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8月時点でのアメリカの感染状況について議論しました(8月30日こびナビTwitter spacesまとめ)

こちらの記事は、2021年8月30日時点での情報を基にされています。
情報が古くなっている可能性がありますので、ご注意ください。

2021年8月30日
こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース
本日のモデレーター:木下喬弘


木下喬弘
🔥木々の葉が紅く色づき、空の様子が変わるとセーヌ川は新しい季節の光で輝きます。
秋はわたくしの住むパリが最も美しい季節ではないでしょうか?
この甘美な季節の小さな楽しみに身を任せてみてください。
皆様もモンマルトルの丘の楽しい夜祭りから優雅な豪華ホテル、マルシェで食べる喜び
そしてルーヴル「ぶじゅつかん」の豊かな遺産まで。
秋にぴったりなパリを楽しみに来られてはいかがでしょうか。
本日も始まりました。こびナビの医師と過ごす朝の優雅なひととき。

我々も毎朝飽きられないために必死でございます。
黑川先生、どうぞ。…黑川先生は落ちられました。
ええ…代わりにれおにいどうぞ🔥

岡田玲緒奈
ちょっとルーヴル「ぶゅじゅつ」館になっていましたけど(笑)

木下喬弘
夜中に酒を飲みながら付けたタイトルを朝、回収するっていうこの作業に必死なわけです、こっちも🔥

前田陽平先生
あー、なるほど。「朝の優雅なひととき」っていうタイトルを今のイントロで回収した?
わかりました。全く意味わかってなかったけど、ようやく今意味わかった。
そういうことね。

木下喬弘
伏線の回収はここまでです。

前田陽平先生
わかりました(笑)

木下喬弘
いちばん優雅っぽい名前の黑ちゃんがさっきから入ったり落ちたりしてますね。
あ、どうぞ前田先生。

前田陽平先生
いや僕、何も無いですけど。
とりあえず Taka先生は別にフランスに住んでるわけではないっていうことを一応補足しておきます。

木下喬弘
ありがとうございます。
これまったくの大噓です。
行ったこともないです。

前田陽平先生
行ったこともないんだ?

木下喬弘
行ったことないです🔥

前田陽平先生
わかりました👂

木下喬弘
というところで、このあたりを皆さんちょっと気をつけていただきたいと思いますけれども。
あのー、ご存じの通りですね、HPVワクチンの問題が大詰めになっておりまして。

▼「みんパピ!みんなで知ろう HPVプロジェクト」HP
https://minpapi.jp/

今お聞いていただいてる皆さんの中でもおそらく署名にご協力いただいた方もおられると思います。
もしですね、もし私をフォローしていながらも、まだそれに協力していないなんていうふとっ…いやそういった方がおられましたら私のツイートを少し遡っていただけると「HPVワクチンの積極的接種勧奨の再開を求めます」というツイートが出てきますので…

前田陽平先生
ばりすた君が手を挙げていますけれど、まさかまだ署名していない…?

ばりすた先生
いや違います☕
あの…「しましたよ」のアピールですこれは。

木下喬弘
ちょっと今から removeしようと思います。ばりすた先生🔥

前田陽平先生
すごいですよね。あっという間に5万人集まって。

木下喬弘
ありがとうございます。本当に。
誰とは言わないですけど、どこかの政治家の秘書さんが今署名を印刷してるらしいんですけど、1晩かかったらしくて徹夜させてしまいました。
あと、これは先に皆さんに言い訳させていただきたいんですけど、Change.org は署名した人の一覧をリストでダウンロードできるんですけど、直近24時間はリストに反映されないらしいんですよね。言ってる意味わかります?

前田陽平先生
わかりますわかります。

木下喬弘
つまりですね、今日の11時ぐらいの最新データをお渡ししに行こうと思ってたんですけど、そうすると昨日の11時以降の人は名前は載らないみたいな感じになっちゃうんですよ。
ですからそれらは後から送ります、と先に昨日11時までのリストを渡して、最新の人数は表紙にして送らせてもらおうと思っています。
さっき説明させていただいた通り、昨日の朝の時点でのリストを一旦送ったら秘書さんが徹夜しないといけないレベルだったので。全リストよりはちょっと少ないです、すみません。今から更に追加で送ってずっと印刷させるわけにはいかないんで。
頂いたお名前の最後の方は加藤官房長官と田村厚生労働大臣のところには、後から行くと思ってください。

というところで、そんな話をしつつ本題に行きます。


【感染者急増!? 今アメリカで一体なにが起きているのか!? 真相に迫る!?】

木下喬弘
本日は「アメリカやべえぜ」っていう話をちょっとシェアしたいと思います。
この話をするのにも関わらず、こびナビのアメリカ勢が入ってこない。
私は今アメリカに居ないのでアメリカの現状わからないんですが、データで見るアメリカを語っていきたいと思います。
みなさん、お気づきでした?
前田先生知ってました?アメリカやべえぜっていうのは?

