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集団接種の推進、小児へのワクチン接種について(6月29日こびナビTwitter spacesまとめ)

※こちらの記事は、2021年6月29日の情報を基にされています。※

2021年6月29日(火)
こびナビの医師が解説する世界の最新医療ニュース
本日のモデレーター:吉村健佑

吉村健佑
おはようございます。

前田陽平先生
おはようございます。

吉村健佑
おはようございます。こびナビの吉村が解説する医療ニュース、そろそろ始めたいと思います。
今日は吉村が担当をしますが、最近のワクチンの供給について、いくつかのニュースや厚労省からの事務連絡などが出ています。いろんな主体がいろんな意見を出していまして、全体としてうまくいっているところと、なかなか苦戦してるところがあるなと私自身も感じてますので、そこを皆さんと整理しながら共有していきたいと思います。


【集団接種の推進について】

まず、最近集団接種がかなり進んでますよね。
集団接種について私自身もワクチン接種の打ち手としていくつかの会場でお手伝いしました。
今、千葉県にある成田空港の検疫官のお手伝いを半年ぐらいしてるんですけれど、先週の段階で多くの検疫官はまだワクチンを打っていなかったんですね。
先週の6月21日から25日の週に空港検疫で働いてる検疫官、入国管理官と
あとは税関で働いている方に集団接種を実施しました。私は問診ではなくて接種する側だったので、ひたすら注射をするという担当をやりまして、だいたい80-100人ぐらいの方に対して接種を実施できました。
皆さん、ようやく自分の番が回ってきたということで喜んでいまして、そのお手伝いができて、私もよかったなあと思っています。
モデルナのワクチンでしたので、また4週間後を目処に2回目の接種を実施します。
しかし、4週間後にはもうオリンピックの開会式は終わっています。水際対策のを担う方々がまだ2回目を接種していない状況でオリンピックを迎えるので、もっと早く打てたらよかったと思います。
また今週も千葉県内の集団接種会場のお手伝いに1か所行ってくる予定です。こういった形の職域接種、地域自治体による集団接種は着々と進んでいます。

もう一つの接種の形として個別接種がありますね。個別接種については、開業の先生などが中心になって、接種を進めている状況ですが、個別接種も厚生労働省が次々と支援策を出しています。
支援策とは、要は接種したときの手数料、接種の費用の増額です。
これを平時の予防接種に上乗せして接種した医師、ないしはその医療機関に対して支払う補助金の制度を充実させてるんですね。
それで、今回だいたい通常2,000円程度の補助金に対してさらに上乗せがされていて、例えば時間外で接種するとプラス730円とか、休日で接種するとプラス2,000円程度加算されます。
個別の接種に取り組んでいる開業医の医師、医療機関に対する補助金支援策が、6月18日の「新型コロナウイルスワクチン個別接種の促進策の継続および職域接種における支援策について」という事務連絡の中で流れて、7月末までの支援策という暫定的なものが11月まで延長されて、補助金の制度が続くことが決まりました。
こういう補助金支援が出てきますと、手上げをして実施していく診療所や医療機関も増えてくると思います。

1回あたりの費用の補助金の他にも、例えば1日50回以上の規模で接種した場合は1日10万円の補助金の交付の措置を取るなど、インセンティブを複数設けて、医療機関が個別接種の体制を作るための支援策を進めています。
これはこれで大事なことだと思うんですよ。
医療機関では多くの場合、普段の診療からワクチン接種に切り替えることは、費用もかかりますし人件費もかかってきますので、そこに対して補助策を打つということは重要な政策だと思います。
そういった集団接種や個別接種について、次々政策が打たれて接種自体が非常に伸びている状況です。

実際の現場の接種からワクチン接種記録システム(VRS) という仕組みに反映されるにはちょっとタイムラグがあるということなんですが…それを考えても1日120万から140万ぐらいの接種が進んでるだろうということを河野太郎大臣も会見で述べていまして、この速度は世界的に見ても早いと思います。
集団接種、個別接種の回数の積み上げについて、このあたりはいかがでしょうかね。
ちょっと開始7分ぐらいになりますが、そんな紹介から始めました。
スピーカーの皆さんいかがでしょうか何かコメントや質問ございますか。

