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変異ウイルスδへの予防策、アストラゼネカワクチン、科学的に正しい情報への向き合い方について(7月1日こびナビTwitter spacesまとめ)

※こちらの記事は、2021年7月1日時点での情報を基にされています。※

2021年7月1日(木)
こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース
本日のモデレーター:峰宗太郎

【「蝉チョコレート」はどんな味!?】

峰宗太郎
おはようございます。
ちょっとここでバラしちゃいますけど、この前安川先生とチョコレートを食べたんですよね!

安川康介
チョコレート食べました。

峰宗太郎
どんなチョコレートか、ちょっと簡単な説明だけしていただいてもよろしいですか?

安川康介
これはですね、この地域で、17年に1度しか食べられないチョコレートで、実は周期ゼミをチョコレートでくるんだお菓子を峰先生に購入していただいて、2人で食しました。
※編集注:
13年または17年毎に、世代通り正確に成虫になり、発生するセミの総称。数十億匹が一斉に地表に出るといわれる。13も17も素数なので「素数ゼミ」とも呼ばれる。

峰宗太郎
どうでしたか?安川先生、感想は?

安川康介
なんていうんですかね……チョコレートがダークチョコレートでその味がメインだったんですけど、「意外といけるな」って思いました。
セミ自体の味はそんなになくて、なんか乾いた豆の殻みたいなのを食べているような感じで、歯にちょっと引っかかる感じはあったんですが、味自体は美味しく高級チョコレートをいただきました。

峰宗太郎
ありがとうございます。そういうことですね。
僕も歯に羽が挟まってちょっと気持ち悪かったんですけど(笑)
あまり感想は……この話題は気持ち悪くなっちゃう方もいると思うので、この辺にしておきたいと思います。


【「変異ウイルスδ」にも予防策は同じ】

今日は具体的にこのニュースっていうニュースは用意していません。
この1週間、まあこの前もそうだったんですけれども、この1週間いろいろな動きがありました。

僕が注目している話、最近になってもまだ、変異ウイルスの話が結構出ていますよね。注目すべきは当然みなさん大好き B.1.617.2 デルタというやつですね。
δ(デルタ)、インドから広がり……というものですけど、日本でも結構パーセンテージが上がってきています。これは分科会・アドバイザリーボード、日本の専門家も、伝播性が上がってるから今後割合も上がっていくだろうし、接触の機会が減らなければ、感染が今までよりも速いスピードで拡大する可能性があるということを言ってます。
アメリカのファウチ博士も言いましたし、もちろんイギリスでは今広がっていて警戒している、イスラエルでもデルタが中心になって、若い方中心でワクチン打ってない方の間で広がっているということですね。

変異ウイルスがまだ話題なんですが、変異ウイルスについては、よく我々こびナビの岡田先生も言っていますけど、あまり個々人で一般の方があまり気にしすぎる必要はなくて。しっかりです、しっかりですよ!これが大事なんですけど、予防策をとっていただいて、接触を避けていただくということを続けていただいて。とにかく「うつりやすい状況を作らないことが一番大切だ」というところをみていただきたいな、と思っていたニュースが一つ目です。


【アストラゼネカ社のワクチンについて知っておきたいこと】

それから私がちょっと注目してたのは、アストラゼネカ社のワクチンですね。
アストラゼネカ社のワクチンは、今までこびナビでもあまり扱っていません。
Q&A で今回のバージョンに更新したときにかなり議論をしまして、安川先生中心にまとめて、新しくアップロードしていただいたものではちょっと触れています。

日本で今日もバンバン打っている mRNAワクチン、ファイザー・ビオンテック社と、モデルナの輸入元が武田のワクチン、これははっきりいってスーパー高性能なワクチンなわけです。効果が非常に高い、そして高い安全性もかなり保たれている、というか、最も高いといってもいいくらいです。

そういうワクチンに比べると、やはりウイルスベクターワクチンは若干性能が劣るということを、私も昨日ちょっとテレビに出て、今日の朝も実は収録で出てたようなんですけれども、述べています。
これは事実でして、あまり公共の放送とかツイートとかもちろんこびナビでも触れてはいないんですけれど、歴然たる事実、客観的事実、ファクトとして科学的根拠をもって言えるのは、やはり各テクノロジーごとにワクチンの性能が差があるということと、会社によって差がある。
当然、デザインも違うわけですから、全く同じワクチンであるということをいうと、これは嘘になるわけですね。