前田陽平先生
薄々と漏れ出てくる情報からはちょっと感じますよね。

木下喬弘
そうなんですよ。
実は7日間平均で見て1日あたりの感染者数が1番多かったのは今年の1月9日ぐらいなんですけど、この時の1日あたりの感染者数がどのくらいか知ってます?
ざっくり規模感でわかる人ますか?
署名しなかったばりすた先生、どうぞ。

ばりすた先生
いやすみません。ちょっとチェックしてないんでわからなかったです。ごめんなさい。

木下喬弘
これ実は26万人ぐらいですね。
7日平均で25万9,000人というところだったんですけれど、これが lockdown や何やかんやで2月ぐらいには下がってきて6、7万人ぐらいでプラトー(plateau・安定期)に達したんですね。
そこからワクチンの普及が進むにつれ、更にぐっと感染者数は減っていまして、今年の6月くらいに1日あたりの感染者数が1万人ぐらいという時期が1ヶ月ぐらい続いていました。
25万人が1万人に減って、ワクチンヤバいじゃんみたいな感じだったわけですよ。

しかし7月に入って再度急上昇してまして。
これは「まあまあなんかちょっとやっぱ上がるよね。デルタ株流行ってるし感染増えるのは当たり前だよね」みたいな、そんな感じのノリだったんですけれども。これが留まるところを知らない急上昇をずっと続けております。なんと1日あたりの感染者が15万人まで戻ってきました。これ結構びっくりする値です。
1日あたり15万人とは、アメリカの人口がだいたい日本の3倍なんで日本でいうと5万人ぐらいなので、結構な数の感染者が毎日出ているという状況が続いてしまっていると。

その頼みのワクチンなわけですけれども、感染者数が増えてくるのはまあ予想通り。
じゃあ入院患者数とか死亡はどうなんだ?という事ですが、これも増えてるんですね。
1日あたりトータルの入院患者数の7日間平均が最大だったのは、感染者のピークと大体同じぐらいで1月中旬でした。13万人位だったのが最低で1万7,000人ぐらいまで減ったんですけど、再度急上昇して今は10万人まできています。
実はエピカーブ(epidemic curve:流行曲線)というか、感染者数のトレンドと入院患者数のトレンドを両方とも見ていると、これほとんど同じ形をしています。ですからイギリスの様に、感染者数が増えてるけど全然重症者数がいないという事にはなっていません。イギリスの最新のデータを見ていないのであまりいい加減なことを言うのは良くないんですけど、アメリカの入院患者数に関しては、もうはっきりと同じような形のトレンドを示しています。

死亡に関しても急上昇してますね。
これは今年の1月中旬から下旬がピークで1日あたりの死亡者数の7日間平均が3,000ぐらいだったものが、今は1,000人を越えてきている。この山のピークがどこまで行くのかはわからないところです。

死亡者数の増加は当然感染者が増えた後に起きてくる出来事なので、どれだけ増えてくるのかは分からないですが、アメリカはかなり死亡も増えている。
端的に言うとアメリカはパンデミック再来みたいな状況になっているわけですけれども、峰先生はアメリカに住んでいて肌感覚としてこの辺りいかがですか?

峰宗太郎
いや、本当にその通りですね。
私はメリーランド州の Montgomery county に住んでいるのですが、一時期、新規感染者数が1日2人とか3人とか15人とか、そういうレベルになってたんですね。
「もうこれで職場が再開する」と思っていたら、新規感染者数が100人とか115人とか出るようになって、昨日なんか500人とか出てるんですよ。

木下喬弘
500ですか?

