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[日本酒]日本清酒発祥之地で伝統的な酒母造り、菩提酛清酒祭を見学[前編]

日本清酒発祥の地といわれている奈良県にある正暦寺へ室町時代から伝わる昔ながらの酒造り酒母の仕込みを見学してきました。

菩提酛清酒祭


毎年1月に正暦寺境内で酒母の仕込みを行います
2022年1月9日に行われた様子です

初めに正暦寺 大原住職のご挨拶
甑(こしき)と呼ばれる大きな蒸し器
ここに酒米を入れ50分かけて蒸します
160kgのお米がはいりました
独特な香りがします
炊き上がりのご飯とは全く違う
ヨーグルトのような、グレープフルーツのような
なんとも表現のしづらい酸味のある香り

蒸し上がったお米をスコップで取り出しています
かなりの重労働のようです
スコップをお持ちの方は倉本酒造代表
麻布の上に広げています
途中上と下をひっくり返し冷ましていきます
蒸し上がりは100°近く
冬の寒空の下40°以下になるまでしっかりと冷まします
冷めた蒸米は樽の中へ入れます
樽の中には特別な仕込み水のそやし水が入っています
さらに麹菌を入れかき混ぜます
最後に無事に出来上がることを願い、祈祷をし、
この清酒祭は終わりました

正暦寺と日本酒

本来は寺院での酒造りは禁止されていましたが
仏様へ献上するお酒を寺院で造られました。
僧侶が醸造するお酒を「僧坊酒」といいます。

室町時代に書かれた酒造技術書「御酒之日記」には正暦寺で清酒「菩提泉」が造られたと記されており
江戸時代初期にか書かれた醸造技術書「童蒙酒造記」には菩提酛という酒母の醸造技術が記されています。
正暦寺で清酒醸造技術の発展していったといえます


しかし、江戸時代に寺の経済活動が制限され衰退し、明治時代に新たな醸造技術の開発により大正時代には消滅したとされていました。


平成時代菩提酛の造り方や資料の研究、菩提酛のお寺での酒造りの再現する
菩提酛復活プロジェクトが奈良県でスタートします
平成10年12月11日についに酒母製造免許が下り、寺院醸造が復活しました。

この菩提酛の特徴である酒母づくりを、毎年発祥の地、正暦寺で行うのがこの祭です。

菩提酛を使って造られた日本酒8種類の飲み比べ

500円のワイコインで飲める旨酒
各20ccほどです
十分に酒蔵ごとの個性や、味わいの違いを楽しめます
冷酒できりっといただきます

色の違いもそうですが、
酒蔵によって甘みのあるものや、
キリッとしていたり、酸味が強かったりそうでなかったりと様々違います

左上から順に
①「鷹長 菩提酛 純米酒」 御所市油長酒造
②「三諸杉 菩提酛 純米」桜井市今西酒造
③「嬉長(きちょう) 菩提酛 純米」 生駒市上田酒造
④「やたがらす 菩提酛 浩然の気」 吉野町北岡本店
⑤「菩提酛 純米酒 つげのひむろ」 奈良市倉本酒造
⑥「純米酒 菩提酛 升平」 奈良市・八木酒造
⑦「百楽門 菩提酛仕込純米 」 御所市葛城酒造
⑧「菊司 菩提酛 純米」 生駒市・菊司醸造

実際に買うこともできます

その他奈良漬の販売や
寒い日にあったまる粕汁の振る舞いがありました

お昼すぎに今日の菩提酛仕込みがおわりました
2週間ほどで菩提酛ができます
この菩提酛で造った日本酒は4月初旬に販売予定です
今から完成が楽しみです

後編では、
室町時代からの造り方を緻密に再現して現代のカタチで造ったお酒[菩提泉]を試飲した様子や
そもそも菩提酛とは?についてお話しします

次回もお楽しみに!

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