そういう中で、今長々と紹介した mRNAワクチン2つは非常に性能がいい。それに比べると、ウイルスベクターワクチンはちょっと劣るんですね。
やはり発症予防効果が劣りますし、実は mRNAワクチンであるファイザー社のワクチンは、一番情報公開されているといっていいんですね。
多くの研究がなされていますし、多くのデータがあるということで、他のものはちょっと不透明なところもあったりします。感染予防効果がどのぐらいなのかという推定がなかなか難しかったですよね。
特に変異ウイルスについてどのぐらい効くか、ちょっとわかりにくいとかファイザー社以外のワクチンではいろいろあるわけです。

そういう中でやはりアストラゼネカ社、ジョンソン・エンド・ジョンソンといったウイルスベクターワクチンについては、効きがちょっと悪いんじゃないかというような話は当然あります。
安全性に関しても、副反応として出てくるごくごく稀ながら起こる血栓症のような問題があったり、毛細血管から液体やタンパク質が漏れ出す毛細血管漏出症候群というのは、実際アストラゼネカに記載されたりという動きもあったりします。
例えば、カナダは NACI(National Advisory Committee on Immunization)というワクチンの推奨機関、アメリカの ACIP(Advisory Committee on Immunization Practices)や日本の予防接種部会のような推奨を決めるところですが、ここが「基本的にアストラゼネカ社のワクチンを1回打ったあとは、2回目は mRNAワクチンを打ちましょう」と強くレコメンドするという意志を出した、ということを、この前もちょっとお話いたしました。

これは文化人放送局で Taka 先生と話をしたんですけども、基本的に2回ともウイルスベクターワクチンでいくよりも、mRNAワクチンを混ぜるとどうか、ということがちょっと検討されていたわけですね。
そこに関してオックスフォードから今週新しい研究結果が出ました。
これはまだ *Effectiveness や Efficacy をみているものではなくて、抗体がどのぐらい上がるかという in vitro、つまり試験管内での実験、研究室内での検討の結果なのです。

※参考:
Meeting highlights from the Pharmacovigilance Risk Assessment Committee (PRAC) 7-10 June 2021
https://www.ema.europa.eu/en/news/meeting-highlights-pharmacovigilance-risk-assessment-committee-prac-7-10-june-2021
出典:EMA(欧州医薬品庁) 2021/06/11

アストラゼネカを2回打つよりも、アストラゼネカを打ってからファイザー、またはファイザーを打ってからアストラゼネカがいい。抗体価も反応が高い、抗体価も高くなるということがわかって、もっといいのはファイザーを2回打つものだということがわかったということですね。

*実社会で実際に接種した時の日本語でいう「効果」について、英語では次の3種類があります。
<基礎研究の観点から>
immunogenicity
免疫原性。臨床検査上は中和抗体ができているか、どの程度出来ているかなどで測る生物学的反応の効果。
----------------------- 
<疫学の観点から>
efficacy
臨床試験(ランダム化比較試験)で検討し判明した効果。 
effectiveness
実社会で実際に接種した時の効果。

今イギリスでワクチンを打った方はもう60%を超えて、1回打ち・2回打ちの問題もありますが、アストラゼネカ社のワクチンを使っている方で、ちょっと「変異ウイルスに対して効果が薄い可能性もある」ということで、副反応の件も合わせまして、交差接種といいますかインターチェンジャブルなものを探して、安全性はどうか? 効果はどうか? 確認するということをやり始めています。皆さんには、この事実があるということを知っていただければなと思っております。

日本ではアストラゼネカを1回目に打つことありませんので、今のところ関係ない話ですけど、承認はされていて、場合によっては使われる可能性もあるので、ちょっと知っておいていただきたいなと思っています。

※編集注:
2021/8/3現在、アストラゼネカ製ワクチンは40歳以上の方々限定で公的接種に追加されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_astrazeneca.html

この2つが私の中でちょっとホットだったんですけれども、今週のほかにホットなことは何かあったか、ちょっと皆さんに聞いていきたいと思うので考えてください。
シンキングタイム……安川康介先生が早かった!
今週は何が注目ですか?