黑川友哉
黑川です。おはようございます。接種がすごく進んでいて、1日国内120万から140万回接種でしたっけ。
かなりすごい数字ですよね。この数字は世界でみてもやっぱり多いなと私も思っています。ここまで日本がすごくスローペースだったのが、途中5月ゴールデンウィーク明けぐらいからワクチンの供給も一気に進んだじゃないですか。

吉村健佑
そうですね。

黑川友哉
最初から一気に進んだわけではなくて、少しもたついていた印象があったんですけど、今ここまでで進んでる一番の要因とかって何かあるんですか。

吉村健佑
ありがとうございます。
これは複数の要因があるかと思うので、なかなかこれが決め手ってのはないんですけど、一つあえてここで言うと「啓発」でしょうか(笑)。

黑川友哉
ちょっとそれなんか僕今言わせた感じになっちゃいましたね(笑)。谷口先生何かありますか。

谷口俊文
政府がオリンピックに向けて集団接種と職域接種をすごく加速的にやっています。一方で集団接種会場の中にも7月いっぱいまでは接種を実施するが、8月以降はまだ未定ですというところも結構ありますし、8月以降の接種のペースが落ちるんじゃないかと今一番懸念していますね。
個別接種ももっと広がってほしいと思うんですけど、やっぱり集団接種は非常に効率よく打てるので、そこを何とか維持していただけるように施設の方に働きかけていただきたいなと思ってます。

吉村健佑
ありがとうございます、その通りだと思います。
谷口先生、集団接種や職域接種についてはこれまで非常に順調に進んできたんですけど、ここにきていくつか懸念点が出てきていますよね。
1点目は、河野太郎大臣が先週6月23日の会見で発表しましたけれど、職域接種や自治体の大規模接種の申請が相次いでいて、モデルナの供給が一時的に受付を休止するという発表がありました。
総量の5000万回分2500万人分の接種の申し込みが既に来てしまって、一旦新たな受付を止めるという話でした。
これについては、2回分の接種を必ず確保することを前提にして職域接種や自治体の大規模接種の申し込みをしていますので、その影響もあり、かなり安全策をとった措置だとは思うんです。
つまり2回分の供給各自治体ができるという保障のもとで受付をしているようです。暫定的な配布をした上で次の供給を待つというやり方もあるかもしれないんですが、いずれにしても今はそういった事情で一旦受付休止になっていますので、集団接種は少し失速していくのかなと思います。
谷口先生が言うように、諸外国でも供給がすごく進んでるタイミングとちょっと遅れるタイミングがありますので、それを見ていく必要があるかなと思いますが、いかがでしょうか?

谷口俊文
結局モデルナのワクチンはそんなに供給が多くないので、モデルナだけで職域接種をがんがん広げるのはそもそも無理があったと思います。
個人的な話をすると、今千葉大学の職域接種に少し関わらせていただいています。1万7000人分を全学部の教職員と学生用に申請していますが、本当にその数が入ってくるかわからない状況で、すごくモヤモヤしてるんですよね。
同じストレスを抱えている方が職域接種の担当者の中には多いと思うので、これは本当に何とかしてほしいです。

吉村健佑
そうですよね、ありがとうございます。
確かに、人員を集めて体制を整えたはいいものの、ワクチンが届かない、ないしは数が制限されるということで、大分勿体ない状況にありますよね。
これは一時的な休止と説明しているので再開されればまた供給の量も確保できると思うんですが、そこがちょっと1点目の懸念点ですね。


【小児対する集団接種の注意点】

集団接種に関してはもう一つ、注意事項があります。
それは小児に対する学校での集団接種になります。
実は12歳以上への集団接種について、6月16日に日本小児科学会と、日本小児科医会という小児医療をつかさどる二つの大きな団体から、声明が同日に出されています。
両学会から出てる内容はかなり似ていますが、第一に子供への接種は意義があり、同時に、子供に対する接種は個別接種が望ましいという趣旨の声明でした。
集団接種を否定はしないが、集団接種をする場合はいくつか注意点がある、ということです。
例えば12歳以上だと、小学校6年生以上になりますが、その方々に接種する場合はやはり保護者への十分な説明が必要です。また、学校というコミュニティは同調圧力が生まれやすいので、打つ打たないという意思決定をその場で申し出る仕組みだと、周囲の人と違う意見を示しにくい状況になってしまうことが懸念されます。

