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The Venturesは、あれカントリーじゃないか?

The Venturesというエレキインストバンドの知名度は日本国内物凄く高い。
いや、高かったと言うべきだろうか。60年代を生きた世代の方々は殆どがベンチャーズといえば、「ダイアモンドヘッド」とか「パイプライン」のメロディーを思い浮かべることができるのではないだろうか。
日本国内に限っていえば、60年代のロックミュージックといえば、ビートルズに並んで、ベンチャーズなのではないだろうか。

ましてや、60年代にエレキギターを弾いていた世代の殆どは、ベンチャーズのコピーバンドを一度は組んでいたはずだ(言い過ぎか)。その証拠に、60年代の国産エレキの多くはモズライトコピーであったりする。中にはモズライトと似ても似つかないようなものも多いのだが、Fenderやギブソンのコピーモデルが出てくるのはもっと後の話で、当時はエレキといえばモズライトだったと言っても過言ではない。

私は1980年生まれなのだけれど、ベンチャーズブームから30年遅れてエレキを始めた。初めの頃はベンチャーズ一辺倒だった。90年代に青春時代を送った私にとってすらエレキのロールスロイスはMosriteのギターだった。ただ、本物のモズライトはとても高価で、とても手が出ない。仕方がないからモズライトは諦めて19,800円で販売されていたストラトタイプのエレキギターセットを購入し使っていた。

カントリーミュージックを好きになったのは、初めてのギターを購入してからもっと後の話だ。もう、エレキを手に入れてからというもの、嬉しくて嬉しくて、毎日練習をしたり、エレキギターのカタログ、楽器店のチラシを舐め回すように眺めていた。その楽器店のチラシにMosriteのギターも掲載されていた。確か50万円以上だったような気がする。
とても手が出る値段ではなかった。

それからしばらく経ち、バンドなどを組み学園祭で弾いたりしたのだが、その頃には既にベンチャーズは卒業してカントリーミュージックにはまっていた。

初めのうち何故ベンチャーズにハマったかというと、ベンチャーズのギターパートが一見簡単そうに思えたからだ。
かっこいいくて覚えやすいメロディーラインは、「これならば弾ける!!」と私に思わせるものがあった。後から考えると、それが大きな間違えなのだが。

ベンチャーズのギターパートは、リードギターも、リズムギターも実は結構複雑なことをやっている。16分音符で刻むリズムも、ちょっと聴くと8分音符のノリのように聞こえるのだが、ちゃんと聴くと裏裏拍から入っていたり、タタタタ、ではなく、タカタカタカタカだったり、初心者には実はちょっとハードルが高いのだ。
また、コードワークも、基本的にはメジャーコードとマイナーコードなのだが(複雑なテンションは使っていない)、じっくり聴いていると、開放弦を上手く使っていたりする。

その辺り、ベンチャーズのギタースタイルのルーツはカントリーミュージックなのではないだろうかと感じるのである。

例えば、MosriteのThe Ventures Modelの元になったのは、MosriteのJoe Maphisモデルなのだが、ベンチャーズのギタースタイルはどこかJoe Maphisのスタイルとも共通点を感じる。
リードギタリストだったノーキー・エドワーズは実はかなりのカントリーギターの名手である。70年代にはモズライトの特注ギターにパームベンダーを搭載し、ペダルスティール並みのベンドフレーズを繰り出していたし、晩年はフィンガーピッキングでエレキギターを弾いていた。
ノーキーのソロ名義のアルバムには、ロックのクラシックに加え、カントリーミュージックのスタンダードも収録されているし、プレイスタイルはまさにカントリーミュージックだ。

ノーキーの後任だったリードギタリストのジェリー・マギーもかなりのカントリーギターの名手で、それこそMosriteのJoe Maphisモデルを使っていたこともある。

そう考えると、ベンチャーズはむしろ、カントリーミュージックなのではないか。というのが私の強引な結論である。


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