安川康介
今週僕は(笑)
前もちょっと話したんですけれど、やっぱりデルタが注目されているなということがありまして、アメリカでも20%ぐらいになってきちゃってるんですよね。
ただ、重要なことは「今感染している方とか亡くなる方のほとんどがワクチン接種してない方だ」というのが、ニュースサイトがまとめた情報ですとか、ロサンゼルスの情報とかで出てきていてます。変異ウイルスはあるけれども、やっぱりワクチンを受ける重要性っていうのは変わらずあって、ワクチンを受けている人は明らかに変異ウイルスにもかかりにくいということがあるのかなというふうに思います。
デルタが追跡ミサイルのようにワクチンを打ってない人にめがけてやってきているみたいなツイートしている人もいました。

峰宗太郎
なるほど。追跡ミサイルの例えはちょっとよくわかりませんけども……素晴らしいですね。
では次は黑川先生、何か注目されているニュースはございますか?

黑川友哉
そうですね。私はランセットという医学雑誌に掲載された、アストラゼネカ社製のワクチンのあとにファイザー社製ワクチンを打ったら、抗体価上昇がちゃんと得られるよという、第2相試験の結果ではありますけど、今までとあまり懸念は上がってないですよというあの論文は私は注目してたんですけど、言われてしまいました(笑)

あとはここ1~2週間で河野大臣のブログの影響をあってか、こびナビもよく出るようになったな、とありがたい気持ちですね。
それと同時に、ウェブサイトにお問い合わせが非常に増えていて、その中にやっぱり「こういったデマが流れていますよ」というような情報共有いただける。それはありがたくはあるんですけど、増えてるのは残念なことだなと思って、1週間見ているところです。

峰宗太郎
ありがとうございます。
その話をちょっと後半でしようかなと思ってるので、ちょうど振りとしてありがたいです。谷口先生、何かございますか?

谷口俊文
アストラゼネカのワクチンがどうなるか? ということで、すごくモヤモヤしている1週間です。
アストラゼネカのワクチンは、あの明治製菓ファルマが販売元みたいな感じになるということは多分決まっていると思うのですが、そういう方とちょっと接触したりとかしています。

あとは、アストラゼネカのワクチンでいうと「2回目接種から6か月以上の間隔で3回目の接種をすると抗体価がさらに上昇する」とか、いろいろなデータも出てきてます。イギリスの方ではデルタがすごく流行っていて、それで感染者数がそれなりに増加しているんだけれども、重症者や死亡者はそんなに増えないというところで、アストラゼネカのワクチンでも一定の効果はあるんだな、などいろいろ情報を集めているというような感じですかね。

峰宗太郎
ありがとうございます。
そうなんですよね。アストラゼネカのワクチンも、もちろん効果がないわけではない。
そこは皆さんお間違えないようにしていただきたいんですね。
それは重要で、今後日本でもどういう使い方がされるか、使われる可能性があるのかということは、界隈がちょっとざわざわしているところがあるという話をしていただきました。
さて Taka先生、なにか面白い話はありますか?

木下喬弘
そうですね。あまりインプットとして、エビデンスベースなデータはないんですけど、タスクフォースのインタビューで……千葉功太郎さんっていう方、ご存知ですか?
※参考:
コロナ危機を脱したハワイのワクチン戦略は「物量作戦」と「明快なメッセージ」
https://medicalnote.jp/nj_articles/210629-001-YO
出典: Medical Note  2021/6/30

峰宗太郎
僕は読んでるんで……他の方はどうかな?

木下喬弘
コロプラの千葉功太郎さんがタスクフォースのインタビューに出ているんですけど、ここで日本の接種率の低下が懸念されて、どういうふうに接種率を高く維持するかみたいな話をしていて、結構大事なこと言ってるなと思いました。
ちょっとだけ簡単にご紹介すると、やはりどこの国でも50%ぐらいを超えてきたら接種率が下がってきていて、そこにはマーケティング的な発想が欠けていると指摘されています。アメリカなどではかなりインセンティブをつけるということをやっているけど、なかなか商品とかを用意するというのはちょっと難しくて、知恵を絞ってキャンペーンをしないといけないということです。
例えば、緊急事態宣言でもワクチンパスポートを持ってたら飲食店で制限なくお酒は飲めるとか、宿泊事業者が相乗りできて優先予約ができたり割引を受けられるようにしたらいいんじゃないか? みたいなことで、GoTo キャンペーンに1兆円を出すのであれば100億円でもいいからワクチンキャンペーンを展開した方が効果があるというようなことを言っています。
これはその通りだなと思うんですけど、一方でなかなかそういう「誰かが得する仕組み」が日本でハマるか? というのが見えないところではあるな、と思いながらこの記事を見てました。