あとは接種後の体調不良の対応が集団接種では難しいという指摘もされていますので学校での集団接種は注意が必要です。
重要なものとして文部科学省の初等中等教育局および厚生労働省健康局予防接種室から6月22日に出された「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種を生徒に対して集団で実施することについての考え方および留意点等について」という事務連絡があります。
厚生労働省のホームページの新型コロナワクチンに関する自治体向け通知、事務連絡等という日々更新されてるホームページがありまして、そこで生徒に対する集団接種の留意点が6月22日に出されました。
それが先ほど説明した通り保護者に対する説明ですとか、同調圧力が生まれやすい環境とか、あとは接種後の体調不良への対応が難しくなる可能性があるので、基本的には個別接種で進めましょう、学校で集団接種を行う場合はよく準備した上で実施してください、という内容です。
これに対しては結構賛否の意見がある状況です。
賛成反対それぞれのところ見ていきますと、やはり個別接種が丁寧で望ましいという、通知に同調するコメントもある一方で、少し慎重すぎるんじゃないか、つまり保護者や本人たちの意見をちゃんと整理してまとめることができるのであれば、集団接種を実施した方が効率的でかつ安全じゃないかというコメントも出たりしています。
集団接種の準備を中高生に対しても進めた方がいいんじゃないかという自治体も実際にいくつか出ておりまして、これらはこの通知をきっかけにいろいろ意見の整理が試みられています。
こびナビとしては、学校での集団接種だと、血管迷走反射などが集団で連鎖的に発生してしまう可能性もあるので、やるにしても慎重な準備と十分な情報提供が必要だと繰り返し発信してきました。今回の方針はこびナビの態度に近いですが、一方でこの年齢に対してどうやって接種を進めるか考える必要があると思います。
日本小児科学会や日本小児科医会が非常に適切な声明を出していると私自身は考えていて、この声明をきちんと生かして接種に進めるような環境作りが必要だと思います。

ちなみにですが、我々こびナビも、中高生に対しての啓発活動をさらに本格化していこうと考えています。
千葉県内の養護教諭関係の方から声掛けをいただいて、中高生向きの啓発活動、情報提供もしてほしいという要請要望を受けました。
今どういった内容で進めるか協議を始めていて、中学生高校生に対する情報提供も我々こびナビから発信していきたいと思うんですね。
これは接種対象となっている皆さんに正確な情報を伝えるということで我々の役割の一つだと考えてますので、中高生向け「こびナビスクール」という形で情報提供していけるよう準備を進めています。

※編集注:
以上の中高生向けこびナビスクール企画ですが7/31土曜日に開催されることが決定しております。詳しくは、以下のツイートを参考にしてください。
2021/7/31(土)こびナビスクール
https://twitter.com/eireonaok/status/1415519526620258305?s=21


これまで各地の医師会や自治体経由で情報提供していましたが、中学生高校生に対する情報提供はどう行えればいいのか知恵を絞って考えているところです。
いかがでしょうか?小児への学校集団接種の最近の通知の内容に触れたりして紹介しましたが、こびナビのメンバーからコメントや質問ありますか。

内田舞
まずはその小児科学会の声明が「子供の接種には意味がある」とクリアに書かれていたので、それが私は素晴らしいと思いました。
そして、集団接種をするしないに関してはその集団が
1.学校全体で学校の中で接種をするのか
2.一般の集団として接種をするのか
という二点で結構違うテーマになってくるんじゃないかな、と感じています。
ちなみにアメリカでは今12歳以上が打てますが、子供は普段かかっている小児科クリニックとかで受けてもいいし、大型集団接種会場での接種でもOKです。
大型接種会場だと匿名性があるので、吉村先生がおっしゃってた「誰々ちゃんの家は接種しないみたいだよ」といったことが知られることはありません。
どういう集団かによって論点は変わると思いますが、接種はこの数週間でものすごく加速したので、「もう子どもの接種まで始まっちゃったの?!」「子供の接種なんてまだ考えてもいなかった」っていう親御さんが多いじゃないかなと思っています。

中高生は子供の意向と親の意向両方が関わるので、どっちも納得をして、気持ちよく接種するのが理想的です。ですから、まだそこまで家族内での話し合いが至ってない中で、学校で誰が打った打ってないっていうのが可視化される状況は、ちょっとかわいそうかなと私は思っちゃうんですね。学校での集団接種に関してはそのような問題点があるかなと思います。
しかし、例えば週末に学校の体育館を開けて、いろんな学校から打ちたい人は誰でも打っていいよっていう形で接種希望者を募るのであれば、匿名性のある集団接種会場になるので、多くの小児科医の先生方もきっと協力してくださると思いますし、効率よく子ども達の接種も行き渡るのではないでしょうか。
なので、匿名性さえ守れれば、子どもの集団接種が絶対駄目っていうこと私はないんじゃないかなと思います。