峰宗太郎
そうなんですね。
10万人ちょっとの都市でこんな状況なので、あっという間に今立ち上がりが来てしまって。
また引き締め直さなきゃいけないのに街の様子は全然焦ってなくて。
マスクしてる人全然いないし、なんかヘラヘラしてるんですよね、多くの人が。
だけどテレビとか、それから呼びかけ、いわゆるメールも政府職員向けに来るんですけど、「しっかりマスクし直せ。ワクチン打ったか確認しろ」みたいなのが連発されるようになってきて、ちぐはぐな感じです。
公衆衛生当局はかなり気にしているし、郡の郡長と言うんですかね? 市長というか mayorも「頑張ってみんなで距離を取りましょう。マスクしましょう」と言ってるし、実際数字も surge しているのに街は緩み切ってるっていう、なんか不思議な状況なんですよね。

木下喬弘
ありがとうございます。
これはずっと言ってることですが、アメリカっていうのは国が47個あるような…47じゃないか、日本の都道府県だった、失礼しました。
50あるようなもんなので、まあ全然州によって違うわけですよね。
峰先生が住まわれているメリーランド州というのは基本的に blue state(民主党支持層が多い州)なのですが、これが逆に共和党支持層が多い州であるとか、非常に拮抗している州というのは、話が全然異なってくるわけです。

最初の私のツイートにニューヨーク・タイムズの「Coronavirus in the U.S.:Latest Map and Case Count」というページをご紹介させていただいています。

▼Coronavirus in the U.S.: Latest Map and Case Count
https://www.nytimes.com/interactive/2021/us/covid-cases.html
出典:The New York Times 2021/8/29

これは heat map(データの値を色の濃淡等で表した可視化グラフ)になってるんですよね。地図上のどこで感染が広がっているかが一目瞭然です。
非常にデータの可視化に優れた、一新聞社でこんなことやってるなんてえぐいなっていう話なんですが、それを見ますと圧倒的に右下の所の色が濃いんです。どういう所かというと、フロリダ・ジョージア・ミシシッピ・ルイジアナ・アラバマ・テネシー。ケンタッキーは少し上になりますが、その辺りの州が圧倒的に群を抜いてやばいと。
あとは、真ん中の方でワイオミングとかが少し色が濃い。それから左上の北西のオレゴンとかワシントン、そのあたりの州も少し感染者が増えているのが気になるところですね。

今日の話題はフロリダが中心になるんですが、フロリダはなんと10万人あたりの感染者が106人ということで、しかもまだ増えている。入院患者数に関しても全州の中で1番多くて79人になってきていて、かなり苦しい状況になっている。
1日あたりの対10万人感染者数でトップの州はフロリダ・ミシシッピ・ルイジアナですけど、やっぱり。これら上位に来てる州は概ね Fully Vaccinated(2回接種終わって2週間経った人)の割合が半分切っています。
一方で下位の方を見てみると Fully Vaccinated の割合が60%を超えていたり60%に近い州が多い。代表的な州は、メリーランドがかなり優秀で下から2番目ですね。1番下がメインなんですけど。

峰宗太郎
いや、本当にね、このメリーランド住んでていいなと思うのは、ワクチンのキャンペーンっていうのは、そんな仰々しくやってるわけではないんですよ。
ですけども、進んで接種を受けている。
まあもちろん宝くじはやってるんですけれども、やっぱり若い人にも打たせたいという方が多いということもあります。日本と同じように接種枠へ結構行列ができたりしています。
そういう意味でやっぱりここでの空気感は本当に Pros ワクチンという感じがしますよね。

▼Maryland gave away $2 million in a vaccine lottery to boost vaccinations.Did it work?
https://www.washingtonpost.com/local/covid-vaccine-lottery-maryland/2021/07/30/0081d91e-eb0d-11eb-8950-d73b3e93ff7f_story.html
出典:The Washington Post 2021/8/1

木下喬弘
なるほど。
ここで下から順番に見て行きますとメイン・メリーランド・コネチカット。ミシガンだけはちょっと空気感が違う州ですが、 Fully Vaccinated が50%で下の方にいます。
あとはニューハンプシャー・マサチューセッツ・ニュージャージー・バーモント・ニューヨーク、この辺り僕の住んでるマサチューセッツの周りですけれども、空気感としてはかなり近いところでワクチン接種率も高く、現在の感染者数も比較的低い州ですね。
結構2極化している状況です。
本題のフロリダの話に入って行きたいと思いますが、その前に登壇の先生方から何かありますか?

前田陽平先生
結局今の段階ではデルタといっても基本的にはやはりワクチンを打ってない方の間でどんどんうつしあっている状況だ、と考えられるんでしょうか?
そう考えられるデータ的なものがあるのかなという?