峰宗太郎
ありがとうございます。
そうですね、すごくいい視点というか重要な視点で、この広告戦略というか、大事ですよね。
キャンペーンをして行かないと、特に関心を持っておられない方とか知らない人、そういう人ってそのままになっちゃいますので、そういうところまで含めると重要かなと思っております。


【科学的に正しい情報への向き合い方】

峰宗太郎
さて、れおにいはどうですか?
今週の小林よしのりのゴー宣ネットについてどうでしょう? 何か意見はありますか?

岡田玲緒奈
いや、僕もいち早くあれを拝見しましたけれども、僕はむしろ臨床家でこのチームに入れてもらっていて、ちょっと恐縮ですって感じなので「臨床の経験がない」というのは、不思議なことを仰るなと思ってました。

峰宗太郎
ということで、今日後半は実はこの話をしたいと思っています。
「ええ? 本当にやるんかよ!」という感じなんですけど、これをあまりやると向こうを刺激して、皆さん醜い顔で漫画に描かれるという事態が想定されますので、覚悟してください。
よろしいですかね。

我々のこびナビは、コロナ自体にはサイトとかで手薄だという自覚はあるんですけれど、まず重要なことは「コロナとワクチンに関して正確な情報を皆様にわかりやすく、かつタイムリーに提供していく」。そして、できるだけ我々の信じる公平公正、そして科学的根拠を明確にして、相互チェックもして、出来るだけ間違いが入らないように、まあ絶対に入らないとは言いませんけども、そういう情報提供活動を、無償でボランティアで、つまりプロボノでやっているという集団であります。

我々は医師や研究者や看護師さんもいますし、学生さんもいますし、まあ専門家がしっかり頭を練り練りしながらやっているという団体です。
団体でやってるってことは結構大事で、こびナビも決してすべての意見について一枚岩なわけではありません。
いろいろ議論が起こることもありますし、メンバーの中でももちろんミステイクをする場合があります。
僕だってよく間違えますので、そういう時に遠藤先生から突っ込んでもらったり、曽宮先生から突っ込んでもらったり、他の皆さんから突っ込んでもらったりということをして「ああ、まずいまずい!」ということはよくある、相互チェックをして情報を出していると。

そしてもう1つ大事なことは、COI といって Conflict of Interest ですけど、要はワクチン企業とかワクチンを推進しなければいけないとか、そういう活動的な使命、経済的なものや、心情もそうなんですけれども、そういうものを持っている所からの直接の利益供与、間接の利益供与、そういうものを持っている人はいないということを確認して活動しています。

だから、株を持っている人とか、製薬企業から講演料をガバガバもらっている人とかいないというようなことになっております。
そういう意味では結構フラットに近い形で情報提供するということをメインに据えてやってきているわけです。

ここまでで異論がある人はいます? いませんね!
いや、異論はいつでも差しはさんでくださいね!
最近いわゆるミスインフォーメーション、間違った情報、信念を持っている場合だけではないですから正確ではない情報といったほうがいい場合もありますね。
それからディスインフォーメーション、これは偽情報などと訳すとわかりやすいかな、攪乱するための情報とかわざと意図的に、まあ信念を持っている場合には悪意がなくて、本当の善意からやってるという間違った人もいっぱいいるわけで、そこは難しいところではあるのですが、とにかく正確ではない情報やいわゆる信じてはいけない誤った情報、これに対応するということをやってきてもいます。

ファクトチェックというのは、いわゆるフェイクニュースというものがよく指摘されるようになり台頭するようになった流れから、いま標準的に行われるようになっていますが、アメリカやイギリスをはじめとする英語圏、それ以外の国でも盛んになっています。
これは英語でいうと「Debanking」、つまり一つひとつ潰すというような意味合いで言ったりもしますが、ミスバスターズと同じですね。ミス=神話のことで「作り話」という意味ですが、ミスと言うとフラットな感じがするので好んで使われます。ミスバスターズと言ったりして、誤った情報を検証し、「これは実はこういう意味で間違いなんだよ」と伝える活動を様々な団体がしています。団体というのは米国だと CDC、世界的には WHO などの公的機関も結構扱っています。日本はその部分が少し弱かったんですね。