吉村健佑
非常にクリアに指摘していただきました。おっしゃる通りで集団接種そのものが駄目だと言ってる通知ではないですね。
学校の中で、例えば日中に授業の時間の一部が振り替えられて接種の時間になってしまうのは要注意というのが通知の内容です。
内田先生がおっしゃるように、地域の中で接種を希望するお子さんを対象に集団接種を行う方法ですとか、あとは学校の休日とか課外の時間、授業の行われてない時間を使って学校の施設を使って希望者に対して実施をするということは否定されてるものではありません。

内田先生もおっしゃった通り小児科学会や小児科医会の声明も非常に重要だと思います。
重篤な基礎疾患のあるお子さんへの接種そして健康な子供への接種療法に対して意義があるということをきちっと両会とも声明を出しています。
お子さんは死亡率も低いのにワクチン接種を進めるのは意義があるのか、という意見も時々いただきますけれど、小児科学会はそこをきちんと丁寧に説明してると思います。
死亡率は低いとはいえ重症化するリスクはあるとか、小児から感染を拡大していく可能性もあるなどの根拠を挙げて、専門家集団である学会からそういう意見が出たというのは非常に意味があるかなと思います。
いかがでしょうか小児に対する集団接種などコメントいただきました。
はい、谷口先生どうぞ。

谷口俊文
ちょっと内田先生に質問なんですけど、子供が接種を希望しても親が反対していて、それで子供が受けられないということもあると思います。その場合は、ストレスにもなりますし、これに対するケアは必要だと思うんですけれどもそういったことってアメリカで問題になったりとかしてますか。

内田舞
面白い視点ですね。
住んでいる地域がちょっと特殊ということもあって私の周りでは直接は目にしてないんですけれども…私が住んでるボストン近郊の町は今30歳以上が99%接種済みで20才以上が95%接種済みで12歳以上が2週間前の時点で60%を超えていました。多分今はもっと上がってきていると思います。大人が99%接種している地域だと、そのような議論は必要ない場所なので私としてはありがたいなと思っていますが、あって不思議ではないような家族の会話ですよね。
でも、少なくともマサチューセッツ州では親と子供のどっちも同意しない限りは受けれないので子供だけが受けたいと言っても受けられない状況ですね。

※編集注:6/30の回でアメリカ内で親の同意なく子どもがワクチン接種可能な州もあることを補足。

アメリカでは親の同意がなければ子供は打てないと申し上げたんですが、これは私が住んでいるマサチューセッツ州でのことで、州ごとに違うルールがあることがわかりました。
12歳以上であれば親の同意なしで打てるという州もあれば、16歳以上だったらよいという州もあれば、アメリカでは何に関しても大人とみなされる18歳以上というところもあります。
12歳以上、16歳以上で同意なしで打てる州は複数あり、親に隠れてワクチンを打ったティーンエイジャーも結構いるようです。どのくらいいるか具体的にはわからないんですが、1人2人ではないようです。
アメリカには海外から家族で引っ越してきた移民の方も多く、ワクチンに関する情報は英語で発信されてることが多いのでなかなか伝わらない、子どもは英語がわかるけれども親がわからない、親と子どもの情報収集の差があるケースもあるようです。
また親の同意が必要な州でも、両親の同意が必要な州と親が1人同意すればよい州、いろいろあるようです。ちなみに新型コロナウイルスワクチンではないんですが、離婚された両親が、お母さんは子どもにワクチンを打たせたいけれどもお父さんは打たせたくない、という場合に、お互いに訴訟を起こすケースがあり、打たせたい親・打たせたくない親、どちら側も勝つことがあるようです。興味深いテーマだなと思って付け加えさせていただきます。
                        2021/6/30回より引用

