本の病床が足りない・入院対応ができなくなったのは「医療者の頑張りが足りないわけでは全くない」ということを説明しました。
病床数に対する医師や看護師の数が極端に少ない、病床が多すぎるというところから端を発しているというふうに思っていて、流動性がなくてなかなか変形ができない、ないしは体制変更ができないという中での1つの困難ではないかなと思ってます。
峰先生、いかがですか?


【総理のご指摘「幽霊病床」は実在するのか?】

峰宗太郎
ここからちょっと皆さんのご意見を伺いたい、せっかく吉村先生の回で一番最適なテーマかなと思ってまして。

個人的なことなんですけど、明日・日本の今日の夜中に、日テレの深層News というのに出てお話をして欲しいということなんですが、一緒に出る人が舛添要一さんという方でちょっと不安を覚えております(笑)
そこでのテーマで、今回のようないわゆる「医療対策強化の骨格について、岸田総理が示したポイントについて」、ちょっとお話をしたいということを言われたんですね。

まず、岸田総理が挙げた1つが「幽霊病床の解消」ということを言われているらしいんですよ。いわゆるすぐ受け入れ可能として、コロナ用として申告していながら、実際は使われてない病床が多いんじゃないかっていう議論、これは散々されましたよね。
コロナ病床の申告病床については、8割以上の使用率がいつでもとれるようにすることを求める、ということを言ってるんですが、これについては妥当性ってどうなんですか?
そもそも幽霊病床って多かったのか? それとももうちょっと柔軟に対応できるような、実際補助金とかを受け取っておいてできてない医療機関が多かったのか、皆さん、どうお考えになっているのか実感として知りたいと思ってるんですよね。

吉村健佑
ありがとうございます。では吉村からコメントします。

「幽霊病床」という名前はさておいて…病床確保計画を、まだ第1波・第2波の非常に波が低いときに、フェイズ1・2・3・4と4つに分けまして、そのときに「どれくらいの病床数が供出できますか?」という問いを各医療機関に立てました。それで集めて集計したものを、各都道府県の最大限のキャパシティとしようと。
その際には、フェーズ4については、かなりもう蔓延が進んでしまっていて医療がほとんど提供できない場合もあるという状況の中で、どれぐらい最大限「箱」として提供できますか?というような聞き方で集計を行ったんですね。

確かにおっしゃる通り、実際に起こった8月の第5波を、第1波・第2波のすごく小さな波のときに想像できたかというとそうではない。または、それだけ事態がひっ迫したときにどれぐらいの医師・看護師を確保して、そこに投入することができるか? というところまでは、当時の聞き方としてすべてを想定できていなかったんですね。
なので、各医療機関は確かに、それで最大限もう本当にどうしようもなくなったら困るというようなことについて、ハードの面・病床の面で一旦数字を計上したというのは実際にあるんじゃないかなと思います。

実際にそうなってみたら、そこに勤務すべき医師や看護師が実態として不足する、ないしは他の平時の医療も止めきれないこともあります。そこで運用できない医療機関・病床も一部出てきてしまって、それが今の言葉で「幽霊病床」というふうに指摘されているんだと思います。
これは仕方ない面もやっぱりあるんじゃないかな、とは思うんですよね。

ですので今、改めて実態に沿った運用できる病床数、または平時の医療をどの程度抑制するのかということも同時にメッセージを出さないと、各医療機関は判断できないということになると思われます。
「平時の医療の抑制」というのも政府は明確にして欲しいんですが、事務連絡を見る限り、そこまでの具体的な情報がなくて。「実際のマンパワーと病床数を」というような言い方になっていて、医療機関側にとってみたら回答の難しい要求をされていると感じます。
これは施設や地域によって違いもあると思うのでそれぞれあると思います。
どうでしょうかね? お答えになっていますか?

峰宗太郎
Taka先生の意見が聞きたいと思ったのは、これ、重症病床については幽霊病床ってあったと思われます?