吉村先生の回でもお話がありましたが、実はこびナビは吉村代表と木下副代表で河野大臣にレクチャーをしました。レクチャーといっても偉そうに講義したのではなく、情報交換ですね。僕もオンラインで参加いたしましたが、情報を提供し、河野大臣もかなり熱心にお聴きになり、真摯に質問をしていただきました。比較的突っ込んだ良いやり取りができたのですが、お互いにどこが信用できてどこがまだわかってないのかという話もできて、実りあるものでした。
河野大臣もこの問題については以前から注目していたそうで、「誤情報に気をつけましょう」と非常に一生懸命動いていただいて、今も継続しています。最近では厚生労働省の方も、ツイート等で「こういうものは明らかな間違いの情報ですよ」というのを、かなり慎重な言い回しではありますが、発信するようになったのです。誤情報について皆さんに「これは違うんだよ」と少しずつ認識していただく流れが出来ていると感じています。

ここまでで、何かもっと追加したいとか、熱くほとばしる思いがある方はいらっしゃいますか? どうですか? 当事者の木下副代表先生。

木下喬弘
別に誤情報に重点を置いているつもりはあまりなく、それが取り上げられているからそこにフィーチャーされているのかなと思っています。しかし実際に誤情報の訂正記事を出していただけるのはありがたいですね。

峰宗太郎
この前、こびナビメンバーの池田先生と安川先生と私で、アメリカでいわゆるワクチンのアドボカシー、ワクチンを推進する運動の第一人者のピーター・ホテズ先生と話をしました。その時に、アメリカでいま接種速度が下がっている理由として反科学的な誤情報や偽情報を流されていることや、あとは政治的信条と強く関連して党派性を持っていること、無関心層にワクチンを打ってもらう必要があること、そのような面があり「なかなか進まないんだよ」とおっしゃっていました。誤情報や不安を招く情報はワクチン接種率にも非常に影響を与えますし、そもそも個々人の選択を歪めてしまいますので、かなり問題だと僕は認識してきたわけですね。

多岐に渡って誤情報や……強い言葉なので僕は「デマ」はあまり使わないようにしています(たまに使います)が、いわゆる誤情報に関しては、色々な問題点、イシューがあります。例えば先週くらいに話題になったのは amazon ですね。日本の amazon.co.jp 、密林ですが、誤情報と言わざるを得ないことばかり書かれている書籍が amazonランキングで1位になり、その状況を受けて一時的にその書籍が表示できないように amazonが対応したんですね。

それはですね、プラットフォーマーは……販売会社もある意味プラットフォーマーですから、プラットフォーマーの介入だということで結構もめたようで、色々な動きがありました。問題の書籍は復活してしまっていますが、変な本や明らかに誤った情報に毒されている人たちは、強い信念を持って行動していたり、感情的になっていることもありますので、いま私たちがやっている活動に対して、作用に対する反作用が強くなっている印象を受けます。先ほど黑川先生がおっしゃいましたが、我々の問い合わせサイトに色々届くとか、私がやっている「マシュマロ」にも、ここのところ攻撃的で「大丈夫だろうか」という印象の言葉遣いの方からメッセージがばんばん来るようになりました。それも100件とか200件ではないですよ。私の所には凄い個数届くものですから、向こうも必死になっているなということですね。

分断を招くと言う方もいますが、エキセントリックな方というのは完全な少数派ですからね。そういう人たちが活性化していると大きく見えますが、決して大きい勢力ではありません。世の中まともな人の方が多いのです。そうでなければ、今ごろ世界はめちゃめちゃに壊れていますので、一部の方が過剰に反応しているとお知りおきください。ただ、対応を強くやりすぎると、エキセントリックな人たちを紹介することになっちゃうんですね。そしてエキセントリックな人たちが目立つと、少しの人でも取り込めれば様々な利益があったり自己満足できたりしますので、扱いは慎重にして、私は決して大きく敵対しないようにしているつもりです。こびナビも、そういう動きをしているつもりはないんですね。そういう前提があり、とにかく誤情報には気をつけていただき、情報源と選択を誤らないでいただきたい。それから変なことを言う人には近づかないでいただきたいというのは、ここで聴いていただいている方は大体大丈夫だと思っています。