木下喬弘
今いろんなデータが出ていますけれどもフロリダについてはこの記事に出てくるデータだと Fully Vaccinated が50%ぐらいですが、入院している人は90%以上がワクチンを打っていない人です。
もちろん原理的にはワクチン打ってない人と打った人を比較すると、打った人の方が感染しやすいなんてことは考えられないわけですから。
そういったところも考えて、基本的に打ってない人の間で広がりやすいのはその通りなんですけど、打っている人の感染拡大に対する寄与割合がどの程度かというのは定量的に評価するのはちょっと難しいかなと思います。

前田陽平先生
無茶苦茶誠実なお答えありがとうございます。
やはり入院とかになってるような方は、少なくともワクチンを打ってない方の方が圧倒的に多い、というデルタに関してよく言われていることが、実際裏付けられるようなものがあるっていうことですかね?

木下喬弘
まあそうでしょう。
峰先生どうぞ…あれ消えてった。こういうハプニングも…

ばりすた先生
いいですか木下先生?

木下喬弘
どうぞ。

ばりすた先生
さっきマスクをしてない人がいるという話だったんですけど、やはり日本だとワクチンしてもほとんどの人がマスクしてると思うんですけども、アメリカは「打ったらもうマスクはしなくていい」という雰囲気になってるんですか?
前提として、その空気感や慣習の違いをお聞きしたいのですけれども。

木下喬弘
感染者数が激減したタイミングで CDC がワクチン接種を進めるために「ワクチン2回接種者は外でマスクしなくていい」「屋内でもマスクしなくていい」という方針を出しました。
それに州政府が「ワクチン打ってるとマスクしなくていいですよ」と少しずつ追従していって、各州や市でルールをどんどんつくっていった。
その結果感染者が増えてきているところで、後戻りするのが難しくなった。一度緩んだ空気を締めるのが難しい感じになっていて、ルールを作っても人が従わない、と。そういう問題が起きてるというのが私の理解です。

ばりすた先生
ありがとうございます。
もともとマスクをする習慣が無いのに加えて、ワクチンを打つことによってマスクしなくてもいいというインセンティブを一回働かせちゃった。そういう背景があるということですかね?

木下喬弘
まあそんな感じだと思います。

ということでフロリダの話に行きたいと思います。
このニューヨークタイムズの記事ですね。めちゃくちゃ長いんですが、まあざっと見て行きます。


【フロリダの何がいけないのか!?】

▼What Went Wrong With the Pandemic in Florida
https://www.nytimes.com/2021/08/28/us/florida-coronavirus-covid-19-vaccines-variant.html
出典:The New York Times 2021/8/28

ええ、タイトルがですね。なんだっけ?
「フロリダのパンデミックで何が悪かったのか」というふうなタイトルの記事になってますね。
最初に「予想していなかった。しかもまだ歓迎できないコロナウイルスの急上昇が アメリカ全体で起きている」と。
その中で、先ほどひまみみ先生もちょっとおっしゃってましたけど、ワクチンの導入が遅れていた州で最も大きな打撃が起きている話が出ています。
この後しばらく出てくる話としては、フロリダの話題で「フロリダ州の行政責任者達はロックダウンとかマスクの着用の拒否をしている一方、高齢者を中心にワクチン接種を優先する政策をとってきた」と。

フロリダ州の governer(州知事)の Ron DeSantis 氏は大規模な接種会場を作ったり、あるいは retirement communities (高齢者が集まって街を形成するコミュニティ)とか nurshing homes (高齢者向け養護施設)にワクチンを接種する人を送り込んだりして対応していた、ということなんです。

しかし一方で、フロリダは暑い夏になるとエアコンが効いた屋内に集まるので、感染者が増えるという予想はしていた。
しかし 「実際起こった事はもっと、もっと酷い。感染者数が激増して過去最高の感染者数になって入院患者数も死亡者数も増えている状況である」と説明がなされてます。

フロリダは比較的、ワクチン接種率は壊滅的っていうわけではありません。
先程の記事では州ごとの対10万人あたり感染者数で2番目に高いミシシッピなんかは Fully Vaccinated は38%しかいないんですけれども、フロリダは52%で大体全米平均ぐらい。
それらを考えると、ここまで酷いことになるはずではなかったんですけれども、実際にはかなり感染が広がってしまっている。

ワクチンのおかげで入院が必要な患者さんが減っているというのは明らかですけれども、一方で DeSaint 州知事は「人々が期待していたような集団免疫効果は得られてない」ということを言っています。