木下喬弘
重症については、ほとんどなかったと聞いています。
ただ私は、あんまり東京のことはわからないです。大阪は、多分ないと思うんですよ。
だけど、やはり補助金をもらってるけど使わなかった病床って結構あるみたいで、これはさすがにいかなる理由があってもナシかなとは思います。
厚労省が結構プレッシャーを掛けて多めの数字を出させたとか、みんな言ってますけど、なんぼ脅されてもすかされても、お金をもらっちゃったら、やっぱり診ないとダメなんじゃないかなと、ずっと思ってました。

吉村健佑
そうですね。おっしゃる通りで「空床確保料」をある程度受け取っていたんだけど、実態として実績が伸びなかった医療機関はあります。
それが「コロナに対して前向きじゃなかったとか」そういう問題なのか?
あるいは、単なる「平時の他の患者さんに対しての診療を提供していた」といったことで受けなかった、受けられなかったかということは、各病院にはやはり説明責任があると思います。そこはデータとか客観的な実績として提示していく、それで説明する必要はあるように思います。

今回までのところで振り返れなかった分については、「国が方針を出したのか、あるいは振り返りをしたのか」という先ほどの黑川先生の質問に戻りますが、まさに10月の事務連絡がそれに該当すると思うんですよね。

国は「こういう課題が各地域にありそうだから、それを各自治体で取りまとめをしてください」、それで出てきた結果について「検討過程から最大の助言・支援等を行っていく」と事務連絡中にて説明しています。
これから上がってくる都道府県からの確保計画に沿って、国は支援を行うということが対策だと説明しています。
峰先生、すみません。ちょっと話が逸れてしまった。

峰宗太郎
本当にいい議論というか情報で、助かります。

私も別に、これについてはあんまり舛添さんとやり合うつもりは全然ないんですが(笑)
他にちょっと追加で質問してよろしいですか?

岸田総理があげたのが、幽霊病床の解消以外で「国の権限をもっと発動、要求や要請を出してコロナ専用病床を作ることを促す」というのは、おそらく事務連絡にも関係してくるのだと思うのですね。

それから3つ目が「人材派遣計画」といって「いざというときに医師などが不足しないように事前に人材確保や配置調整を進める」ということを言ったらしいんですよね。
これが具体的に「どういうところからどう人を湧き出させるのか?」というのは、私には分かんないなと思って聞いていました。

最後に「自宅療養者への対応をできるだけ、かかりつけ医など地域の医療機関にもふる」ということを言ってたんですけど、これは皆さんどうお考えかなと思って。
いわゆる飲み薬やロナプリーブなんかがもっと広まってくれば、もちろん対応可能な部分はあると思うんですけど、何か体制として変わるところがあるのかなって。

この権限の発動とか人材派遣とか、地域医療機関が診るというところについては、第6波が来たときに、皆さんどうお考えかな? ということを、私もみんなと議論したいなあって、いつも思ってるんですけども。どうでしょうかね?

吉村健佑
なるほど。私からコメントさせていただきますね。
国の権限の話について、臨時施設の確保については、先ほど大阪の例などを紹介しましたが「必要なところは作りなさい」という簡単な話ですので、それを各都道府県が具体的に検討しますよ、というところが1つ目の答えです。
千葉県においても検討もされているということで、各自治体、波が高かったところ・蔓延したところは考えるかな、というのが1つ目。

人材の配置や確保は結構難しくて、医療機関等から派遣可能の具体的人員の登録を行うと。
これは都道府県において「医療機関等からの派遣の具体的人員の登録を行う」とか「派遣調整を行う体制を整備する」と事務連絡には書かれています。
各医療機関に聞いて回って、もし第5波みたいなのものが来た時に、どれくらいの方が、具体的にどなたが、これに協力していただけますか? ということをリストアップしておくということなんですけど、これは実際やるの大変だと思うんですよね。
これはどこまで進むかというのはちょっと見てみないと分からないですが、国はそういう作業を想定していると。

後はかかりつけ医による地域での在宅療養支援ですが、これはおそらく医師会の協力をきちんと得られるように、都道府県ないしは群市の医師会と協議をして連携しておきなさいと、そういうようなニュアンスじゃないかなと思いますが、いかがでしょうか?
他にも何かコメントありましたら。

木下喬弘
というか、やはり中等症以下はなんなりと医療提供体制の確立ができると思うんですけど、重症って無理じゃないですか?そんなんできるんですか?
「80歳以上はもう集中治療室で診ません」みたいな、そういう線引きがないと、要するに需要を抑制しないと無理だと思うんですけど。
だいたいが「時間外労働960時間上限じゃ無理やから、1,860時間まで行こうぜ」とか言ってる職業の人達の人員を増加させるというのは、普通に考えて「どうやるの?死ぬよ?」みたいな感じです。

吉村健佑
そうですよね。集中治療室って医師の人手だけじゃなくて「ユニット・チーム」ですよね。設備や、臨床工学技士、看護師も含めて1つの単位ですので、増やすことは急にはできないですよね。