今日はいろいろメンションされたり、チクリ情報があったりしました。小林よしのり先生という漫画家の先生が「ゴー宣ネット道場」というブログをお書きになっています。そのブログの6月30日の8月8時51分に投稿された「「こびナビ」という怪しいグループ」で我々がターゲットにされ、「製薬会社に媚びてなびく若造じゃないか」と言っています。

まず製薬会社へ COI が無いので間違いで、これがもう既に誤情報ですね。「若造」と言うのは年代差別で、これももうアカBAN(規約違反で運営者がアカウント削除や凍結等の対応をすること)の対象ですね。「臨床の経験がない若い連中が…」まあ、これはねえ、れおにいも、木下先生も、安川先生だって臨床医ですし、谷口先生だって黑川先生だって臨床医です。僕も臨床経験が無いわけではないので、これは誤情報ですよね。「若い連中…」若いは合ってるかな。「ワクチン讃美者の集団を形成しているが」と突然攻撃のターゲットにされているわけです。

安川先生は毎日のように、こびナビというワードでツイッター上をパトロールしていただいていますが……安川先生どうですか? 最近こびナビに対する風当たり的なものがやや増えているように思いませんか?

安川康介
そうですね。河野大臣のブログにデマ関連の話題を取り上げていただいたのが6万回以上リツイートされ、その後木下先生は色々なメディア等に出演され、こびナビの認知度が上がりました。しかしそれと同時に誤解を持たれている方が増えているかもしれません。あまり僕たちの情報発信(Twitterスペースやウェブサイトの Q&A など)に今までふれていない方が「ただワクチンを推奨して副反応については何も話さずに絶対安全だと言っている」と言っていて、こびナビに対する批判が増えた印象です。そんなことはまったく言ってないのですが。パトロールは毎日ではありませんが、たまに僕のツイートにリプライで届くこともあり、こびナビに対する様々な意見には目を通しています。

峰宗太郎
やはり大きい動きがあると、もちろん周りも連動しますし、反発を招くこともありますが、私たちも襟を正してより慎重になります。私たちも公に顕名で活動して、実際に河野大臣に意見や対談をさせていただき、一定の影響力を持ってきているのは事実ですので、より気を付けていきたいと考えています。

是非このリスナーの皆さんはじめこびナビを応援してくださっている方、こびナビ情報を参考にしていただいている方も、盲信することなきようにお願いいたします。こびナビも一生懸命やっていますが必ず確認していただいて、妥当な情報は何かを個々人がしっかり把握して解釈・監修していただくのが本当の応援なのかなと思っています。

先程の「ゴー宣ネット道場」で僕が気になったことは、紹介した記事の他にも「コロナに関しては、誰もが暴露、あるいは感染しているが」という明らかに誤った情報や「本来は暴露か少量の感染で自然免疫で防御できた人たちが、わざわざまあワクチンを打って感染成立させている」とか明らかに、もう完全に科学的にありえない、いわゆる「トンデモ」と言い切っていい情報を、平気な顔して披露しています。こういう非常に問題のあることを吹き込んでいる人が実際にいまして、YouTube や amazon も調べるとトンデモ本がすごくいっぱいあります。私も Kindle や Kindle Unlimited に上がっているものも含めて明らかに怪しそうな題名で、コロナとワクチンについて語っていそうな本を、悔しいのですが20冊ちょっと読みました。まあトンデモですよ。読む価値がないものばかりで本当にどうしようもない。

やはり情報源をしっかり取って、公的情報を含んだ複数の情報源をクロスチェックする原則に戻っていただきたいと思います。騙されている方や考え方が偏ってしまった方は、逆に「公的情報だと信用できない」とロジックが反転して、救い出せない方もいるんですね。そういう方が身近に、家族の中などにいらっしゃってどうしようもない、どうすればいいんだというヘルプのマシュマロが毎日のように私のところに来ますが、私から言えるのは「もう距離を取るしかない」ということです。ここについても皆さんに少しお話を伺いたいと思ってます。安川先生もいつも問題視されていますが、YouTube や書籍の誤情報についてどうするのが良いか、思いとか、アイディアとか、もしくは「問題視しているよ」だけでもいいのですが、何かありますか?