その点を考えると、子供の接種の意義について親に対して教育するのも、子供への教育と同時に必要だと今まさに考えさせていただきました。

谷口俊文
いやいやすごく心のケアが必要になるだろうなと思ってね。やっぱり集団接種はそこが難しいなと思っていて。
すごく子供としてモヤモヤすると思うんですよね。自分は打ちたいけれども親はすごい反対で、もし学校で打つとしたら、周りみんな打ってるのに自分だけ打てないのかみたいなことも起こり得ると思います。その場合は心のケアが必要になってしまうので、学校での集団接種は結構ハードルが高いと考えています。普通の大規模接種会場で打つっていうのは全然 OK だと思ってるんですけどね。
これはやっぱり医療従事者に対する接種とか高齢者に対する接種とはちょっと違う考え方を持たなきゃいけないなと思いました。

内田舞
ちなみに日本では例えばBCG とかインフルエンザワクチンも私が小さい頃は確か学校で打ったなという記憶があるんですけれども、いまだにそうやってるんですかね。
どうなんでしょう今の学校の集団接種というのは。

吉村健佑
1994年に予防接種法が改正されて、今はそういう状況にはないです。我々が子供だった94年以前はワクチン接種が義務規定となっていたので、そのときの学校集団接種ってまさに今、内田先生がおっしゃったような状況だと思うんですよね。
今回のワクチン接種は努力義務ですし、イメージで議論するのはやめましょうということを6月20日に田村厚生労働大臣が閣議後の会見で、コメントを出されています。
学校医の先生に聞いた方が正確だと思うんですが、我々がイメージしてるような集団接種ってのは現在の学校現場で行われていないようです。

内田舞
集団接種が通常やられてるんだったらその流れでっていうのもあるんですけれども、コロナのためだけにっていうのもまたハードルが高いと思います。谷口先生がおっしゃってたその子供のモヤモヤ感のケアっていうことも大きなハードルですし、やっぱり子供は担当医か、特設週末接種会場がよさそうですね。

吉村健佑
そうですね。そこでいくつかの学校が共同利用するような形で接種するとかっていうのはあり得るかもしれないですね。
ありがとうございます内田先生。安川先生先何かございますか。

安川康介
谷口先生がおっしゃっていた「親は反対してるけど子供は受けたい」っていう事例ですが、オハイオ州のイーサン・リンデンバーガーという18歳でワクチンを受けた男の子がいて、結構アメリカでは話題になりました。
お母さんが反ワクチンで陰謀論とかにはまってしまって、子供の頃からワクチンを受けさせてもらえなかったけど、18歳で受けることに決めたみたいなことをいろいろなところで話して、ニュースメディアで取り上げられています。
日本でも、親が反対してるけど子供が受けたい場合にどうしたらいいのか、どういうふうに親子で会話したらいいのかっていうことは、重要になるのかなと思います。
子供の方がヘルスリテラシーが高い場合とかもありますので、重要な議論かなと思います。
学校での集団接種に関しては、多分こびナビ内でも少しずつスタンスが違ってくるのかなと思います。
僕もそこは慎重で、医学的には子供は受ける意義はあると思うんですけれども、やり方は考えなければいけないと思います。
特にワクチン受けたか受けてないかっていうのは、個人情報にもなってきますので、学校で同じクラス全員でやって田中くんと山田くんだけ受けてないとか、そういうふうに明らかにわかるような形でやるのはよくないのかなと思います。そういう個人情報をどのように扱うのかっていう問題にも関わってくると思います。

吉村健佑
はい、ありがとうございます安川先生、おっしゃる通りですね。アメリカは先に課題が顕在化しているようでして、そういったオハイオ州の事例などを紹介して非常に興味深いなと思いました。
またお子さんが接種したかどうかはわからないようにしましょうと、これは通知の中でもそういった書きぶりになっています。諸々の事由で接種しない、できないという方については、周囲の方の接種によって集団免疫でカバーしていくという考え方でいいのかなと思います。
ありがとうございます重要な指摘いただきました。
どうぞ、内田先生。

内田舞
安川先生の今お話を聞いていて思い出したのが、去年特にアメリカでは黒人の権利という点で Black Lives Matter の advocacy が非常に盛り上がりましたし、未だにもちろん続いていますし、これからも続いていくべき重要な社会の会話だと思います。そんな会話の中で、人種差別についての意見だったり、それからまた派生して性的オリエンテーションのマイノリティーの方の権利っていう点で世代間で意見がわかれるというご家族が結構いらして、アメリカの中で世代間でソーシャルジャスティスに関する意見が分かれた場合にはどういう会話ををすべきかという記事が多く出ました。子供がリベラルな考え方ですが、親がどうしてもわかってくれませんというときに、どういうふうなアプローチをすべきかっていうインストラクションが結構ネットで出回って結構いいサジェスチョンもありました。ちなみに私も小児精神科医として、”How to talk about racism with your very young kids.”という題での記事を書かせていただきました。