木下喬弘
本当に集約化されている病院で、ハイケアユニットみたいなものを ICU 扱いにして内科のレジデントとかが戦力として入ってくれて、集中治療をやる人はリーダーシップだけ発揮してやればいいみたいな、そういう状況なんだったらまだあれですけど。
こんな、世界的に見たら中規模病院みたいなのが乱立してる国で無理ちゃうかな、とずっと僕は思ってるんですけど。

吉村健佑
おっしゃる通りですね。平時の医療体制の脆弱さがまさにそこで、準備の悪さというか、先ほど人員の薄さみたいな話もしましたが、そこが出ているのかなと思います。
おそらく重症者についての話は、また一巡してしまうかもしれませんけど、ワクチンの拡大によっておそらくそんなに多く発生することはないんじゃないかな、というのが現場の感覚だと思います。

谷口俊文
ベッドに関してなんですけれども、この期に及んでどうやっても診ていただけていない病院もあるわけですよね。
もうコロナが始まって1年半以上経つんだから、そろそろ診てほしいな、と思うような病院もたくさんあるわけで、そういった意味では、少し協力体制というか少しでもコロナの患者さんを診ていただけるような施策というのがあると、やっぱり僕たちとしてはちょっと助かるかなと思いました。

木下喬弘
それって東では重症でもあるんですか?
西はないと思うんですけど。

谷口俊文
重症って人工呼吸器とか ECMO とか、そういうのは多分無いと思いますけど、結局酸素投与のところが一番きついと思うんですよね。
千葉県は「ネーザルハイフロー」をいろいろな中規模の病院に配るという施策に出て、なんとか挿管回避をするというところにいっていたんですね。
それでかなり助かったところもあるんですけれども、やはり、そういった中でも酸素投与のところでも協力いただけなかった病院というのが一定数あるので、そういったところも広がればいいかなと、実はちょっと思ってます。

木下喬弘
中規模病院は本当に難しいですよね。

谷口俊文
難しいですね。

木下喬弘
この難しさを表現するのがめっちゃ難しいですけど(笑)

吉村健佑
うん、なるほど。

谷口俊文
でも中規模病院だらけなんですよ。
だから、そこが「できません。できません。」だと、もうにっちもさっちもいかないので。

吉村健佑
そうですよね。

峰宗太郎
ちょっと話を巻き戻しちゃっていいですか?
吉村先生と Taka先生にお伺いしたいんですけど、そういう中規模病院の課題があることは医療従事者はよくわかっていて、うまく誤解なく伝えることは大変だと思うんですけども。結局、重症病床のキャパを増やせないということに対して、国民の「何で増やせないんだ」というところの説明が足りてないとか、あとは「増やせないのは医療の怠慢だ」となぜか言ってしまう人がいるということもあって、結構いろいろと考えて変な方向へ進んでしまっている方が多いように思うんです。これを解消する方法って結局どう思われますか?
時間をかけて教育して、人をつくって、今後その能力・キャパシティを上げていくのか?
それとも、これはたまに起こる超緊急事態だったわけで、平時のことを考えると、あんまり冗長性を持たせすぎるのはあれなのか。
それとも、中規模病院を潰して大規模病院に統合したりするのがいいと思いますか?
どう考えられます? そこをちょっと僕が知りたいなっていうところがあるんですが。

木下喬弘
これは、私が言うとよく炎上するんですけど、医療政策の専門家ではなくて、現場の医師としての目線で言うと、もうやることは2つです。

1つは集約化ですね。
先ほども言いましたけど、中規模の病院をなくして大規模な病院で、医師10人で10個の病院で当直しているよりも「1つの病院で10人が当直を回す」みたいなことにするべき、というのは絶対に必要。
あともう1つは、医療需要の抑制ですよね。
はっきりいって、やらなくていい治療をやっているのは、ちゃんと厳しく切っていくっていうことをやらないことには、どうしようもないかなと思ってます。

吉村健佑
ありがとうございます。
その2点はおっしゃる通りですが、あともう1つ加えるならば、やはり集中治療医など計画的な育成というか。その方々の人数がまだまだ少ない転があって、チームのリーダーとして機能を発揮するにはまだ数として足りないと思います。
人材育成も当然入ってくるし、そのためには医師の専門医制度などから、診療科別の医師の計画的な配置を行うなどに踏み込んで行く必要がある。放っておいて増えるわけではないのです。医師の育成の仕方、専門医の育て方も含めてやらないと、体制としては整備できないと思います。

あとは、コメディカルに対するタスクシフトですとか、先ほど言った臨床工学技士などの育成も必要という気がしています。人の面もあると思います。

木下喬弘
全部 FULL 同意です。

峰宗太郎
これ、つまり簡単な話、日本は「医師余り」が来るとかいっていたのは結局嘘で、医師が足りてないですし、タスクシフトも全然うまくいってないっていう、平時の弱さが現れちゃったっていう面もあると考えていいんですかね?