現状日本も厳しい状況だとメディア等で伝えられていますが、「なんで日本はこれぐらいの感染者数で医療崩壊してアメリカは全然していないのか」みたいなことを書かれることもあります。これは全然そんなことはありません。アメリカの遺体安置所とか火葬場は完全に満杯になっている。

Tampa county の Orlando はウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートがある所ですが、そこの公共施設が住民に水の使用を控えるように要請しているんです。

▼Orlando residents are asked to cut back on water usage as the virus surges in Florida
https://www.nytimes.com/2021/08/21/us/orlando-coronavirus-water-usage.html
出典:The New York Times 2021/8/20

水を処理する時に液体酸素を使用するのですが「病院で使用する分の液体酸素を確保する必要があるので水を使うな」ってことまで住民に言い出してるそんな状況なんです。

「アメリカとかヨーロッパは医療崩壊しなかった」なんてことは完全に嘘で「医療崩壊は感染拡大初期しかしなかった」っていうのも嘘です。今年の1月ぐらいにカリフォルニアでも酸素ボンベが足りなくなるみたいなこともあった。今フロリダでも「酸素が足りないから普通に住んでる人は水を使わないでください」という話が出ているということは、知っておいていただければと思います。

どうしてこのような状況になったかの解説が若干されてるんですが、ちょっと長いので飛ばし飛ばしいきますが、結論から言うとちょっとよくわからんと。
1つ大きな要素としては、フロリダは自然感染が比較的少なかったということが挙げられています。1月くらいは結構感染者が増えたんですけど、フロリダは暖かいので冬の感染拡大がほかの州に比べるとまだマシだった。マシだったので「ワクチン接種者」+ 「感染によって免疫を持っている人」の合計でみると実はやっぱり高くないんじゃないか?みたいなことが少し書かれています。

もう1つ。
この記事の中で書かれていることで衝撃的なのが、途中で出てくるグラフの死亡がフロリダは明らかに増えている。
65歳以上のデータですが、2015年から19年の週当たりの平均死亡者数がだいたい3,000人ぐらいなんですね。冬の方が人って亡くなるので3,500人とか3,200人から3,300人ぐらい。夏になると2,800人ぐらいになるんですけれども、今年の1月頃は5,000人を超えたりしてずっと超過死亡がみられているんです。
それが今年の6月に少しましになって3,200から3,300人ぐらいにまで落ち着いてきてたんですが、それがまた一気に増えてきて、今は4,000人を超える状況になっています。
夏の時点で4,000人を超えるのは、普段の平均的な死亡者数の1.5倍ぐらいになっていると。
ということからも、これは明らかにコロナで死亡してる人だけではなくて、ほかの疾患で死亡してる人も増えているという状況になっています。

さらに65歳以下の年齢層で見ても、だいたいコンスタントに亡くなる人は1,000人ぐらいなんですけれども、それがもう1,500人ぐらいになってる。若い層でも超過死亡が増えているということで、フロリダは悲劇的な状況になっているという話が出ています。

その後はいくつか個人的なエピソードが出てきます。
「心が痛むような子供の死は依然として稀である」。
ただし「若年者中年層の死亡がもはや routine になっている」という結構厳しいことが書かれています。

その後50歳のお母さんでお子さんが3人おられる方が、ワクチンを恐れて接種を拒否して感染して亡くなったエピソードが書かれています。

ということでフロリダはかなり厳しい状況になっています。
一方で学校でマスクを義務化する事に対して知事が反対していたり。
そういうごたごたした状況の中で、どこまで感染者が広がるのか、どうやって収束するのかというのが見えないかなり厳しい状態になっているという話なんです。

アメリカは、ワクチン接種率がやっぱり伸び悩んでまして。
日本はもうすぐとはいわないんですけれども、全体に見てもほどなくアメリカの接種率に追いつくぐらいになっていると思います。実は日本はミシシッピーとか接種率の低い州をもう追い越しています。

ただその程度のワクチン接種率では感染は全然制御できないどころか、入院・死亡の割合も全然制御できない。(日本でも)コントロール不能な状況に陥るいうことが、先行事例として、アメリカ、特にフロリダのケースを見ているとわかるということなんです。

え〜…私が喋ってるとだんだん人がいなくなってしまいましたけれども…
前田先生、何かコメントいただけますでしょうか?