安川康介
いやー、本当に難しい問題ですよね。公的機関とかこびナビ自体が怪しいとか、「こびナビの言うことは全部聞かない!」という方もいらっしゃいます。そういう方々にどのように対応していったらいいのかは本当に難しいと思います。本当に嘘の情報が溢れていて、そういう動画が何10万回も再生されていて、コメント欄を見ると「よく勇気を出して言ってくれた!」といった内容がバーッと並んでいます。明らかに不正確な情報なのですが「他の医者は言わない」と賛美したコメントの嵐で、非常に難しいと思います。僕はソーシャルメディアのプラットフォーム……ツイッターとか、Facebook とか、YouTube とか、そういう(4秒無音)企業が(4秒無音)あまりにもひどい(4秒無音)公衆衛生学に悪い情報は……

峰宗太郎
あれ、もしかして安川先生が消えてる? 私の調子がおかしいでしょうか?

安川康介
ある程度制限せざるを得ないのかなと思っていて、実際にあのエイ(音声不明瞭)YouTube 上から削除されたという動きは結構あります。なので、まあやはりその(10秒無音)企業がですね、(音声不明瞭)プラットフォーム(6秒無音)

※安川追記:ソーシャルメディアのツイッター、Facebook、YouTubeなどの企業が、あまりにもひどい、公衆衛生学的に問題のある情報発信者を制限したり、デプラットフォームすることも大切なのではないかとという意見を言いました。

岡田玲緒奈
これは本当に難しいですね。今回河野大臣にも取り上げていただいたことで多くの方に見ていただけるようになったのですが、その反面、元々ある日本における公的なものに対する不信感が我々に対しても同様に向けられることにもなります。発信のありかたに気を付けると同時に今後こうした向きにどう対応していくか考える必要がありますね。

峰宗太郎
ありがとうございます。今日は決して明るい話題ではありませんでした。まあ「気をつけましょう」というのが結論です。気をつけなければいけない時に、いつも私は「人で信じるな、属人的なことや権威主義はとにかく排除しよう」とお伝えしているんですね。「あの人が言っているから信用できる」とか「なんとか賞を取った人だから正しい」とか「ウイルス学の経験が30年だからなんとか」というのは関係ありません。間違ったことを言う人は間違ったことを言います。基本的に権威だとか、属人主義に陥ることが無いようにするのが非常に大事です。

ただし例外がありまして、「逆は真なり」ではないんですね。怪しいことを言う人や、明らかにハマっちゃっている人は、もう人で判断して大丈夫です。「その人の意見を聞くのは止めましょう」と私は伝えるようにしています。これはまあ、あまり細かくは言いません。そういう人でも正しいことを言うことはありますので、例外はもちろんあります。ただ、嘘と真実を織り交ぜることはたびたびあります。それが難しいところですが、「怪しいな」とか「こいつはヤバい」という人とは関わらないようにしていくことが非常に重要ですね。


人を選ぶことも必要ですが、複数の情報源を持って、突飛なことを言っているとかおかしい思考に入っている人にはとにかく気をつけていただきたいです。情報の取り方、リテラシーを継続して皆で学んでいきましょう。我々も学びたいですし、皆さんにも学んでいただきたいと僕は思っています。

さて、もう時間を過ぎていますので、終わりにしていきますが、何かこれだけは言い足しておきたいとか、あと告知もあればどうぞ。

黑川友哉
そうですね。あの私たちも出来る限り正しい情報をわかりやすい形で発信しようとしているのですけど、どんなに科学的に正しい発言であっても、必ず不快に感じる方がいらっしゃると思いますので、受け取り手も優しい気持ちで対話ができるようにメッセージを発信したいなと思いました。

峰宗太郎
我々も黑川先生みたいに優しく、私のように嫌味やまずいことを言わないようにしていかなくてはと、いま反省をしたところでございます。というわけで、今日は安川先生が座布団を0枚獲得ということで終わりにします。明日は岡田先生ですね。また明日も聴いていただければありがたいです。日本の皆さま、良い1日をお過ごしいただきたいと思います。ありがとうございました。

安川康介・木下喬弘
ありがとうございました。

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