吉村健佑
そうですね、峰先生。
「嘘」と言うとなかなか強烈なんですけど、、言い方としてやはり地域偏在や診療科偏在が大きく、今回この集中治療という分野を狙われたら、さすがに「確かにそこは薄かった」と言わざるを得ないと思います。それは峰先生のおっしゃる通りだと思います。
医師のタスクシフトを本当に進めるためには、各専門職団体との調整ですよね。そこが必要なのは間違いないかなと思います。
峰先生、どうでしょう。いかがですか? 今日の夜の日テレで話す内容は少し…。

峰宗太郎
僕は「過去に厚生労働大臣をしていた〇〇さんが悪くて人が増えなかったんですよ」とか言わないように注意したいと思います。
そこもすごく大事なんですけど、吉村先生の回なので少し延長してでもみんな楽しんでおられるので。


【やっぱり来る?それとも 来ない?「第6の波」】

峰宗太郎
もう1つ、最後にいいですか?
皆さんの意見を聞きたいんですけど、第6波は来ると思いますか?
いや、僕は来るとは思うんですが、来るとしたらどの程度の大きさがいつぐらいに来るんですか? って質問をされる方、多いと思いますよ。

ここについては皆さん「うーん」しか言えないですし、答えは「鬼が笑うよ!」だと思うんです。
だけど、どういうファクターが、どう第5波とは関わっていると捉えられて、どういうふうに皆さんが考えておられるかなって、今の所感を、皆さんの意見を聞いてみたいなって思っていたんですけど。
最後にこれだけよろしいですか?

吉村健佑
なるほど。いかがでしょう、皆さん。

木下喬弘
大したのは来ないと思います。
というか、感染者数の割に重症者数が少なくて、高齢者のブレイクスルーでどれだけ重症化するかにもよるんですけど、(ワクチン接種の)3回目が間に合えばもう逃げ切れると思ってます。

谷口俊文
私もブレイクスルー感染で感染者そのものは結構出るかもしれないですけども、重症者の数に絞って考えると、第5波とは明らかに違うような感じで少し楽になるんじゃないかなということで、Taka先生と全く一緒ですね。

吉村健佑
そうですね。だいたい波ってピークで4か月に1回くらいのペースで第1波から来てるんですよね。
なので、そこから単純計算ですが、8月から4か月後、つまり12月くらいに大きなピークが来る、その前の11月の半ばくらいから増加し始めて、目立つようになってきて、それが12月くらいに大きな波を迎えるタイミングのような気がしています。
あとは、患者さんの重症度については、軽症・無症状が中心であるということについては Taka先生や谷口先生と同じ意見ですね。

谷口俊文
やっぱり日本は世界から学んでいて、3回目接種の動き出しも少し早めになっているので、そういったところにちょっと優位性があると思うので、他の国みたいにワクチン2回接種が終わった国でまた感染者が爆増しているところもありますけれども、重症者に関しては同じようにはならないんじゃないかなと期待しています。

吉村健佑
そうですね。3回目の接種もありますし、もうすでに少なくとも1回打った人は増えています。
すごいですよね、これ10月15日のデータですけど、UK も超えて、今フランスと日本が同じ割合まで来ているということで、ここはすごく対応が出来てますから、重症化予防ですとか亡くなる方を減らすこと、それはもう間違いなく出来るんじゃないかな、と思っています。
峰先生、いかがでしょうか? 少し材料になりましたか?

峰宗太郎
もちろんです、皆さん同じ方向を向いてられるなと思って、僕もそことは大きくずれてないんですけど。


【「コロナウイルス感染症」という認知、いつ変わる?】

峰宗太郎
それで納得して「吉村先生の回、あまり延長しないで終わった!」と終わるかと思いきや、ちょっと最後にこれに関連してもう1個聞いていいですか?