前田陽平先生
フロリダみたいなところって、観光客も多いですよね?
日本でも沖縄は制御がめちゃくちゃ大変じゃないですか? それと同じような背景っていうのもあるんですかね? そういったあたりも書かれているんですか?

木下喬弘
ちょっとだけ触れられてましたね。
まあ、それがどこまでの要素なのかはちょっとよくわからないですね。

前田陽平先生
フロリダは僕も一度だけ行ったことありますけど、全体的にやっぱり開放感のある土地だからやっぱりそういう面もあるのかなと思っていたんですけど。
やはりワクチンを打つしかないということですね。

木下喬弘
そうですね。
結論として「ワクチンを接種すべきかどうか?」という点にはもう疑問の余地がなく、
デルタが出てきてからは「ちょっと接種を考えたほうがいいですよ」なんて言ってる場合じゃないと僕は思ってるんですけれども。
日本でも、ワクチンを打つことを前提にした状態で、どこまで感染対策をやらないといけないのか? ということを、これから考えていかないといけないと思っているところですが、これは結構難しい話ですよね。
ばりすた先生いかがですか?

ばりすた先生
先生がおっしゃった通り、やっぱりワクチンありきでどう感染対策を進めていくかというのが感染者数の伸びに関わってくるんだろうと思いながら聞いていました。
ニューヨーク・タイムズの写真も見てましたけど、先生がおしゃっていたように結構開放的で。カフェとかでもみんな普通にノーマスクでしゃべっている雰囲気があります。ワクチン打った人たちなのかもしれないですけど。
今の日本の現状からいっても、ワクチンを打っても引き続き感染対策続けてくださいという空気を感じますし、僕も個人的に患者さんとはそういう話をしてます。
そういうコミュニケーションを引き続き取っていくべきフェーズなのかなと思いながら聞いておりました。

木下喬弘
ありがとうございます。その通りですね。

僕は、若い世代のワクチン接種に対するインセンティブは絶対必要だと思っています。
一番はやっぱり「元の生活を取り戻せる」っていうことだと思うんですけれども。それがすぐにできないとなったら「もうそんなんだったらワクチン打たなくても一緒じゃねーか! 何のために1日から2日間副反応で苦しまないといけないんだ」みたいなことになる。
さらにゴールポストが動かされている感っていうのが、このデルタ variant で非常に感じるところなわけです。

そうはいっても、一応人類には3回目の接種という希望もあって。
3回目接種を多くの人にすることで再度 herd immunity (集団免疫)を達成できるんじゃないか? という点も、言葉は悪いですがチラつかせつつ、みんなで接種率を上げていって、最終的に感染を収束させる方向に向かっていけたらな、と思います。
それまでの間は、結構長い間感染対策を続けないといけないことがだいぶわかってきたのではないかなと思っています。

まあというところで、本当にあっという間にスピーカーがいなくなりまして。
でもリスナーの皆さんは1,885人も聞いて頂いていますね。どうもありがとうございます。
というところで今日の話は、この辺りにさせていただきます。


HPVワクチンの積極的勧奨に向けた署名を届けました!

木下喬弘
冒頭でもお伝えしましたけれども、皆さんのご協力のおかげで HPVワクチンの積極的勧奨再開を求める署名が5万人を超えました。本日「みんパピ!」代表の稲葉先生(稲葉可奈子先生)が加藤官房長官と田村厚生労働大臣に4時頃お渡しに行きます。

▼みんパピ!代表理事 稲葉可奈子先生
https://minpapi.jp/staff/

▼「HPVワクチン積極的推奨再開を求める皆様の声を厚労大臣・官房長官へ届けました」
https://twitter.com/kana_in_a_bar/status/1432261130282438658?s=20
2021/8/30

メディアの方にも広くお声がけして、様子を見にきていただけるという方がたくさんおられますので、夜のニュースではちょこちょこ出るんじゃないかなと思います。
※本件はすでに終了しています。

HPVワクチンの勧奨の再開に向けてもいろいろやっておりますので、引き続きご後援を…なんか最近、ちょっと話すことが政治家じみてますけど…バックアップしていただければと思っております。

本日のこびナビの医師と過ごす朝の優雅なひとときはこのあたりで終わりにさせていただきます。ご登壇いただいた…あれ…ばりすた先生しかいなくなっちゃいましたけども、ありがとうございました。
そしてお聞きいただいた皆さんもありがとうございました。
それでは日本の皆さん良い一日をお過ごしください。


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