※参考:
https://www.mghclaycenter.org/parenting-concerns/pre-school/how-we-talked-about-racism-with-our-very-young-kids-a-child-psychiatrist-moms-conversation/
出典:The Clay Center for Young Healthy Minds 2020/6/26

同じように去年は How do you talk about races in your family っていう感じだったのが How do you talk about vaccination in your family って今ちょっと検索してみたら結構でてきたので、どうもそういった会話はアメリカの中で頻繁に行われてるみたいですね。
ちょうど私が直に関わってるものがなかったので、認識していなかったんですけれども必要な会話だと思いました。

吉村健佑
なるほど面白いですね。他のマイノリティーの議論とも相まって、そういった論点で議論が広がる、深まるのは重要なのかと思いました。アメリカ独特の考え方、独自の状況も伝えてもらって面白いですね。
こびナビのメンバーは日米にいるということで、私にとっても内容が新鮮ですが、さてもう9時7分になりましたね。
今日もたくさんの方に聞いていただいています、そろそろまとめたいと思います。
今日は接種が日本で進んでいるよという話を中心に進めて、集団接種および個別接種の支援策や現状、そしてお子さんに対する集団接種の考え方の通知を基点に啓発のあり方も含めてお話したり、あとは様々な教育現場で行うべき配慮などについても皆さんのコメントをいただきました。
非常に面白いディスカッションができたなと思います。

【おしごと年鑑2021のお知らせ】

最後にこびナビからお知らせになります。
いま手元に朝日新聞社が作られた「おしごと年鑑2021」という本の見本が届いています。
だいたい400ページ弱ありますが、様々なお仕事を紹介して小学校中学校に広く教材として配布しているらしいんですね。
自分が子供の頃こういったことはなかったかと思うのですが、冒頭の7ページ目ぐらいのところで感染症と戦うお仕事というのがあり、新型コロナに立ち向かう人たちという章立ての中で漫画がありまして、その監修を我々こびナビで担当いたしました。
冒頭「こんにちは私は峰宗太郎、アメリカでウイルスの研究をしています」から始まる、3ページの漫画がありまして、このおしごと年鑑に掲載されています。
非常に素晴らしい出来ですので、もしどこかで見ることができましたら皆さんお手に取っていただければと思います。
全国の小中学校約3万に寄贈されるということで、全国の小中学校の皆さんに見ていただけると思います。7月には市販版も発売されるということで、本屋さんに並ぶと思います。
昨年の2020もアマゾンでも売ってますし、本屋さんにも並んでるようです。朝日新聞社から出るおしごと年鑑2021の7ページから9ページ、谷口俊文先生や池田早希先生もお名前入りでイラストも入ってますので、もしよければ皆さんお手に取っていただければと思います。

※参考:おしごと年鑑サイト
https://oshihaku.jp/yearbook/

安川康介
峰先生は赤ちゃんのキャラクターなんですか、それともおじさんのキャラクターなんですか。

吉村健佑
えっとですね…白衣を着たお兄さんみたいな感じですね。
あだ名はバブ先生と書かれてますね👶
全国の小中高生にそのように紹介されてますね。
全編にわたって峰先生がコロナ対策に向かう検疫官とか医師の仕事を紹介するという非常に素晴らしい漫画ですね。
興味あります?安川先生。

安川康介
ぜひ読みたいです🥦

吉村健佑
ありがとうございます。
「おしごと年鑑2021」ぜひお手に取ってください。
正確な情報がいろんな世代に届いてほしいなと思っているところです。
さて時間9時10分となりましたので今日はそろそろこびナビの吉村が解説する医療ニュースこちらでおしまいにしたいと思います。
参加された皆さん、どうもありがとうざいました。
またこびナビのメンバーの皆さんコメントをいただいてありがとうざいました。
明日以降もこちらのスペースぜひご参加いただきたいと思います。
今日は少し曇ってますか、日本の皆さん、良い1日をお過ごしください。
アメリカの皆さん、おやすみなさい。どうもありがとうございました。


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