そうすると、コロナに対する認知がいよいよ変わってくる局面に入るんじゃないか? ということが出てくるのではないか、いわゆる「コロナはインフルエンザと似たようなもんだ」とか「風邪に近いんじゃないか」という思考の転換をしていこうっていうところが、どっかで起きるかもしれないなと、僕もちょっとぼんやり考えています。

特に飲み薬、ロナプリーブなどがもっと一般的に開業医さんもバンバン使えるようになったりすれば、重症化はそもそもワクチンで防げるし、何か起こっても重症化をさらに減らせるよということになってくると。今ちょっと岸田総理が選挙モードってこともあって、ガンガン「もっと対策やるぜ」って言ってるけど、実はどっかで対策の手も全体も緩んで、認識が変わるんじゃないかと思ったんですよね。

そういうことが起こってくると皆さんもお考えになられるのか、そういう呼びかけみたいなもの、コロナは確かに大変だったけれど、一番極端な話は「マスク外せるの?」とか「元の世界に戻るの?」「インフルエンザや風邪になるの?」って質問に対して、皆さんだったら今の段階でどうお答えになるかな、ということも知りたいなと思っています。
あのこれ、結構漠然とした問いなんですけど、最近よく聞かれる事項でもあるんですよね。

吉村健佑
これはどうでしょうか?皆さんから。

木下喬弘
マスクだけです。
マスク以外はもう戻していって、大丈夫だと思っています。
今この狭間にやるべきは医療対策じゃなくて経済対策だとは思ってますけど、これはちょっとあんまり言ったら怒られそうなんでやめときます。

谷口俊文
私はちょっと別の意見を持っていて、モルヌピラビルだとかそういった経口の治療薬を開業医の先生から出せるようになった段階で、要するに診療所、いわゆる開業医の先生方が治療できるようになった段階で緩和は出来るのかな、というふうに思います。

なぜかというと、ワクチンを打ったとしても、やっぱりブレイクスルー感染で重症化する方もちょいちょいいらっしゃいますので、そういった方に対する対応というのが開業医レベルでできるようになるとだいぶ違うようになるのかなと思います。
そういった段階になったら、少しインフルエンザのような立場に「格下げ」じゃないですけどもしてもいいのかな、とちょっと思いました。

吉村健佑
私はやはり、季節インフルエンザと同じ扱いにして全数把握ができなくなる状況は避けた方がいいと思います。
国内でどれぐらい感染状況があるか? ということのモニタリングが必要だと思います。少なくともそこについての機能は残しつつ、ほぼ全ての方、多くの方がワクチンを接種し終われば、病態として重症度が下がる一般的な「Common Disease」に近づくというのは同じ意見です。

峰宗太郎
皆さん、しっかり考えてられるだけあって役に立ちます。
やはりモニタリングが必要ですよね。パンデミックが続いている間は、少なくとも国内のどこで発生したか? とかは把握できるようにしておかないと、何かあったときに対策も打てないですよね。
それから、谷口先生の感覚もすごくよくわかりまして、開業医レベルで重症化を抑えられるっていうことが現実的になってこないと、やっぱり認識は変えない方がよいのかな、緩めすぎない方がよいのかなと僕は思いつつもあります。

一方で、Taka先生の言うことも非常によくわかるので、温泉に行く時もマスクだけして温泉行こうかな? 裸でマスクだけしようかな? ってちょっと思いました。
ありがとうございます。すごく参考になりました。延長させてしまってすみません。

吉村健佑
ありがとうございます。めちゃめちゃ盛り上がりましたね。面白かったですね。

今日はこびナビの吉村が「波の合間ですべきこと」。病床の確保と、それに派生したいくつかの今後の対策の仕方、あとは病気そのものに対する疾患に対する考え方、そこも含めて皆さんと意見交換できました。

厚生労働省が出してるアナウンスメントで1つだけ、皆さんに紹介したいニュースを話しておしまいにしたいと思います。
厚生労働省健康局がCOVID-19 ではないんですけど、「HPVワクチン」の政策を前進させるために従事する医系技官を任期付きで募集しているようです。しかも募集人数5人という非常に大規模な人員確保計画を行っています。私も「お?」と思ってびっくりしたので、もしこれをお聴きの医師、ないしはそれに関心のある方は
  厚労省・大臣官房厚生科学科 
  電話番号 03-3595-2171
こちらに電話してぜひ応募して頂ければと思います。

最後ちょっと変なお知らせになったかもしれませんけど、自分も厚労省で働いてみて、これは「熱い」テーマの1つだなと思ったので、みなさんにアナウンスしました。

さて、時間を20分ちょっと過ぎてしまいましたが、今日のスペースはこの辺でおしまいにしたいと思います。
今日も1日頑張って仕事をして、少しでも対策を前進させて世の中を良くしていければと思います。皆さん、よい1日をお過ごしください。
最後までお聴きいただいてありがとうございました。
じゃあね、バイバイ👋


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